画龍点晴を欠く…?

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敢えて目玉を描かないのが、
あるいは相方スタイル。

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クールビューティ…?

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相方がメガネを買い替えた。

今、すっかり主流となっている横長フレームで、
かなりツリ目のシャキーンとしたカタチである。

それは相方の顔の雰囲気にあまりにも自然に溶け込み、
周囲の人間は、
メガネを変えたことにさえ気付かないほどだったらしい。

もともとシャキーン顔の相方。
クールメガネを装備したことで、
その風貌は、
「委員長」から
「科学者」への変貌を遂げた。

自他共に認める「ぽやーん顔」の私としては、
羨ましいことこの上ない。

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一石二鳥…?

e-0947

バレンタインということで、
チョコレートフォンデュを食べた。

ココアパウダーをブランデーか何かで練ったようなチョコクリームに、
プチシューやオレンジ、イチゴ、スポンジケーキ、栗、ブドウなどなど、
普段あまりつけないであろうものを付属の銛(モリ)で突き刺し、
ドブリと浸し、グルリと絡ませ口に放り込ませる。

チョコレートフォンデュは、ぎこちなさが美味しい。

やや我の強い、ひねくれ者とも言えるチョコレートと、
普段はチョコレートに包まれずとも、
立派に独り立ちしている素材類を、
やや強引に引き合わせ、
双方から迷惑がられながら仲を取り持たせる。

包むほうも包まれるほうも、
むげに断るのはナニだからと仕方なく対面し、

互いに
「いい人なんだけど、ねえ。」

と思いながら、イマイチ打ち解けきれない気まずさを感じているような、
所在無さが楽しく、美味しい。
 
 
チョコレートフォンデュは、お節介な仲人の味であり、
三者三様の事情と立場が複雑に絡み合う、
ある意味とってもオトナなスウィーツなのだと思った。
 
 
 
ちなみに、
チーズフォンデュの時の失敗を繰り返すまいと、
チョコレートソースのご使用を非常に計画的にしたところ、
とてもたくさん余ってしまった。

フォンデュ系の料理は、
非常に難易度が高い。

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キャッツ・アイ

e-0940

会話をしている時に、
あんまし相手を凝視するのもアレだというので、
何気なく視線をそらすということは誰でもすると思うのだけれど、

相方の場合、
眼球が素早くピクッとスライドするので、

(ん??なにかあったのか!?)

と、思わずつられてそちらを見てしまう。

本人はこれといってなにも見ていないらしい。
 
 
 
これに似た行動を、特に猫がよく見せる。
毛づくろいをしていて、
急に何かを察知したかのように

「ピクッ!」

と中空を見つめるアレだ。

ある意味、
猫の目のように変わる行動といってよい。
(そのまんまの意味として、合致しているな。)

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まわりくどい反撃

e-0938

相方が強制したわけではないが、
すぐにジッパーを戻すことは出来ない。

何故なら、
これはお仕置きなのだから。

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ラブ・ハンドル

e-0930

「ラブハンドル」
とは、わき腹についたお肉のこと。

最近食欲が旺盛になってきたせいか、
この辺がたわわに実ってきて、
そのパーツがまた相方のお気に入りとなっている。

以前はここをムニムニするだけだったのだけれど
近頃はムニョリと両の手でつかみ、そのまま歩いていることも。

その様はまさしくラブハンドル。

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ある意味セルフケア

e-0929

かまう要素が見当たらない時には、
自らそれを作り出すという彼女の創造性には頭が下がる。

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寝不足ハイテンション彼女

e-0926

寝不足による高揚状態は、

普段、口にしない言動、
普段、目にしない行動をもたらす。

いちいち意表をつく彼女の挙動は、
いつも面白過ぎる。

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想定の範囲だい!

e-0921

まあ、
あまりにも予想通りの反応だったので
(セリフまでドンピシャだったのは面白かったが。)
落胆よりも納得の色の方が強かったのだが、

一瞬、

(おおう。)

という目と、口元がニヤリとしたのを、
見逃さなかったもんね。

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彼女は知らない。

e-0913

本当は、指輪をはめて、そのまま両手で彼女の手を包み、
愛の言葉をささやこうと考えていたのだが、
そんな企てを知る由もない相方の素直なハイテンションっぷりにより、
私の目論みは見事、水泡に帰したのだった。

まあ~、
私も相方もそういうのがニガテな性質なので、
こうなることは当たり前っちゃあ当たり前なんですけどね。

相方いわく、

「寝る時も着けておくー。」

とのこと。
 
 
 
そこまで喜んでもらえれば言うことはないよ。

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てのひら

e-0906

相方がまず口にしたのは、
自分のことより先に、私への配慮だった。

興味は尽きないし、
尊敬もしている。

もちろん大好き。
 
 
 
いろいろ含めて、
この人には敵わない。
 
 
 
 
※追伸
前回、前々回の記事につきまして、
コメントやメールでのたくさんのご意見、励まし、
誠にありがとうございました。

以後、気をつけますので、
今後とも『言戯』ともども、よろしくお願い申し上げます。

『言戯』@寿

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相方の平手打ち

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ある意味、究極の不意打ち。

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引き続ける女

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1月3日。
相方と初詣に青葉区の大崎八幡神社に行ってまいりました。

そこで気づいたのですが、
相方は大のおみくじ好きらしい。

実家の家族との初詣で二回。
私との初詣でも二回。

計4回引いて、結果は

中吉
小吉

末吉

とのことだった。
 
 
 
どんだけおみくじ好きなんだよと。

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飽きない関係

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もうすぐ付き合い始めて丸3年になるのだけれど、
考えてみると相方との逢瀬は9割以上が上記の行動である。

ほとんどが二人で話しているだけの時間なのに、
まったく飽きないコト。
ジツはスゴイ関係といえる。

こういう人に出逢えたのは、
きっととんでもない幸運なのだろうと
しみじみ思った平成十八年の元旦。

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クリスマスの黒い魔女

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「財布にしようか、名刺入れにしようか、腕時計にしようか迷ったんだけど、一番必要そうだったのがコレだったから。」

と、相方がくれた包みの中には腕時計があった。
 
「うっほおおおおお!!!」

思わず、意味不明の咆哮で胸いっぱいの歓喜を吐き出す私。
 
 
 
腕時計。
ホントのホントに、
まさしく今、一番欲しかった(必要だった)モノ。

なにしろ携帯電話を持っていないので、
街などではいつも時間が分からず、
どうしても時間が知りたい時には、
いちいち最寄のコンビニなどに立ち寄って、
壁掛けの時計を見ていたのである。

だんだんとそういう困った機会が増えてきたため、

(そろそろ腕時計を買わなきゃなあ…)

と思い、それとなく物色を開始した矢先の出来事だった。

しかも、自分で探してもなかなか無かった
「ちょうどいい」腕時計。

スッキリシンプルデザインで、実用性に優れた一品。
私の好みど真ん中。

自分の中のアンバランスな欠けに、
あつらえたようなピースを用意されたような充足感。
安堵感まで感じるほどのプレゼントだった。
 
 
 
それにしても驚きなのは、
その選択の適切さ。

もともと私はモノをほとんど買わないほうなので、

「●●が欲しい。」

という話は滅多にしないはずなのに、
数少ない情報と、怜悧な観察により最高の選択を導き出した相方のプレゼントは、私の目には魔法のように映って仕方がなかった。
 
 
 
私のクリスマスには、
赤いサンタではなく、
黒い魔女がやってくる。

ありったけの感謝を捧げたい12月25日。

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スネ女

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「受話器の向こうからイヤなオーラが感じられるので、『沈黙』が一番怖いですね。」

宮城県:PN・エカキング


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色気倍増!(表面上)

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仕草や言動までは変わらないのが、
相方スタイル。

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続・相方と雪

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普段、走ることなどあまりない相方が、
ウチの周りに降り積もった20センチほどの雪のなか、
耐え切れずにブレイク。

好きなものに対しては、
多少の不利益も厭わないキミの生き様に乾杯。

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相方と雪

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相方曰く、

「雪がモサモサ降っていると、用も無いのにコンビニまで行って、アイスを買って帰って、『寒い…!』とか言いながらワシワシ食べるのが好きー。」

なのだそうだ。

たしかに、雪がしんしんと降っている時。
フードをかぶってたたずんでいると、
耳が圧迫されるような静寂のなかに
パサパサという雪の降り積もる音。

まるで、白濁した液体の中にいるような感覚。
すこしさみしい懐かしさのような。
 
 
 
ともすれば孤独のような場所なのに、
傍にいる人の声だけがやけに澄んで聞こえることが、
お互いをつなぐ何かがハッキリ見えるようで、
とてもウレシイものなのですよね。

キミとの感じ方は違うかもしれないが、
私はこんな感覚で、好きです。

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校閲ボディブロー

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中途半端な知識と根拠のない自信。

この二つに油断という媒体が合わさって抽出される結晶体。
それが『うろ覚え』である。
 
 
 
相方と逢っている間、
間断なく繰り広げられる会話、
猫の目のように移りゆく話題。

そのなかでほんの一瞬現れる、

「うろ覚え固有名詞」

という名の隙を、相方は決して見逃さず、
訂正、突っ込みのボディブローをねじ込んでくる。

的確に急所を射抜くそれは、
徐々に私の足の自由を奪い、
ついにはダウン(落ち込み)を余儀なくされるのだ。
 
 
 
しかしまあ、
よくあんな瞬時に間違いを見抜き、
訂正できるものだと感心しきりを禁じえず、

「さすが、校正士…。」

という畏敬の念を抱いてしまうのです。

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ラーメン・ラビリンス(支那そばの迷宮)

「オレ、塩ラーメン。」

席に着くか着かないかの間。
メニューをチラリと見て、さっさと注文を決めた。

「早!っていうか、いっつも塩だよねえ。」

相方は半分あきれながら、自分の食べるものを決めるべく、
メニューを睨みつける作業に入った。
 
 
夕餉の時間をだいぶ過ぎた国道沿いのラーメン屋さんは、
マンガをおかずにラーメンをすするスーツさんと、
ひたすらパチンコの話しを繰り返す若者たちくらいなもので、
店内の湯気もややナリを潜めている。
 
 
 
周囲の様子を一通り眺め終えると、お冷に口をつけた。
やや上目遣いに相方の様子を探る。

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まだ、自分のオンリーワンを決めかねているようだ。

最近気づいたことなのだけれど、
飲食店における発注時の相方は、非常に思慮深く、慎重であり、
妥協を許さない。

自らの気分、体調、士気、所持金、好物、意外性、
同伴者多重発注回避、天候、時刻、季節、
気温、湿度などなどを逐一計算し、
多角的かつ総合的にもっとも適した品目を注文しようとしている。

頬杖をついて、低いうなり声を発し、眉間を曇らせている。
知らない人が見たら、具合が悪いのかと心配になることだろう。

しばらく黙ってその様子を眺めていたが、
そろそろ飽きてきたので、提案がてら声をかける。

「そういやあ、こないだ『次は塩にしよう。』って言ってたよねえ。」

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スルー。

残念なことに、私の声は相方に届いていないらしい。
彼女の意識は、今、この瞬間の己に最も合致したラーメンを選択することで満たされているのだ。
 
 
 
数分が経った。
席の向こうでは、相変わらず相方が唸っている。

いよいよ思考は熱を帯び始めたらしく、
メガネをはずして頭を抱えている。

テーブルの上には気まずい沈黙。
知らない人が見たら、別れ話をしているようにも見えるだろう。

しかし誤解しないでほしい。
彼女はラーメンで悩んでいる。
 
 
 
どうやら、候補はトンコツとタンタンメンに絞られ、
情勢としてはややトンコツが有利のようだが、
まだまだ予断は許さない状況。

無言でお手拭をいじくっていた私も、
久しぶりに相方の唸り声以外の声が聞きたくなって、
再び呼びかけを試みた。

「サチ!もう、これでいいんじゃねえ?『お子様セット』!ははは。」

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…非常に残念な結果となった。

出来れば、さっさとメニューを決めて、かまってほしい。
さもなくば、寂しくて死んじゃう。
 
 
 
その時。
相方がガバッと顔を上げた。

その表情には未だ迷いの澱みが残っているが、
ようやく何らかの折り合いがついたようだった。

「よし…うん。決めた!タンタンメンにする。」

悩みに悩んだ結果が、いつものタンタンメンである。

いつも、非常に悩む割りに、
最終的にはほぼ同じメニューだったりする。

直感発注型の私としては、
(一体、何を毎回悩んでいるのだろう…?)
と不思議でならないのだが、
もしかすると相方は、
「選択出来る」という贅沢を存分に楽しんでいるのかも知れない。

そして、食べ始めてからの決まり文句

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というのも、後悔すら賞味しているのかも知れない。

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愛の試験~身を捨ててこそ~

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近頃の相方の愛情測定は、
己が身体を完全に預けるスタイルである。

ローテンションな情念の女なのかもしれない。

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需要と供給

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我々の相互嗜好に関する需要と供給は、
見事なほどに合致していない。

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表裏一体

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本人も、

「なんであたし、こんなむやみにポジティブなんだ?」

と自問自答しながら励ましてくれている。
 
 
 
ホント、ありがとね。

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姿勢が大事

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いや、だから…。
服飾なんか問題じゃなくて、
ぼかあそのままのキミが一番好きなんだよ。
(すべては遅い。)

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華麗なるモード移行

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楽天の田尾監督の解任については、
もちろん宮城県人として思うところはたくさんあるのだけれど、
それよりも先に気になってしまったのが
相方の所作の端々に垣間見えるオッチャンのそれ。

かなり痛いところを突いたハズだったのだが、
顔色ひとつ変えず、まるでそんなことなど無かったかのように
乙女モードに移行するその胆力に、
あらためて相方の底知れなさを感じたのだった。

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君の名は

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相方の友人が、最近ウチのサイトを読んで、
私が相方に対して使う呼称「サチ」をいたく気に入ったらしく、
近頃は相方を呼ぶとき、必ず「サチ」と呼ぶようになったという。
 
もともと私より付き合いの長い友人でもあるし、
大した用事がなくてもニヤニヤと呼ばれるという証言から、
冷やかし成分が多分に含有されていることも十分に考えられるが、
実害の及ばない立場からすると、それは面白…
由々しきことだと思う。
 
 
 
しかし君よ。
許してほしい。

ノロケはいつも、冷やかしの届かないところより生まれ、
冷やかしはいつも、無辜な相方の身に降りかかるものなのだ。

それは、人類の生み出した究極の理不尽。
まるで戦争のように。

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あ~んタッチャブル

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相方は私の渾身の不意打ちを軽々と飛び越えてきた。
 
 
普段は人一倍周囲のことを気にかける人なのに、
状況によってそれら一切を遮断し、
行動を断行できる相方の凄みにうろたえるしかない私。
 
 
まさに彼女は

治外法権。
無敵艦隊。
不可侵存在。

あ~んタッチャブル。

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指圧のココロ、シタゴコロ。

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先日、本当に久しぶりに二人そろってお休みの日があって、
朝から温泉に出かけた。

相方は、日頃のデスクワークで肩や背中、腰などが
バリバリに硬い。

少しでもほぐしてあげたいと思って、
湯上りにマッサージを施した。

時たまツボを強く押しすぎて、
半泣きの悲鳴を聞いたのは、
ついつい労いの気持ちが強く出てしまったからであり、
日常繰り返される脇突きへの報復などではない。

断じてない。

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伝わる意思。

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な~んでわかったのかなあ…?

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あ~んビリーバボー

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ジャズフェスのオマケ。

知り合いのご夫婦が営んでいるお店で食事したのですが、
たまたま相方がおどけて

「はい、あ~ん。」

をした瞬間、料理を運んできた奥さんに見られてしまったという次第。

そんなに恥ずかしかったなら描くなよ。
という話ですが、そのタイミングがあまりにナイスで面白かったので、
描いちゃったという次第。

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縦揺れの余波

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やっぱし、スケッチ入りで

「ボインボインの人」

って書いてあったのがマズかったのかな。

絶対零度のため息に、氷河時代(アイス・エイジ)の予感…秋の空。

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定禅寺ストリートジャズフェスティバルに行ったのよ。(その1)

宮城県は仙台市では、毎年この時期に

『定禅寺ストリートジャズフェスティバル』

というお祭りが開かれる。
 
 
 
『定禅寺ストリートジャズフェスティバル』とは、
定禅寺通りという大きな通りを中心に、
プロアマ問わずたくさんのジャズバンドが演奏をし、
仙台の街を音楽で染め上げてしまうというヒジョ~~~に
創造性豊かな催しなのです。
 
 
 
9月11日。
『定禅寺ストリートジャズフェスティバル』最終日。

日曜日ということもあり、仕事は抜け出せないにしろ少し早めに切り上げて、私は日曜の最終日のフィナーレを見に行くべくイソイソウキウキと地下鉄に飛び込んだ。

今年ももちろん相方と見るわけだが、
友人知人が演奏する側で参加している彼女は、昼間から先乗りしている。

連絡を取り合って、現地集合という手筈だ。
 
 
 
地下鉄に乗っている間に、空はすっかり暗くなり、上り階段の向こうにそびえ立つ141ビルは足元からライトアップされ、にじみ聴こえてくるジャジーな音楽とあいまってひどく幻想的に見えた。

広場に出た。
昼間からの湿気が、祭りの熱気に支えられてか地表に残っていて、とにかく蒸し暑い。
去年は寒かったから、今年もそう踏んで厚着してきたことを早くも後悔した。

そして、
そこかしこで演奏しているバンドを取り囲む聴衆、聴衆、聴衆!
リズムに乗る表現はそれぞれ大小あるが、
音にあわせて揺れるそれは、音楽の風を見ているようで楽しい。

もちろん、私のもとにもあちこちから大音量の音符が飛んできて、腸のあたりを刺激する。

会場に入るほどそれはいよいよ渦巻いて、
自分の鼓動なのか音波の波動なのか判然としなくなってきた。

それもまた心地よい。
 
 
 
ところで、相方が見つからない。
私は携帯電話を持っていないので、
公衆電話から連絡したのだけれど、
待ち合わせの場所を根っこから間違っていて、
さんざん歩き回ることとなった。

もちろん、
演奏に聞き惚れて立ち止まったりしたのこともあったのだが、
ようやく合流したのは実に1時間後の出来事だった。

相方に逢う。
一緒にいたのは、バリトンサックス奏者のアヤコさんと、
キーボードを操るクボさんだ。

アヤコさんは黒のスーツがバシっと決まった、
カッコイイ極まりない妙齢の女性である。
(既婚だが。)

そしてなんと、「言戯」の読者さんでもあった。
ほぼ毎日見てくださっているという。
(つーことはコレも見てますね?ドモドモ。)

「是非、会ってみたい!」

ということで、待ってくれていたのだ。
(1時間も待たせちゃって本当にごめんなさい。)

クボさんは相方の友達のもうすぐダンナさんになる人。
話は何度も聞いていたが、実際に会うのは初めてだった。

気さくで明るくて楽しいステキメンである。
 

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撤収でバタバタする中、4人で立ち話をした。
いつもそうなのだけれど、表現する手段を持つ人とというのは楽しい。

それは、音楽でも絵でも変わりない。

きっと、表現とは、認めることだと知っているからなのではないかと思う。
 

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話しているうちに、いつものように相方のワキ突き突っ込みを見て、
アヤコさんが感動していた。

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考えてみると、「言戯」読者の人で相方と並んで会ったのはこれが始めてかもしれない。
それがとても新鮮で面白かった。

まあ、ついうっかりノロケて、

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こうなったのには参ったけれど。
 
 
 
私が1時間遅れてしまったせいで、クボさんやアヤコさんの演奏が聴けなかったのが非常に残念だった。
なので、今度機会があったら、ライブに潜入しようかと考えている。
(ご迷惑でなければ…)

とにもかくにも、こうして今年のジャズフェスティバルは幕を開けたのだった。

つづく。

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ヘビースモーカー

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相方の、最近の愛読書は、全身のツボというツボを網羅した

「ツボブック」。

校正士から整体師への転身の日は近い(かもしれない)。

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似ている…!

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さすがに、身内の意見というものは的確かつ容赦がない。

決して江川紹子さんが不美人であるとか、似ていることが不名誉であるということではないのだが、大抵、

「有名人に例えると?」

という質問には、それぞれの部位のいいところをみつくろって、拡大解釈や多少の脳内バランス調整などを経て、女優さんとか、そういう人になぞらえるものなのだと思う。

そういう基準で言うと、相方は昔、

「『小雪』に似ている。」

と言われたことがあるらしい。

なるほど確かに、面影と、どことなくぎこちない笑い方は似ている気がする。
 
 
 
ちなみに私が過去に似ているといわれた有名人は、

「マスオさん」、「のび太くん」、「古田敦也捕手」であり、
架空の人物が過半数以上を占めているという驚くべき結果が報告されている。

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形見分け

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もちろん、実話である。

そこで、

「つまり、このゴミをサチだと思えばいいのか?」

と聞くと、当然

「あたしがゴミだって言うの!?…ヒドイ…!!」

となる。
 
 
 
…俺にどうしろって言うんだ…。

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揉み続ける女

e-0710

と言いつつ、こそば嬉しい。

嗚呼、バカップル。

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所有権

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ある日のこと。

私の運転する車は、相方を乗せて夏の夜の街を走っていた。
 
 
 
雨があがって間もないアスファルトには無数の水溜りが出来ていて、それらがヘッドライトに乱反射して見づらい。
メガネをかけていると、余計にそう感じるのだそうだ。

そんな理由から、運転の方に意識の重心を置き、なるべく相方の話のほうにも意識を振り分けるという配分を余儀なくされていた。

その時である。

私の左腕に、なにかがこすられるような感覚があった。

(?)

チラとその方を見ると、私の腕に相方が無心に自分の腕をこすりつけている。
その日は肌寒い日で、ふたりとも長袖のシャツを着用していたため、摩擦ですこし熱い。

「…かゆいの?」

いかにもかゆいところをかいてますといった風情の相方に確認する。

「うん。」

「空いてるほうの手でかかないの?」

「うん。」

「…そうかあ。」

「…」

「つーか、なに?俺の腕は『孫の手』か…?」

少々意地悪な言い回しをする私。

「ちがうよ。ニオイをつけてるんだよ。」

「…ニオイつけてるんだ。」

「うん。」

(マーキングされてるのかあ…。)

私もそれなりに長いこと人間をやっているが、同じ人類に「ニオイづけ」というかたちでマーキングをされたのは初めての経験だった。

そんなことしなくても、たぶん、盗ってくひとはいないと思う。

密かにそう思ったことは言うまでもない。

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ネコ型ロボット

そろそろ日付も変わろうかという時間に、相方から電話がかかってきた。
勤め先のビルの中から、今、ようやく仕事が終わったのだという。

「今からだと終電はあるけど、終バスは無いなあ・・しょうがないからタクシーで帰るよ・・。」

受話器の向こうでため息混じりに言う相方。
言外に、

(最近逢えてないし、迎えに来て欲しいなあ~・・)

というメッセージを汲み取った私は、駅までヘッドライトを走らせたのだった。
 
 
 
相方と合流して、ひとしきりお疲れさんと言ったあと、相方がぽつりとこんな一言を漏らした。

「はあ~・・お腹減った・・。」

「なに?晩御飯食べてないの?」

「ううん、軽くサンドイッチ食べたんだけどね。小腹と言うか、いや、普通にお腹が空いた。」

「そうかあ。んで、俺も小腹が空いたし、ラーメンでも食ってく?」

「ラーメン!いいねえ~。ラーメン!…ラーメン!!」

連呼することで喜びをかみ締める相方を乗せて、我々はいつものラーメン屋さんへと車を走らせた。

店内は、いかにもパチンコ帰りと思しき若者の集団と、数組のカップルなどが、モウモウたる湯気の中でゆっくりうなづきながら手を上下させている。

「俺、あっさり塩ラーメン。サチは?」

「…トンコツ行っていい?」

「うはは!濃いねえ~。太るよ?」

「太っちゃうよなあ~。でも、トンコツ食べたいんだよう。」

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相方のお腹に四次元ポケットという名の肉ヒダが出現する日は遠くないと、一人ほくそ笑んだことは言うまでもない。

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実況生中継

「あ、趣味のコーナー。」

「…。」

「続いてパソコン雑誌コーナーを通ります。」

「……。」

「そして、文庫コーナー。何か読みたいものがあるんでしょうか。」

「………。」

「美術コーナーに来ましたねえ。」

「…………。」

「もしかして、当て所なく歩いているのでしょうか。」

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我に返る女

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喫茶店のテーブルの上には、温かいお茶と、いくつもの話題が載っている。

その日は、どちらかというと相方の話の方が割合が多くて、私は対面で「うんうん。」とうなづいたり、少し質問をはさんだり、時には茶々を入れたりしながら、会話を楽しんでいた。

相方は、そうやって話しに夢中になっていると、かならずある口癖を出す。

それは、話しがだんだんとヒートアップしてゆき、ある臨界点に達した時。

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突然、「はっ」とした表情をして、黙りこくる。
そして、こう言うのだ。

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「ごめんねー。私ばっかりしゃべってるよねえ。」

「っていうか、止めてよ!」

と、謎の逆ギレまでする。
別にこちらとしては全然構わないのだが、相方はバツが悪いらしい。

それらも含めて、相方の話は面白い。

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『ツナガリ』

生まれたばかりの「ツナガリ」は、丸くてツルツル。
手がかりというものに乏しい。

それは美しいものではあるけれど、扱いづらいものでもある。

だからみんな、それが扱いやすくなるように喜びのヒダやデッパリ、哀しみの汚れやヘコミをつけてゆく。

その人のことを、好きになったり、嫌いになったりしながら。
「つかみどころ」を作って、確かめて。

「強いツナガリ」というものは、得てしてみすぼらしいものが多いものだもんなあ~・・。

と、半端に知った風なことを言ってみるのだった。
 
 
 
 
 
相方との「ツナガリ」が出来て間もない頃のこと。

まだお互いの距離感がつかみきれていない我々は、ともすれば「気まずい」とも言えるような、眩しい気恥ずかしさの真っ只中にいた。

「あ、あのさあ。いつも指輪してるよねえ。」

たまたま目についた相方の指先に話しをすがりつかせる私。
とにかく会話の取っ掛かりが欲しい。

「あ・・コレ?・・うん。」

相方は薬指から指輪を外すと、

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と、私の手のひらにそれを押し付けてきた。

「・・・え?くれんの?」

「うん。」

「いや、悪いよ。」

「私、同じの持ってるから。」

つまり、ペアリングというヤツだ。
もともと装飾品はおろか、腕時計さえ身につけない絵に描いたような朴念仁の私。
その照れと狼狽ぶりは推して知るべしである。

図らずも自分のものとなったその指輪を、しげしげと眺めた。

銀製。
重厚な見た目で、飾り気がない。

よく見ると、側面に刻印が施されている。

『CHAIN LUCK DOWN』

「この、『CHAIN LUCK DOWN』って、どういう意味?」

英語が苦手な私は、何気なく相方に聞いてみた。

『幸運を繋ぎとめる』とかいう意味だよ。」

相方は、少し視線を落としながらそう応えた。

(『幸運を繋ぎとめる』…かあ。)

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これは冗談として。

相方が、そういうメッセージをこめてくれたのかは定かではないにしろ、自分という存在が、相方にとっての『幸運』と言われたようで、とても嬉しかった。
 
 
 
それから2年ちょい。

そのリングは私の胸元と、相方の指で鈍く光っている。

あれから幾多の喜びと、大きな哀しみがいくつもあって、我々のツナガリはさまざまにカタチを変えた。
変わらないのは「つながっている」ということだけ。

相方の、『CHAIN LUCK DOWN』。
『繋ぎ止めたい幸運』になるためにも、がんばらにゃならんなあ・・と思うのである。
 
 
このツナガリが、途方もなくみすぼらしく、強いものとなるために。

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思わぬセックスアピール。

私は相方を「サチ」と呼び、
相方は私を「トシさん」と呼ぶ。

それは2年間の付き合いで、自然と定まった呼び名である。
 
 
 
「呼び名」と言えば、『お前』という呼び名がある。

『お前』。

かなり親しい対等な関係の者、または少し目下の者に対して使われる呼称だと思う。
そういった意味では、かなり限られた関係の者にしか使われない言葉だろう。
 
 
よく、恋人という間柄の男女で、男の方が女性を『お前』と呼んでいるのを見かける。

あれは、とても親しい感じがしてうらやましくもあるのだが、私が相方を『お前』と呼ぶことはない。
どうも、『お前』という言葉は居丈高な印象が拭えないし、いかにも

「主導権を取りたがってます。」

という意思がありありとしていて、恥ずかしいからだ。
しかし先日、この『お前』という呼称が意外な展開を見せたことがあったのである。
 
 
 
その日、私と相方はいつものようにとりとめのない話を楽しんでいた。
そのうちに、相方独特の憎まれ口を含んだような冗談が、心地よく私のほほにパチンと当たった。

(こんにゃろうめ。)

と思いつつ、どうしてくれようかと切り返しに頭をひねっていると、ふとある言葉を思いついた。
『お前』である。

普段、滅多に言わない『お前』という言葉を使って、相方に意外性で攻めてやろうと考えたのだ。
私はさっそく、使い慣れない呼称を載せて言葉を返した。

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意外そうな相方の顔。

(してやったり。)

私は小さな勝利を確信した。

ところが相方は、『お前』という言葉を咀嚼するようにうつむき、黙りこくっている。
冗談の切り返しのつもりだったのだが、もしかして予想以上にカチンときたのかと焦り、

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と、思わず謝った。

なんとなく、バツの悪い空気が流れている。

(そんなに悪いこと言ったかなあ・・?)

と、少し後悔する私。

その時である。
相方の口から、意外な一言が放たれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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「えええええええ???」

驚きを隠しきれない私。

不意に出た私の『お前』発言は、相方の中に『男らしさ』ひいては『著しいセックスアピール』として響いたのである。

思わぬ副産物に狼狽すらしながらも、喜悦を隠し切れない私。

しかし、すぐに「はっ」とした。

それはすなわち、『お前』という一言に「男」を感じるほど、普段の私からはオスのニオイがしていないということではないのか。



一瞬の喜びも束の間。
またしても、内心地の底まで落ち込んだことは言うまでもない。

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虎・悔・竜~とらぶりゅう~

先日のこと。
相方がこんなことを言い出した。

「ねえ、トシさん。今、『ほぼ日』でハラマキ売り出してるじゃない?」

「ああ、売ってるねえ。」
ポットから、琥珀色の湯気を立たせつつ、紅茶を茶漉し経由でカップに注ぎながら答える私。
湯気をあごに当てて、香りを楽しんでいる。

「アレ、竜と虎があるんだよ。二人して買わない?ハラマキ。」

「ああ、いいねえ。買おうか?俺、竜が良いなあ。」

「いや、竜は私。」

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キッパリと言い放つ相方。
まっすぐこちらを見据えて、譲る気配は微塵も感じられない。

「え~?でも、オレも竜がいいなあ。」

「だってホラ。私、辰年だから。竜。」

「それを言ったら俺だって辰年だよ。じゃあ、竜と竜でいいべや。ダブルドラゴンで。」

「それはイヤ。」
またも素気無く切り捨てられる。
相方は、私が同じものを選ぶのを嫌う習性がある。
理由は、『同じものではツマラナイ』からなのだそうだ。

しかし、竜か虎かと問われれば、私だって竜に若干のこだわりがある。
譲りたくない。

「だって、オレ、虎にする理由がないから。竜なら買ってもいいよ。」

「う~ん・・。そうかあ。・・じゃあ分かった。

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結局、折り合いがつかないままハラマキの販売が終了してしまったのは悔やまれるところである。

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言葉の裏腹

ピリリリリリリ!ピリリリリリリ!

21時少し前。

自室のパソコンでイラスト関係の仕事をしているところへ、一本の電話がかかってきた。
この時間の電話は、大体相方からと相場が決まっている。

今日も遅くまで仕事をして、ようやく今、終わったのだろう。
電話の子機を取り上げ、耳へと運ぶ。

「はい、もしもし。」

受話器の向こうからは、ビルの中を歩いていると思しき足音が響いている。

「あ、夜分遅く申し訳ありません・・●●●と申しますが・・」

相方の声だ。
ウチの家族は全員声までよく似ているため、一応、常識的な挨拶で探りをいれている。

「おー、サチ。今、終わったの?」

「ああ、うん。そう。今、終わった~。」

「そうかあ。お疲れさん。」

「いやいや。トシさんこそお疲れさんです。」

その週は相方の仕事が忙しく、前回逢ってから長く逢っていなかった。
・・・と言っても、中3日ほどだが。

時計は20時58分。
逢うには少し遅めの微妙な時間である。

仕事でクタクタであろう相方の体力も考慮し、受話器の向こうの出方をうかがった。

相方は、こう切り出した。

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これで決まった。

相方の「今日は無理だよね。」という決め付けたセリフは、「来て。」ということなのだ。
そういった思念の陽炎が目の前に揺らいでいる。

ちなみに、

『今日はどうしようか?』

という時は、そんなに切迫していない。
とにかく、

『今日は無理だよね。』

に、『そうだねえ。』と応えようものなら、相方の落胆ぶりは大変なものとなり、それから数日間、チクチクと責められる。
つまり、『かくなるうえは、行かねばならぬ。』なのだ。

「んで、これから行くから。」

「ホントに?いいの~?大変じゃない?」

「いやいや。まあ、これから出ると、駅に着くのは21時40分頃になっちゃうけど・・。」

「私もこれから地下鉄だから、ちょうどいいと思うよ。んじゃ、待ってるから。」

「あいよ。またあとでね。」

折りよく、一段落ついていた絵を保存し、着替える。
空には雲が立ちこめ、月も見えない。

(なにも、素直に『逢いたい』って言えばいいのになあ~・・。)

と思いつつ、ウキウキと車のキーをひねるのであった。

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じゃあ、やれ。

季節は初夏。

とはいえ、まだまだ夜風は涼しいというより肌寒い東北地方。
私と相方は、いつものようにお茶を飲み、家路に就くべく駐車場へと歩を進めていた。

その時である。

相方が、突然私の腰に手を回してきた。
つまり、公然たるイチャイチャ行為である。

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ノロケを世界に発信するのは好きだが、人前でイチャつくのはニガテな私。
嬉しくも恥ずかしい。

「腰に手を回すのってさあ。普通、逆だよね。」
照れ隠しに「常識」などという野暮を持ち出す。

「そうだねえ。でも、トシさんはやってくれないでしょ?」
鋭い突っ込みで返す相方。

たしかに、自発的に公然たるイチャイチャ行為に及ぶということは、我ながら想像が出来ない。
しかし、ここで諾々と負けを認めてよいものか。

それはあまりに悔しい。
私は思わずハッタリを口に出してしまった。

「ええ~?いやあ。オレだって、『やれ』って言われりゃやるよ。」

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私の瑣末なハッタリを、一瞬の間も置かずに粉砕する相方。
いよいよ追い詰められる私。

こうなればやるしかない。
やるより他に進むべき道は無い。

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      もう二度と、すぐ見破られるハッタリなどかますまいと心に誓ったことは言うまでもない。

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奇策、奇策。

先日のこと。

相方とゴハンを食べ終わり、会計を済まそうとレジへ伝票を運んだ。

いつもなら代金の総額をだいたい半分コして支払うのだが、その日は相方のほうに手持ちが少なかったため、私が全部出すことにしたのである。

やや重めのドアをこじ開けて、肌寒い夜の空気を吸い込む。
お腹にはたった今収めたばかりの美味しい料理が温かく、心地よく重かった。

「いやあ、今日はおごってもらっちゃってごめんね。」
相方がそう切り出してきた。

「ん?ああ、いいよ。持ってるほうが出せばいいんだし。」

「今度、私が出すからさ。」

「うん。」

「すみません、貧乏人で・・。」

「いやいや、たまたま今日無かっただけでしょう。(笑)」

「ゴメンねえ・・ダメねえ。私。」

こういうしつこいほどの卑屈っぷりは、相方独特のネタである。
殊更卑屈に見せて、こちらが困る様を見て楽しんでいる。
長い付き合いだけに、そのことは十分に知っているのだ。

lここでいつもなら、

「わかった、わかった。」

というところなのだが、その日は気まぐれに変化を持たせてみようと考えた。
奇策という名の刺激の風を送り込んでみようと考えたのだ。

「どうせ私は貧乏なのよ・・!」

とニヤニヤしながらつぶやく相方に、

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と、サワヤカ極まりない笑顔を向けた次の瞬間。

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豹変して見せる私。
それを受けて相方は微笑みを浮かべてアゴを引き、ツカツカと間合いを詰めてきた。

(ヤバイ・・!)
それはすなわち戦闘体勢である。

もはや交戦はまぬがれない。
私は相方の初手を定石どおりの「脇突き」と判断し、必死に脇腹のガードを固めた。

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・・ぬかった。
こちらの奇策に気さくに呼応するかのような奇策。

相方の革靴は、正確に私のヒザ関節を直撃した。

「コン。」

という乾いた音が、いっそう痛みを倍加させる。

「いっでえ!・・ちくしょう!まさか蹴りで来るとは・・!」

痛みよりも、相方の奇策がガッチリハマったことに対して悔しがる私。

「あっははは!『額づけ、貧乏人』とか言うからよ!」

予想以上に見事に決まったローキックに自分でも驚き、可笑しがる相方。

「・・ごめんね、大丈夫?足が止まらなくて、意外に強く蹴っちゃったよ。」
 
 
 
人間の関係には、「いつものパターン」というものが存在する。
たまにそれを外してやるのも意外性という刺激でいいものではあるが、たいていの場合、いつもよりも被害が大きくなるものなのだと再確認したことは言うまでもない。

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プラモデルとドレス

先日のこと。

私は相方と連れ立ってショッピングセンターの中を歩いていた。
これといって目的も無く見て回っているうち、婦人服コーナーの前にドレス売り場があるのを発見したのである。

日常、ドレスなどあまり見る機会の無い私は、つい立ち止まってマネキンに着付けられたドレスを見入ってしまう。
それに気づいた相方は、

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眩しそうにドレスを眺めていた。
その表情にはいつになく香り立つような女性の部分がにじみ出ている。

(う~ん・・やっぱし相方も女性だもんな。こういうのが好きなんだ・・。)

妙なことで感心してしまう私。

(ん?)

ふと気づいた。
婦人服売り場の隣はオモチャ売り場になっている。

ドレス売り場のすぐ横にプラモデルが山積みという、いかにもファミリー向けショッピングセンターの大胆かつ無脈絡極まりない区画構成である。

私は何気なく、相方に尋ねてみた。

「サチさあ、ドレスとロボットのプラモデル。どっちの方が好き?」

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間髪いれずそう答える相方。

(さすがだ・・)

とさらに感心したことは言うまでもない。

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イヌワシ&ドラゴン

今年は、私の住む宮城県にもプロ野球チームが設立された。

ご当地にプロ野球チームが無い土壌をアタリマエとして育ってきたせいか、プロ野球というものにあまり関心が無かったのだけれど、やはりオラが街のチームが出来たとなれば応援したくなるのが人情というもの。

今年は、是非フルキャストスタジアムまで東北楽天ゴールデンイーグルスの戦いを見に行きたいと思っているのです。
 
 
 
先日のこと。

相方と私は、よく立ち寄るショッピングモールの片隅に、東北楽天の応援グッズ売り場を発見。
そこに置いてあるTシャツやら、タオルやら、下敷きやら、メガホンやら、ウチワやらを眺めながらプロ野球の話題で盛り上がっていた。


「今年は、フルキャストスタジアムまで楽天観に行こうな。」

おそらく、何千人がここで同じような発言をしたのだろう。
敢えてそれをなぞる私。

「うん。いいねえ。・・あ、そういえばさあ。」

上着のポケットからいそいそと携帯電話を取り出す相方。

「ホラ、コレ。」

パクリと開けられた相方の携帯電話の待ち受け画面には、「中日ドラゴンズ」のロゴと、イメージキャラクターが描かれていた。

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中部地方暮らしの長かった相方は、当然のように「中日ドラゴンズ」のファンである。
それは、東北宮城県に越してきても変わらないようだった。

県民にあまり熱狂性が見られないとはいえ、一応、東北楽天の本拠地にあって、住むところが変わっても遠くドラゴンズを想い続ける隠れキリシタンのような健気さに可笑しみを感じてしまう私。

「サチってさあ。ドラゴンズ好きだよねえ。どこがそんなにいいの?」

根本的な質問をぶつけてみる。
相方は、携帯電話をしまいながら少し考えてこう言った。

「う~ん・・やっぱし、ウチ、両親をはじめ家族みんなドラゴンズファンだったしねえ。だから自然とそうなったのかも。・・あと、地味に強いところとか。」

「うっふふふ。確かに、ドラゴンズってなんだか地味だよねえ。」

ドラゴンズファンが白目むくような事を言う私。

「っつーかさあ。やっぱし宮城県に住んでいる以上、東北楽天を応援しないとマズイんでないかい?」

別に、プロ野球チームの嗜好など個人の勝手だとは思っているのだが、いじりどころを見つけてつい意地の悪いことを言ってしまう。

少し下を向きながら考え込む相方。

「う~~ん・・いや、でもホラ、ドラゴンズはセリーグでしょ。楽天はパリーグだから。両方応援すりゃあいいんだよ。」

「あ、そっか。なるほどね。」

「うんうん。」

「じゃあさ。もし、『交流戦』で楽天とドラゴンズの試合があって、それを観に行ったらサチはどっち側に座るんだ?」

さらに意地の悪い質問を重ねる。
要するに相方を困らせたい。

「ええ~~・・・?う~~~ん・・・。」

拱手、瞑目し、深く考え込む相方。

「・・・・そうだなあ~~~・・・!」

本気で困っている。
なにもそこまで悩まずとも。

「・・・やっぱし・・・ドラゴンズのユニフォームとメガホンを持って・・・」

(ああ、やっぱしドラゴンズの方がいいんだろうなあ。)

「・・・楽天側の応援席に座る。」

「どんだけ逆撫ですんだよ!!??」

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相方の想いは深いがゆえに、その葛藤もまた深いのであった。

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相方の挑戦

ある日曜日のこと。

私と相方は、人と会う約束を済ませて、夕暮れの環状線で信号待ちをしていた。
 
「あ~・・腹へった。サチ、どっかで晩飯食べてく?」

助手席に座っている相方に切り出す。
相方は、困った表情を浮かべながらこう言った。

「あ~、ゴメン。今日、ウチの両親の結婚記念日でさ。ウチで焼肉するんだよ。だから帰んなきゃ。トシさんも来るかい?」

「え~?うはは。いや、突然行って焼肉ゴチソウになるってのもアレだしねえ・・。まあ、分かった。ほいじゃあ今日は帰ろうか。」

信号が青に変わったのを確認し、アクセルを踏み込んだ。

「う~ん・・ゴメン。でも、一緒に食べたいなあ。」

「いや、いいって。そういう理由ならしょうがないし。」

「トシさん、晩御飯どうすんの?」

「ん~?今日はいらないって言っちゃったからなあ・・・。」

ハンドルを微調整しながら、少しの間考え込む。
そして思い出した。

「あっ!んだ。あのいつものラーメン屋さんで『つけ麺』始まったっちゃ?アレ食べて帰るよ。」

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即答の相方。
驚く私。

「え、だって、今日焼肉でしょ。」

「うん。」

「今、食べたら腹いっぱいになっちゃうよ。」

「いや、今から食べても、夕食まで1時間半はあるから、焼肉分くらいは消化できる。いや、してみせる・・・!」

相方の言葉には、固い決意がにじみ出ている。

「ああ、そう・・?じゃあ、行こうか・・?」

明らかに無理と言える相方の行動に、心配を隠しきれない私。
その様子を察した相方は、いつものように切り返してきた。

「あ、でも一緒に行くのがイヤならいいよ。」

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これをされると何も言えなくなってしまう私。

結局のところいつものラーメン屋さんに立ち寄り、二人でつけ麺を食べたのだった。
 
 
 
 
その日の夜。

相方から電話がかかってきた。

「サチ、あれからホントに焼肉食ったの?」

まず、この事だけは確認をしなくてはならない。

「うん。食べたよ。」

「マジで!?・・・大丈夫か?」

相方は、食べ方もきれいで、出されたものはまず残さないという事を知っている。
きっと焼肉も律儀に完食したのだろうということが容易に想像できた。

「まあ~・・アレだねえ・・

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明らかに余分であったつけ麺。
それを重々承知で挑戦した相方。

一体、何が彼女をそこまで駆り立てたのか。

つけ麺か。
それとも愛か。

恋人として付き合い始めて2年以上。
まだまだ相方は計り知れない。

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鼻歌の粗相

相方と、車に乗りながら談笑していた時のこと。

いつものようにお互いの言葉の粒をポコポコと投げかけ、それらは車内で弾み、さまざまに色や形を変えている。
ただ、話しをしているだけなのに、声の泡がはじけるハチハチという感触が心地よい。

私の、一番好きな時間である。
 
 
 
二人の座席の間にあるカーステレオからは、FMラジオが静かに流れている。
サラサラと流れてきた曲は、我々の好きな歌手の歌だった。

「『♪君がいないと~なんに~も~』」

「あ、マキハラさんだ。」

「お、そうだねえ。いいよな。マキハラさん。」

「うん。好きー。」

その歌を聴くともなく聴きながら、先ほどまでの話の続きを始める。

「でね、すっごい寝てるんでしょ。」

(♪ヤカンを、火にか~けたけど~・・)

「うふふ、そうそう。眼球とか、スッゴイビクビクいってる感じの、レム睡眠で。」

(♪ほら朝食も~・・)

「あはははは!でもさー、アレ、なんで寝てるとき眼球ってビクビクいうのかねえ?」

(♪文句も~思いきり・・)

「あれって、小刻みに動く人とゆっくり動く人がいるよね。」

(♪窮屈に~思えるけど~)

「ゆっくり動く人なんていんの?」

(♪い~つもよ~り眺めがいい~・・)

「ウチの家族とかでもいるよー。」

(♪もし君に~ひ~とつだけ~・・)

「マジで?どんなふうに?」

(♪強がりをい~えるの~なら~)

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まるで「ニュース速報」のように、「携帯電話の着信音」のように、場の空気も会話の内容もすっ飛ばして、突然入った相方の歌。

会話をしながらも、好きな歌がかかっているのが気になり続け、しかし会話中ということもあり歌うことは我慢していたんだけど、やっぱり一番のキメどころでは我慢が出来ずに、つい漏れちゃった・・という感じがありありと窺えた。

つまり、
「鼻歌の粗相」があったわけである。

(はッ!)

と我にかえった相方。
あわてて会話に戻ろうとする。

「あ、ゴ、ゴメンね。んで、寝てるときにね・・」

「・・・え~、ちょっとまって。」

これだけの美味しいツッコミどころは逃したくない私。

「いやいや、分かった。悪かった。ね?んで、眼球が・・」
突っ込まれるのを嫌う相方。
必死に現状回復を目指す。

「まあまあまあ。いいから、話を聞いて?今、我々は、話をしていたよね?」

「・・・はい。すみませんでした。」
うつむきながら、説教を覚悟した子供のような表情を浮かべる相方。

「いやいや、謝る前に聞こうよ。ね?会話ってのは、キャッチボールだよな?」
わざとらしく、凡庸な表現を用いる私。
すっかりなぶる気でいる。

「・・はい。そうです。ごめんなさい。」

「するってえと、君はアレかい?人とキャッチボールをしている時に、いきなり歌い始めちゃったりするわけかい?」

「・・でもさー!」
勢いで、この不利な状況を脱しようとする相方。

「いやいやいや。いいから話を聞こう。人の話を聞こう。な?」
この優勢を崩したくない。

「いやいやいや、あたしの話も聞いて。聞きなさい!!!」
両手で自分の太ももを叩きながら、逆ギレする相方。

「あ・・ハイ。」
相方の一喝に、あっという間に気圧され、腰が砕けた。
やはり、3人の姉と接し続けた幼年期は、私の中に「女性の一喝にはつい服従してしまう」という概念をこの身に刷り込んだようだった。

形勢はあっさりと逆転した。

「トシさんだってさあ。私と話ししてるときに、突然足を揉んだりするじゃない?」

「ああ、するねえ。」

「アレはいいの?キャッチボールしてる時に、ボールを受けて相手の足を揉みに行くの?」

「揉むね。(キッパリ)」

即答。

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つまりは、どっちもどっちというお話。

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紙袋の女

先日、相方にパンのお披露目をした。

紙袋に入れた2種類のパンを渡すと、相方は迷わずその袋の中に鼻を突っ込んだのである。
驚く私。

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恍惚の表情を浮かべる相方。

「ああ~、いい香り。ありがとね。」

「んー、まあ、まだ未完成ではあるけど、よかったら食べてちょうだい。」

「うん。でも、食べるのもったいないなあ。私、持ち歩くね。しばらく。会社とかに。」

「持ち歩いて、お昼に切って食べるの?」

「いや、たまに出して、匂いを嗅ぐの。」

「いや、食べようよ。普通に。(笑)」

というわけで、もし、街中で紙袋に鼻を突っ込んで歩いている女性がいたら、それはもしかしたら相方かも知れません。

どちらかというと、生温かい目で見守ってあげてください。

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レア・イベント

先日、相方から電話がかかってきた時のこと。

「トシさん、今日ヒマ?お茶のみに行こうよ。」

ほの明るい声。

「ああ、いいねえ。じゃあ、いつもの時間でいい?」

「うん。いつもの時間ね。じゃあ・・」

その時、それは起こった。

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一瞬、我が耳を疑う私。
あろう事か、相方のフキダシにハートマークが在中していたのである。

あまりの意外な反応に、私は驚愕し、狼狽し、戦慄し、恐縮し、呆然とし、愕然とした。

そして、叫んだ。

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やはり、相方のそれは、確率数万分の一のレア・イベントだった。

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四次元バッグ

先日。

相方とクルマに乗っていた時のこと。
山あいのトンネルの中で、その異変は突如として訪れた。

ブロロロロロロ・・・ブロ、ブロロロロ・・・

エンジンの回転数が上がらない。

ブロロロ・・・ブロロロ・・・

回転数にあわせて、オートマチックに下降してゆくシフト。

相方は、

「ナニ?どうしたの?なにがあった?」

と不安げに問いかけてくる。

「あー、うんー。大体想像はつくんだけれどね。」

つとめて呑気に答えつつ、安全にクルマが停められるところを探す私。
トンネルを抜けたところはダムになっていて、そこに小さな公園があった。
トイレもあり、駐車場もある。

息も絶え絶えのオデッセイ君を緩いアクセルワークで励ましながら、駐車場の入り口を目指す。
エンジンは、その入り口付近で止まった。

あとは惰性で行くのみ。
しかし、オートマチックはエンジンが切れると、ハンドルもブレーキも利かなくなる。
次第に重くなってゆくハンドルを懸命に切り、なんとか駐車場に車輪を合わせる。

しかしブレーキが利かない。
ゆるゆると近づいてくる植え込み。

極めて利きの悪いブレーキを踏みしめ、効果があるのか無いのかサイドブレーキを引く。
ほぼ失速したのを確認し、パーキングレンジに入れて、とりあえず無事にクルマは止まった。
 
 
 
「さて、困った。」

苦笑いを浮かべながらつぶやく私。

「だから、何が起こったの!?」

イラだつ相方。

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とたんに平静に戻る相方。
理由が分かれば、かえって肝が据わるらしい。
 
 
 
私の車の残油計は少し変わっていて、普通のクルマのように「警告ランプ」というものが付いていない。
残りのガソリン量を示す針がある程度のところまで下落すると、カチンと振り切れてしまう仕組みになっている。

しかし、このクルマはその表示の調整がまずいらしく、20リッターほど給油しても、一向に針が浮上しない。
それどころか振り切れたままなのである。

つまり、残油計はまったくアテにならず、走行距離から残りのガソリン量を推測して乗らなければならないということになる。

先日の給油量から、

(あと20kmは走るだろうから、そろそろスタンドに行こう。)

と立てた私の目測が見事に誤り、その油断が招いた事態であった。
 
 
 
(さて、どうしたものか。)

思案する。

ここからガソリンスタンドまでは、大体12kmくらいあるだろう。
歩いてゆくには闇夜の山中はあまりに物騒である。

(やむをえん)

幸いなことに、そこは私の自宅からそう遠くない場所だった。
兄にお願いして、ガソリンを持ってきてもらうことにする。

相方に携帯を借りる。

液晶の表示は、当然のように「圏外」になっている。
しかも、バッテリーの表示ももうすぐ無くなる事を知らせていた。

携帯が生きているうちにと、急いで公衆電話をさがしつつ、電波の届くところを探す我々。

またもや幸いなことに、そこから50メートルほど歩いたところで電波の届くポイントを見つけた。
この時、不運と幸運がめまぐるしく交錯していることが可笑しく、不謹慎ながらひどく楽しかった。
 
 
 
「バッカだなあ~オメエは!すぐ行くから待ってろ!」

という気のいい兄の声に一安心して、クルマに戻る。
それを見届けたかのように、相方の携帯電話は電池が切れた。

「ありゃあ、バッテリー無くなっちゃったねえ。」

すると相方はバッグの中から小さな包みを出してきた。

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「こんなこともあろうかと、常に携帯発電機を持っとるのよ~。」

「おおお~!?スゲエ!!」

「懐中電灯にもなるし、携帯電話に充電もできるよ。」

得意げにワシワシと発電する始める相方。
何故そんなものを常備しているのかが謎ではあるが、感動を隠しきれない私。

そして、またバッグの中をゴソゴソと探る相方。

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「こんなこともあろうかと、携帯食も持っとるのよ~。すこしチョコが融けてるけど食べる?」
 
「いや、食料って、遭難したわけじゃないんだから。」

さすがにツッコミを禁じえない。

「あ、そっか。じゃあいいな。」

(しかし、いつもお菓子を持ち歩いているなんて、おばあちゃんみたいだ・・・)

内心、感心する私を尻目に三度バッグの中を探っている。
次は何が出てくるものかと、横目に眺める私。

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「こんなこともあろうかと、携帯ラジオも持っとるのよ~。」

「それ、FMも聞けるの?」

「聞けるよ~。でも、今ちょっと調子が悪くて、スイッチが入らないんだけどね。」

(じゃあ、なんで持っているのだろうか・・・)

と素朴な疑問を持ちながらも、私は試しに質問してみた。

「そのバッグの中に、『携帯ガソリン』は入ってない?3リッターくらい。」

「・・・さすがにそれは無いね。重たいし。」

次々に非常時に役立つものが出てくる相方の四次元バッグ。
いつも中身をパンパンにして持ち歩くそれの中身の一端が垣間見られたことだけでも、ガス欠になった甲斐があったものだと妙な感心を抱いたことは言うまでもない。

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2周年記念4コママンガ

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4月13日は、ふたりの記念日。

相方の何気ない一言に、良きにつけ悪しきにつけ過剰に反応する私は、2年前から・・・いや、14年前から何も変わっていないのかも知れない。

こんな面倒で厄介な男だけれど、これからもよろしくお願いします。

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相方とロボ関節。

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コンビニに立ち寄ると、相方は必ず「食玩コーナー」に立ち寄る。

中でもお気に入りは、ガンダムなどのロボットフィギュアのもの。

「ガンダムとかはあんまり知らないんだけど、関節のメカをぼんやり眺めるのが好き。」

なのだという。

 

相方の趣向は、奥が深い。

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会心の一撃

昨晩のことである。

私と相方は喫茶店での談笑を終え、帰路に就くべく駐車場に停めてあるクルマへと向かった。

3月も中旬。
昼間は厳しさの和らいだ春の風が吹くが、夜風はまだまだ冷たい。

「サムイ、サムイ」

と連呼しながら、急いでエンジンをかけ、ヒーターをかけたのだった。
 
 
 
低くうなるエンジンとわずかな振動の中、寒さを紛らわすべく話をしていると、

「手、貸して。」

と相方が手を差し伸べてきた。

「ん。」

左手を預ける。

両手で包む相方の手は冷たい。

「うわあ、あったかいねえ。どうしてこんなにあったかいの?」

と尋ねる相方に、私はすかさずこう答えた。

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「おお~!言うねえ~!!ようやった!!」

驚愕の顔。
手をたたいて拍手喝采する相方。

「だろ!?今のは『会心の一撃』だったよな!!」

ガッツポーズで己の功績を誇示する私。

「でも、『君』ってところにまだ照れが感じられるな。」

と、わざわざダメ出しする相方。
飽くまでも満点はやりたくないらしい。

それよりも、もっと根本的な問題は、
時たまこういった

「ホームラン的発言」

が飛び出しても、そこから「いい雰囲気」に発展しないというところにある気がする。

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無言の駆け引き

少し前のこと。

私は、書店で相方と待ち合わせをしていた。

店内に入り、書棚の間を順々に探していると、「編み物関連書」のコーナーで立ち読みする相方の姿を見つけた。

(あ、いたいた。)

歩み寄る私。
それに気づいて、読んでいた本を棚に戻す相方。

その時だった。
 
 
 
(ん?)

私は、自分の頭頂部に突然かゆみを感じた。

(む、かゆい。)

何も考えずに、右手を頭に持ってゆく私。

相方はそれを見て

(あ、手を振ろうとしている)

と感じたのだろう。
それに応ずるべく右手を上げた。

しかし、私の上げた右手は、自分の頭を掻くためのものだった。

(あ、イカン!)

と瞬間的に思ったものの、手が止められなかった。
結果的に相方の期待を裏切り、自らの頭頂部をポリポリと掻いてしまったのである。

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意外な行動に、顔の横まで上げていた手を止める相方。
表情に、

(しまった!ひっかかった!)

という色が浮かんでいる。

(ああ、ゴメン・・。)

不可抗力とはいえ、フェイントをかけ、しかもそれがまんまと成功してしまった事に、焦る私。
慌てて体勢を立て直し、手を振ったその時・・

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相方は、途中まであげていた手の用途を一瞬で変更し、髪をかき上げてみせたのであった。
それに対し、一人手を振る私。

まさに、私のうっかりと、相方の負けず嫌いが交錯した一瞬。
勝負は、フェイントにフェイントで返した相方の勝利であった。

上げた手に送った視線を握りつぶしながら、何故かたまらず悔しくなる私。

相方との無言の駆け引きは、今日もこうして続いている。

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相方のお仕事

相方の、新しい仕事が決まった。
 
 
 
不況の向かい風どころか、大嵐が吹き荒れる宮城県。
絶対零度の景気温度を見せるこの地方都市で、仕事を決めたというのはとても大変なことだ。
 
 
 
もともと、相方は「職業校正士」である。
前職も校正士だったため、その経験を生かすべく校正の仕事を探していたのだが、このたび縁あって校正士の仕事が見つかり、首尾よく就くことがかなったのだった。


校正士というのは、言うまでもなく印刷物の誤字脱字、用法の違いや写真のチェックなどなど、とにかく刷られたものの最終チェックをする仕事で、もし、発行されたものに間違いがあれば、とんでもない事態になってしまうという、かなり責任重大な仕事である。

スポーツで例えるなら、サッカーのゴールキーパーみたいなものだと思う。
得点はしないが、失点をゼロに抑えることで、チームの勝利に貢献する。

一度、相方に勧められて、校正テストみたいなものをやってみたことがあるのだけれど、散々な結果に終わった。
なにしろ、自分で書く文章だって用法の違いや、使い方のおかしいところがしょっちゅうあるのに、他人の文章なんて直せるはずがない。

「こんなこと、仕事でやってるって、スゲエ!」

と、本気で尊敬してしまったものであった。
 
 
 
そんな校正士の相方は、普段の生活の中でも、知らず知らず校正して回っている。

ある日のこと。
相方とエレベーターに乗っていると、相方が一点を凝視したまま動かなくなった。
異変に気づいた私は、

「どしたの?」

と聞いた。
すると相方は、エレベーター内に貼られた案内板を指差して、

「これ、間違ってる。」

と、つぶやいた。

そのプラスチックの板には、こう書かれている。

~infomation~

「・・・・。」
(インフォメーション。・・・なんか違うのか?)

何が違うのかさっぱり分からなかった。
自慢じゃないが、私は日本語さえ怪しいのだ。
英語に至ってはさっぱりである。


「”r”が抜けてるのよ!!!」

イラつきを抑えきれない相方は、そう小さく叫ぶとコブシを震わせて、その違和感に耐えていた。
私は一瞬、ぼへーっと文字を眺めた後、ようやく気づいて、

「え!あ、ああ!そうだ!『information』だよな!うむ!間違ってる・・!」

と、ややわざとらしく一緒にコブシを震わせたのだった。
 

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さらに先日。
とあるお店屋さんに入った時のこと。

店内では、「美濃焼き陶器フェア」
が催されていた。

ワゴンに乗せられた陶器の上には、手書きのポップが貼り付けられており、そこには堂々とこんな字が書きなぐられていたのである。

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さすがにこれほど分かりやすい誤字には私もすぐ気づき、相方が怒るのではないかとハラハラして様子を窺っていたのだが、相方は何事も無かったかのように歩いている。

(あれ?反応しない?)

いぶかる私。
無表情で歩く相方。

(なんだ、サチでも見逃すことがあるのか。)

内心そう思いつつ、敢えて指摘もせずに並んで歩いていった。
 
 
 
店から離れて数メートル。

相方が、気づかれぬよう小さくつぶやいたのを私は聞き逃さなかった。

 
 

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誤字脱字を許さない

「静かなる炎のゴールキーパー・サチ」。

新しい職場でも、スーパーセーブを連発し、観衆を魅了して欲しいと願わずにはいられない。

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14年後のバレンタインデー・・。

昨夜はバレンタインデー。

「恋する夜」だった。
 
 
 
相方と逢う約束をしていた私は、山から降りてクルマで約20分の距離にある相方のウチへ向かった。

住宅地の一角にクルマを停める。
すると、ちょうど向こうから相方が歩いてくるのが見えた。

凍った路面で滑らないように、慎重に歩いてくる。
私は運転席から、その様子を眺めていた。

外の冷たい空気と一緒に、相方がクルマに乗り込む。
相方は、ドアを閉めるが早いか、バッグの一番上に準備してあった包みを取り出し、突き出してきた。
言わずもがなのチョコレートである。

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「え?あ、ありがと。」

ちょっと困ったような笑みを浮かべながら、両手で受け取る私。
そのあまりに早くてそっけない展開に、少し驚き、そして

(そんな、もののついでみたいに渡さなくたって・・)
と、内心ちょっとだけがっかりしていた。

その様子を鋭く察した相方。
すぐさま

「なんだ?今の渡し方が気に入らなかったのか?」
と聞いてくる。

(あ、イカン。読まれた。)

私は、考えていることが素直に顔に出てしまう。
ポーカー向きではない。

少し焦りながら、

「え?いやいやいや。そんなことないよ。嬉しい。」
と応えた。
 
 
相方は、妙なところで妥協を許さない女性である。

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とブツブツこぼしながら、私の手から渡したばかりの包みを「さっ」と取り上げた。

(な、なんだ?どうした??)

対処に困る私をよそに、相方は一瞬うつむくように下を向き、「ぱっ」と顔を上げた。

その瞬間・・
 
 
 
  
 
 
 
 

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「ええ~~~~~~!?」

瞠目し、固まる私。
その手のひらに、再び置かれる小さな包み。

「これでいいか?」

ニヤニヤしながらそう言って、さっさとシートに身を沈め、しっかりとベルトを締める相方。
そして、前を指差し、
 
「ほら、行くぞ。」

と、指示を出す。
私は脱力しつつも、もらった包みを傍らに置き、

「・・はい。」

という返事とともにドライブレンジに入れたのだった。

クルマはゆっくりと動き始めた。

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14年前のバレンタインデー。

今日はバレンタインデー。

恋する日。
 
 
 
14年前の今日。
中学校3年生だった私も、しっかりと「恋する日」の真っ只中にいた。

2月14日の学校というものは、男子の期待と不安、女子のタイミングを計る空気とが入り混じり、なんとも気恥ずかしい雰囲気に満ちている。

私は、当時からそういう雰囲気が大の苦手だった。

なんだか恥ずかしくて、居心地が悪い気がして、
なるべく女子に近づかないようにし、努めて意識しないように振る舞い(その時点で意識しまくっているのだが・・可愛いなあ。)、下校時間が来ると、部活もそこそこにさっさと帰宅してしまった。

チョコレートを期待していなかったわけでは決してない。
その当時、私には好きな女の子がいて、なんとなく、向こうもこちらを好いてくれているような雰囲気があった。

正直。

その女の子からのチョコレートを、かなり期待していたし、

「多分、もらえるんじゃないかな・・」

という算段もあったのである。
(非常にいやらしい話ですが)

しかし、15歳の頃からそうなのだけれど、私は

「その人(女性)が、好きであればあるほど、避ける。」

という非常に厄介な「逆走癖」を持っていて、その時も一日その女の子を避け、逃げ回っていたのだった。
 
 
 
そんな風だから、もちろん学校では一個もチョコレートをもらえるわけもなく、手ぶらでの帰宅とあいなった。

自分のベッドの上に寝転びながら、天井を見つめてため息をつく。

(はあ・・結局もらえなかったなあ。話していればもらえたのかなあ・・)

などと、一人グジグジといじけている。
自分で避けておきながら、勝手な言い分である。
それが分かっていて、でも今さらどうにも出来ず、ひたすらムカムカ、グジグジしていた。

その時であった。
 
 
 
「トシ~~!!」

母の呼ぶ声がした。

「はあい!何~~!!?」

返事を返す。

「ちょっと、おいで!!」

(なんだ?俺、なんかしたっけ?)

体操着のズボンをズリ上げながら、母のもとへ向かった。

「なに?」

尋ねると、母はニヤリと笑って、グイッと親指を玄関に向けた。

「来てるよ。」

「?」

わけが分からず、玄関に目を向けると、

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当時好きだった女の子が、少し顔を赤らめながら立っていたのである。

「あ!!!!」

2月14日に、自宅にわざわざ来てくれる用事はほかには無い。
私は喜悦を通り越して、すっかり狼狽し、緊張する体をなんとか立て直して、その女の子とともに外に出た。

その娘はカバンから綺麗に包装された箱を取り出し、

「はい、これあげる。」

と手渡してくれた。

「あ、う、うん。」

顔がみるみる紅潮し、何故か足がカクカク震える。
しかし、そんなところは見られたくない。
(バレバレだが)

私は必死に平静を装うべく努力した。

「あ、あ、ありがとね。いやあ・・なんか悪いねえ。」

「あ、ううん。学校で渡そうと思ったんだけど、なかなか会わなかったから。」

(避けてたからなあ・・)
内心、猛省する私。

「あ、そうだったんだ。ごめんごめん。」

「あ、いいよいいよ。」

ははは・・・
という小さな笑いの後、沈黙が降りる。

冬だというのに、やけに太陽がまぶしく、乾いたアスファルトが白い。
道路の向こうで近所の子供がじっとこちらを見ている。

私はいよいよ照れてしまって、どういうわけか右手を差し出した。
握手を求めたのである。

それが何故なのかは自分でも分からなかった。

「あ、うん。」

がっちりと握手を交わす二人。
その女の子の手はとても柔らかくて、あったかかった。
 

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「じゃあ、また明日ね。」

といって、その女の子は帰っていった。
私は、もらったチョコレートと、その女の子を交互に見て、人知れず喜びを噛み締めていたのだった。

背後では、母がニヤニヤとその様子を盗み見ていた。
 
 
 
14年後の今日はバレンタインデー。

「恋する日」。

あの時の女の子と、今夜、逢う約束をしている。

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肝心なところで・・・。

昨日のこと。

昼間の雪が地吹雪にさらされて、路面をテラテラ輝かせている夜道を、私は相方とお茶を楽しむべくクルマを走らせていた。

相方のウチの前でいつものように待っていると、ほどなくして相方がバムン!と乗り込んできた。

「こんばんは。寒いねえ~。」

相方はいつものように切り出す。

「んだねえ~。路面も・・・」

(あれ?)

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相方の異変に気づく私。

明らかに髪を切っている。
しかも、かなり短くしたようだ。
おそらく、10cmほど切ったのではないか。
十分に「バッサリ判定」を出してもいいくらいの切りっぷりである。

思えば、髪を短くした相方を見たのは中学校の時以来である。
だからか、少し若返ったような印象さえ受けた。
それに、意外なほどに丸顔に見えて、見た目の印象も丸くなり、

「良いふくよかさ」

が発揮されている。
 
私は、出来るだけ感じたままを言葉にしようと思ったのだが・・・

(ちょっと待て。)

脳みそのどこかから、ストップの声がかかる。

(ここは、チャンスだ。言葉を尽くして、慎重に行け。)

と、コーチ(誰?)からの指示が飛んできた。

(うむ。それもそうだ。)
私は、脳内で
「言葉選択検討会」
を開く。

もし、

「若返ったようだね。」
と言ったなら・・・

「ってことは、今まで老けて見えてたってことか?」
と返されることは必定。
 
 
「顔が丸く見えるね。」
と言うと、

「やっぱし、ちょっと太ったかなあ・・・」
と言われるかもしれない。
(相方はその辺を気にしている。)
 
 
では、
「よく似合ってる」
はどうか。

いや、それでは感想がそこで終わってしまう可能性がある。
後からその理由を述べても、取ってつけたようではないか?

出来るだけ、何故そう思うのか、その理由を全部列挙したのち、

「だから、よく似合うと思う。」

という結論に持っていきたい。
 
しかし、言葉や単語がまた、一斉に出てきてしまって、頭の中でグジャグジャになり、まとまらない。
出来ることなら、文章に書いてまとめたい・・・

なんなら絵も入れよう。
って、それじゃあ、ブログだよ。

などと、葛藤が脳内で弾け、飛び交っている間にも、秒単位だが確実に、固まったままの時間は過ぎる。
車内には静寂が居座っている。
 

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(どうしよう、どうしよう・・)
混乱と焦燥が足元の方からじわじわと忍び上がってくる。

(「慎重に」)
というコーチ(だから、誰?)からの指示は、その時点で吹っ飛んでいる。

(とにかく、何かを言わなくちゃ!)
という場当たり的な結論に達し、ついに出た一言が・・・
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 

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なんのひねりも抑揚もない一言であった。
相方は軽く落胆し、

「そのまんまじゃない・・!」

「リアクション薄いなあ・・。」

「感想を言いなさいよ・・!」

などとブツブツ言っている。

私はいよいよ焦って、

「いやいやいや、よく似合ってる。なんかホラ、顔が丸く見えて、ふくよかな感じが・・・いやあの、わか、わか・・」

結果的に、支離滅裂。
最悪の感想となってしまった。
 
 
「分かったから。ホラ、行こう。」
微笑みながら、前方を指差す相方。

「・・・ハイ・・・。」
気持ちと比例して、肩を落とす私。

クルマは、路面の細かい氷粒を踏み砕きながら発進する。
 
 
 
いつもそうなのだけれど、私は肝心なところで口下手である。

今日ほど、それが恨めしいと思ったことは無かった。

とほほ・・・。

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目線の恥じらい

喫茶店などで、相方とお茶を飲んでいる時。

相方は、よく対面の私にちょっかいを出してくる。
それは、額を指でグリグリしたり、鼻をつまんだり、アゴをつまんだり。

そこには、世間一般で言う、

「公衆の面前での、ささやかなイチャイチャ」

が展開されるのだ。
 
 
 
普段、クール極まりない相方がそういう事をするというのが意外で楽しいのだけれど、その時、私にはもうひとつの楽しみがある。

それは、「ささやかなイチャイチャ」をしている時。

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と、相方は必ず周囲の視線を気にするのである。

イチャイチャする自分と、それを客観的に見ている自分が、心の中、葛藤を起こしているのだろう。

その仕草がいかにも相方らしくて、可笑しい。

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コビンちゃん

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相方が、

「心の向くままに作った。」

という編みぐるみを預かった。
 
 
 
名前は「コビンちゃん」
カタチが「小瓶」のようだから・・と、相方の母が命名。
(そのまんまである)

ちなみに、コビンちゃんの後ろには短い尻尾が生えていて、ぺたりと座った姿が妙に可愛らしい。
手に持つと、踊らせたくなるという不思議な魅力を持った「コビンちゃん」。
見つめていると、心が和む「コビンちゃん」。
全身から、甘い香りのする「コビンちゃん」。

月並みな言い方なのだけれど、癒される。

コビンちゃんには、是非とも部屋に鎮座して、微笑みかけていてもらいたいと思う。
29歳にして、編みぐるみに心を許す私って、どうなんだろう・・・?

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報復の連鎖

ここにも何度か書いているのだけれど、相方は私のわき腹を突くのが大好きで、いつも欲しいまま突き倒されては夜毎枕を涙で濡らしている。

しかし、私も男の(かなり)端くれである。

いつまでも泣き寝入りしているというのはいかがなものかと、ついに報復手段を考案し、それを実行に移したのだった。

それが、
 
 
 
「アゴつかみ」
 
 
 
である。

普通に会話を交わしている時などに、突然、何の前触れもなく手を伸ばし、人差し指と親指を中心としてアゴをつかむのである。

そのあまりに意外な行動に、相方は眉間にシワを寄せたまま黙然としている。

私は何故だか知らないけれど

「勝った!」

という達成感に、胸が躍ったのであった。
 

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  しかし。

その後、私の抵抗手段「アゴつかみ」は、相方に軽々とかわされるようになり、逆に相方にアゴをつかまれる日々を送っている。

とどのつまり、私のささやかな抵抗は、相方の技を増やしたに過ぎなかったのである。

合掌。

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相方の風邪

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相方が風邪を引いてしまった。

だんだん良くなってはきているが、まだセキが出ている状態である。
 
 
 
原因は当然、今回の私の暴走にある。
それはどうしようもない事実である。
 
 

相方は、確かにしっかり者である。
私などより、ずっと頼もしい。

しかし、決して強いわけではないのだ。
頼もしいから、つい忘れがちなのだけれど、強いわけではないのだ。

いつもその事は分かっていて、

「自分も強くならねば!」

と、相方の手を引っ張っていこうとするのだが、大体それは今回のような暴走になってしまって、結果、相方に余計に負担をかけてしまうのである。

あああ・・・情けない・・。
 
 
サチ、ごめんな~。
ホントに、これから気をつけるから、勘弁して。

あったかくして寝て、早く良くなってな。

相方:寿より。

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そこまで悔しがらずとも・・

私は、相方(恋人)と行動を共にしている時、よくくだらない事を口走っているらしい。

自分では割と真面目に話しているつもりなのだけれど、
 
「返し方がよく分からない。」

「わけがわからない。」

「くだらない。」

などの理由で、ほとんどスルーされるか、生返事されるか、困惑されるかしている。
 
 
 
しかし、たまにそのくだらないネタが相方の心の琴線を激しく掻き鳴らし、爆笑を禁じえない状況に追い込むことがあるのだ。

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そういう時、相方はうつむいて必死に笑いをこらえる。

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こらえてこらえて、それでも無理だと判断するや、急に逆ギレ。
 

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などとひとしきり謎の言いわけ、理由付けしたあと、

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と呟きながらメガネを外し、泣き出す始末。
 
 
 
何もそこまで悔しがらなくたって・・。
と、思わずにはいられない今日この頃である。

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描きますよ。

昨日の記事を描いている時のこと。

記事の中に、以前、相方(恋人)が話していた「お焼きのアンコが入っていなかった事件」を挿入しようと思ったのだが、そのお菓子がなんだったのかを忘れてしまった事に気付いた。

大判焼きだったか、今川焼きだったか判然としない。
大体にして、大判焼きと今川焼きは同じモノではないのか?
だとしたら何故、名前が違うのか・・?
 
 
その辺の事は適当に描いてもいいのだが、そうすると必ずコメント欄に冷静沈着極まりない文体で

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という突っ込み系注釈を入れられる事は必定。
それは良くないと思い、さっそく電話取材を申し込んだのである。

厨房から電話の子機を持ってきて、慣れた手つきでダイヤルする。

(ピピププピパピピプパピプパプピ)
0033-090-●●●●-●●●●

よどみないダイヤリングに我ながら惚れ惚れする。

プルルルルルル・・プルルルルルル・・

電話の呼び出し音というのは期待から始まり、コール回数を重ねるごとに、

「ああ、出られないのかも・・。」

という小さな落胆へと姿を変えてゆくものである。
期待が落胆へ姿を変え始める4回目、接続音とともにコール音は途切れた。
期待から昇華した安堵が満ちる。

「はいはい。」

「あ、サチ?今、電話いいかな?」

「いいよ~。どうしたの?」

「あのさ~。この前話してた、どっかの神社の屋台で買ったらアンコが入ってなかったお菓子ってなんだったっけ?」

「大判焼き!忘れもしない大●八幡宮の屋台で買った大判焼きだよ!」
即答し、ていねいに場所まで教えてくれる相方。
取材の相手としては最高である。

「あ、そうだ!大判焼きだ!んで、大●八幡宮ね。(笑)そうかそうか。分かった。ありがとね。」

「え?あ、うん。でもなんで急にそんなこと聞く・・」

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さすがに相方。
察しがよろしい。

描かせていただきました。

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セーター想いの「丈」

昼間に降った雨が夜の冷風にさらされて路面をキラキラ輝かせる県道を、私は相方(恋人)のウチを目指し車を走らせた。

相方のウチの近くに車を停めて少し待っていると、滑る路面に足を持っていかれぬよう注意深く歩いて来る彼女の姿が見えた。

ドアを開けて入ってきた相方は、ハンドルに突っ伏している私を見て

「泣かないで。」

と、謎の一言をかけ、続いて紙袋を差し出したのである。
 
「ハイコレ。遅くなったけどクリスマスプレゼント~。前から言ってたセーターだよ。」

私は

「お~!?お~!?」

と、驚嘆と喜悦の入り混じった奇声を発しながら、袋から毛糸と愛情のふんわり編みこまれたセーターを取り出した。

相方は照れながら

「いやあ、初めて作ったからさー。ちょっと重いかも知れないよー。あと採寸もしなかったから、ちょっと丈とかが長いかも・・」

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ベージュに近い色合いのセーターに染み付いた相方の匂いを嗅覚で堪能し、しっかりと編みこまれた毛糸を、触覚のもっとも敏感な手のひらと頬とクチビルで感じる。

今、指先と顔面にぬくもりを与えてくれているこの「想いのカタマリ」と、同化したい、同化する方法は無いものだろうかと考えあぐね、ついに

「そうだ、着ればいいんだ!」

という結論に達した。
その間約5分。

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すぐさま着ていたセーター(10年程前に姉に編んでもらったセーター。いまだ現役。)を脱いで、相方の「処女作」にソデを通す。
 
 
 
やはり相方の言うとおり、やや丈が長い。
しかし、それは「大きい」というより、「ゆったり」という範疇のものであり、なによりしっかり丁寧に編みこまれた仕事と、編み目を補う愛情のオーラが見事な保温能力を発揮し、温かかった。

きっと今、サーモグラフィーで私を見たら、白い影がハート型に浮き出ることだろう。
 
  

人にとっても大変な事をしてもらった時というのは困るものである。
何故ならば、

「この感動と感謝を、如何に正確に余すところなく相手に伝えるか。」

ということに悩むからだ。
 
出来る事ならば、言葉を尽くしてありったけの感謝を伝えたい。
伝えたいのだけれど、結局それらは

「ありがとう。」

の言葉に凝縮されてしまう。

「伝わるだろうか・・」
と不安と焦燥を感じながら、

「ありがとう、ありがとう。」

と繰り返したのであった。

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コロンブスのセロハンテープ

相方(恋人)から借りた本に衝撃を受けた。

本の題名は「東海林さだお~タクアンの丸かじり~」。
内容はとっても面白くて、さだお先生はスゴイなあ・・と関心しきりではあるのだが、そこに衝撃を受けたわけではなくってですね。

本の「見返し」と言うのか、「チリ」と呼ばれるところなのか、よく分からないのですが、要するに、カバー・・これを「カバー」というのか「ブックジャケット」というのかはよく分からないのですが・・の折り返し。
これを「ブックジャケットのそで」というのか、表紙裏というのかよく分からないのですが・・。


要するに、カバーの折り返しのところを見て衝撃を受けたのである。
なぜならば、カバーと本の境目にセロハンテープが貼り付けてあったからだ。
 

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私にはかねてから、読書をする際に必ず思い煩い、苦悩させられ、煩悶を強いられてきた事があった。

「カバーの取り扱い」である。

夢中で読んでいるうちに、98%の不運と、2%の不注意から、必ずカバーが剥離したり、カバーと書籍の関係にズレが生じて上辺または下辺がヨレヨレになったり、酷い時には行方知れずになり、捜索隊を結成して発見した時には変わり果てた姿になっていたり・・という数々の悲劇が生まれた。

自分の本ならまだしも、借りた本までそうなってしまうため、身内にも「あんたには本貸さない。」という三行半(?)を突きつけられ、そうしているうちに私の背中には「読書不適合者」、または「準禁治本者」という名の烙印が深々と刻まれていったのだ。
 
 
決してワザとやっているわけではない。
本とカバーの関係がしっくりいっていない事から発生したイザコザに、善意の第三者たる私が偶然巻き込まれた格好なのであり、むしろ私は被害者と言っても良いくらいなのだ。

何故、本にカバーなど付けるのだろう?
いっそカバーなどこの世から消えてしまえばいいのに・・。
と夜毎嘆き、枕を涙で濡らしたものである。

しかし、カバーのソデをセロハンテープで留めてしまえばどうだろう?
カバーは外れる事はおろかズレる事も皆無である。
この相方の画期的な書籍カスタマイズは、長年の懸案であった「カバー問題」に終止符を打ち、私の長年の「カバーコンプレックス」を崩壊させ、瓦解させ、氷解させ、倒壊させてくれたのだ。

まさに、「コロンブスの卵」である。
私は感涙を禁じえなかった。
 
 

しかも、このセロハンテープはやけに風情がある。
 
文庫本の見返しに貼られたセロハンテープ。
その黄ばみ具合に歴史を感じ、つい想像を掻き立てられる。

私と逢う以前に、彼女は見知らぬ土地の見知らぬ書店でこの本を購入し、読む前にとりあえずセロハンテープでカバーをペソッと留める「何気ない儀式」を執り行っていたのだろう。
 
 
文庫本の見返しに貼られたセロハンテープ。
その黄ばみ具合に縁というものを感じ、つい見入ってしまう。
 
その時、「何気ない儀式」には立ち会えなかったけれど、
今、このセロハンテープに出逢えて良かった。

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・・まあ、自分ではやらないと思うけれど。
(面倒クサイし。)

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ノロケの真相・・?

相方(恋人)の友人もウチのブログをたまに読んでくれているらしい。

こないだ、相方がその友人と電話で話している時に「言戯」の話題になり、こう言われたそうだ。

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やだなあ。
そんな、逃がさないために描いてるわけじゃないですよお。
あははははは。

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油断禁物

街で、相方(恋人)と待ち合わせをする時には、よほど注意しなければならない。

何故ならば、待ち合わせ場所に不用意に踏み込もうものなら背後から忍び寄られ、

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と、背中を肩で強打されるからである。
どちらかと言うと小柄な相方が飛びながらぶつかってくるため、下からえぐり込まれるようにヒットする。
これが結構痛いのである。

吹っ飛ぶ私に集中する好奇を含んだ周囲の視線。

「お?痴話ゲンカか?」
「彼氏~、なにやらかしたんだ~?」

と思われていることは火を見るより明らかである。

そこに、追い討ちをかけるように相方の

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という逆ギレ。

「東北地方の冬は寒い」
という事を、何故か私が責任を取らされ、体罰による肉体的ダメージを負い、世間からは「ロクでもない男」の目で見られる。

まさに踏んだり蹴ったりである。
こんな理不尽が許されていいのだろうか。

いいハズがない。
いいハズがないのだ。

これからは、背後にもっと気を配って生きてゆきたいと思う。
(消極的対処法)

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ミソに嫉妬するか!

というワケで、昨日は相方(恋人)とお茶を飲むべく、車で相方宅まで向かった。

昼間の強風が雲を引き込んだのか空には薄い幕がかかり、月が黄色くぼやけて、やや汚く見える。
メガネを外して疲れ目を労わりながら、いつもの場所に車を止め、相方を待っていた。

ラジオからは何とか言う歌手のとりとめない話と、歌が交互に流れ出ている。

しばらく待っていたのだが、一向に相方が現れない。
先ほど電話したから、そろそろ来てもいいはずなのだが・・。
なにかあったのだろうか?
しかし、ここは相方の自宅からすぐ近くの場所であり、異変があればすぐに分かる。
それはないだろうと、瞑目する。

すると突然、助手席のドアが開き、相方が飛び込んできた。
少し息せき切っている。

「どした?なんかあった?」
私は家でなにかあったのかと尋ねた。
相方はシートベルトを締めながら、興奮冷めやらぬ面持ちで、

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と言った。
「ミソが??なんで?大丈夫だったの?」
どういう経緯かは知らないが、とりあえず「爆発」という物騒な言葉に驚く私。
「うん。ミソとかキムチを常温で置いておくと、発酵が進んで爆発するんだねえ。」
「んで?大丈夫なの?ウチは。」
どの程度の爆発かは分からないが、とりあえずミソだらけになった相方のウチの台所を想像し、家族の安否を気にかける。

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「つい、見入っちゃってねえ。遅れちゃった。ごめんね。」
「・・・あ、そう。」

さっさとドライブシフトに入れ、発進する私。
少し運転が荒いのは、きっとミソのせいだろう。
相方は、私が気を悪くした事に気付いたらしく、腕にそっと手を添えてこう言った。

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公然たるイチャイチャ行為

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「手を繋いで歩くカップル」
「腕を組んで歩くカップル」

を街で見かけると、いつも「羨ましいナ。」と感じてしまう。
非常に、ヒジョ~~に羨ましい。

「カップルが」ではなく、
「手を繋いで」または「腕を組んで」
の部分が羨ましいのである。

相方(恋人)と街を歩く時。
我々は手も繋がないし、腕も組まない。
お互いになんとも気恥ずかしいし、「そういうキャラじゃない。」と思っているので、どうも人目に触れるところでの「イチャイチャ的行動」がはばかられるというか、良識とか、常識とかいうものを楯にして「大人だもん。そういうことはもうしちゃイカンよね。だよね?」と、双方間合いを計っているフシがある。

特に私の方に多分にある。
 
 
しかし、そういった一連の「イチャイチャ的行動」に対する憧憬の念というか、そういったものはやはり抑え切れぬほどあるもので、誰かに見せたいというワケでは決して無いのだが、そばにいると触れたくなるという肉欲とはまた違う密着願望が芽生えてしまうのは愛情の成せる業と言える気がしてならない。
 
 

ある日の事。
私は意を決して相方にこう発案した。 
「試しに腕を組んで歩いてみよう。」
普通ならば、自然の流れでそうなるものだと思うのだが、この二人の場合、こういった「よし、やるぞ」的な通過儀礼を必要とする。
その時点で終わっている感が否めないのだが、何しろそういう「公然たるイチャイチャ行為」に不慣れな我々である。
当然のように

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と言うような事態に陥ってしまった。
 
やはり、双方ともが自分を客観視してしまうクセの持ち主であるがゆえに、「二人の世界」というものが形成出来ないのである。

我々はすっかり途方に暮れ、結局、「やはり、無理は止めておこう。」
という一応の結論に達し、それ以来「公然たるイチャイチャ行為」の実行を持ちかける事も無くなったのである。

やはり、ニガテなものはニガテなのだ。
「どちらかが」というならまだしも、二人ともがニガテなのだ。
これはもう、その時点で「公然たるイチャイチャ行為」には縁が無かったのだ。
そう諦めざるを得なかったのである。

そういうワケで、二人で連れ立って歩く際は、何となく並んで歩いているのであるが、最近たまに相方がさりげなくポケットに突っ込んだ私の腕にそっと手を回してくれる。

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私は何も言わずにいるのだが、内心「ああ・・!これが『自然の流れ』というヤツか!」と感動すると共に、なんともこそばゆくてこっ恥かしさこの上なしなのだが、こうやって自分のために色々な壁を越えてくれる相方が好きで仕方が無い。

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相方の流行

※注意!※
※今回の記事には、ノロケ的表現が含まれております。

普段、相方(彼女)は、私の弱点である脇腹を突く事で楽しんでいる。
しかし最近になって、新たな楽しみを見つけたらしい。

それはクルマを運転中の信号待ちなどで停車した際。

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耳の穴に小指を突っ込んでくるのだ。
しかも、表情をまったく変えずに繰り出してくるため、非常にビックリする。

耳の穴に自分以外の人間の肉体が入るというのは、奇妙な違和感があり、相方の指に耳垢が付着するのではないかと気が気でなく、とても恥かしいのである。

手を取り、
「やめろよう・・!」
というと、

「いいじゃんか。ホントは好きなくせに。」

と、まったく取り合う気配すら見せない。

これをされるようになってからというもの、お風呂や部屋で人知れず、念入りに耳掃除するようになったのは言うまでも無い。

(ご期待に添うべく、思いっきしノロケましたよ!はせさん!どうスか?)

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上機嫌の理由

相方(彼女)に用事があって、電話をかけた。
すると電話の向こうから・・

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という、いつになく上機嫌の相方が出たのである。

「なに?今日は機嫌がいいねえ。なんかあった?」
なんだか私も嬉しくなって、その理由を聞いてみた。

「うんー。別になんも無かったんだけど、ヘタに電話に出ると、『機嫌が悪い』ってblogに

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「・・・。」

怖いよう・・。
ブルブル・・。
(んで、またこういう事を書く。)

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凛々しいお姿

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相方(彼女)は、とても冬の似合う女性である。

髪をピッタリと整え、コートに身を包み、ブーツをカツカツと響かせながら伏し目がちに歩く姿は「凛々しい」という言葉がもっともよく当てはまる。

よーするに、「カッコイイ」のである。
「カッコイイ」とは縁の遠い私としては、非常に羨ましい限りだ。

しかしながら、見れば見るほど
「某国の工作員」
を連想してしまうのは気のせいだろうか・・。

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少し残った女の部分

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街の喧騒がその色合いを変え始める夜7時。
私と相方(彼女)は喫茶店でお茶を飲んでいた。

小さなテーブルに向かい合い、他愛も無い話を交わしているうちに、ふとクリスマスの話題がテーブルにのぼった。

「そういや、もうすぐクリスマスだよ。はえーなー。」
私はストレートティーをソーサーに戻しながら、クリスマスに思いを馳せていた。

「そうだねえ~・・クリスマス。もう来月かあ。」
相方は少し猫背になりながら、ブラックコーヒーを一口飲む。

「クリスマスといえば、プレゼントだなあ。プレゼントは、『広辞苑』でどうだべ?」
と聞いた。
何気なくの、極めて思いつきである。

相方は、思わず吹き出しそうになったコーヒーをソーサーに戻した。
「カチャリ」という磁器の当たる音が少し高めに響く。

「あはは!いやあ~。『広辞苑』ねえ・・。」
「あれ?欲しがってなかったっけ?『広辞苑』。」
「うん。もちろん欲しいけどね。なんつーか、私の『女の部分』がね。『それはどうなんだ?』とね。」
「『女の部分』が。」
「そう。少しだけ残された『女の部分』が。」

ああ、そうか。
確かに、クリスマスプレゼントで『広辞苑』というのは、あまりに色気が無いような気がする。
単純に「欲しいものをあげればいい」というわけではないのだ。
私は少し反省すると同時に、「色気」という私にもっとも縁遠いものを求められ、拱手瞑目、少しだけ途方に暮れていた。

その様子を見ていた相方が、こう言った。

「まあ、アレだよ。『広辞苑』よりも、『擬態語辞典』の方がいいな。」

おそらく、途方に暮れる私を見た相方が気を使ったのだろうが、『広辞苑』よりも、『擬態語辞典』の方がやや色気があるという事は、ある意味間違いは無い。
なにしろ、『擬態語辞典』の方には「いちゃいちゃ」という擬態語の意味が丁寧にイラスト付きで記述されているからだ。
 
 
・・無論、冗談であるが、 
とにかく、相方の喜ぶものが贈りたくて仕方が無い今日この頃である。

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華麗なる逆転

季節はまさに秋から冬へ。
一日ごとに気温を激しく上下させながら着々と雪の季節へと進んでいる。

季節の変わり目は、もともと体調に異変を起こしやすい時期で、特にこの時期はよほど注意を払わないとあっという間に体調を崩してしまうものだ。

相方(彼女)は今年の5月に宮城県に帰ってきたばかりで、愛知と宮城の種類の違う寒さに体が順応できずにいる。
これまでも、常に鼻をグズグズさせていて、

「仙台の秋は寒い・・!寒いのよ・・!」

と、やる方の無い憤まんを私の脇に手刀を打ち込むことでいなしてきた。
 

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ある日の夕方。
相方とお茶でも飲もうかと、携帯に電話をかけた。

プルルルル・・ブツッ
「・・あい。」
いつもより、輪をかけて鼻声の相方が出た。
私は、(ああ、これはイカン・・)と思いつつ
「風邪ひいたか。」
と、確認する。

「うー・・(うん)。引いたでー(ねー)・・。ズビー!」
「おっきいな、今回のは。」
「うー・・(うん)。おっきいでー(ねー)。」
「今日、お茶飲みに行くべかと思ったんだけど、止めといた方がいいね。」
「えー・・?らいじょうぶ(大丈夫)よー。風邪って言っても、鼻がズルズルなんと、ゲヘ!セキがちょっと出るくらいらしー(だしー)。とりあえず、熱は無いから。エフエフ!!行けるー。」

その他は風邪の要素が全て揃っているのに、ただ一点『熱が無い』ということだけで『行動できる』という判断を下す相方に、「妙なところでポジティブ。」と思いつつ、

「・・いや、無理だから。それは。」
と言った。

「ほんなころだいってー(そんなことないって)。はあ~・・(口呼吸)」
食い下がる半死半生の相方。

「無理無理。」
すげない私。

「ああ、そうやって、あたしを見捨てるので~(ね~)?ヒドイ・・!ズビー!」
「なんでそうなる・・。」

その時、携帯から聞こえる相方の背景がどうも騒がしい事に気付いた。

「・・サチさ~、今、どこにいんの?」
「え~?一番町(仙台駅前の大きなアーケード通り)の『キャスロン』(喫茶店)・・。」
「なんで、具合悪いのにそんな所にいるかな!」
「あ~、いや、ちょっと用事があったし、ケフッ!あのホラ、『キャスロン』のジンジャーエールって、風邪に効くかな~と思って・・けへけへ!」

私の心配は一瞬にして怒りへとその姿を変え、

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いつもはヘニョヘニョでも、たまには怒るんだぞ!と言わんばかりに相方を叱りつけた。
勢いとは言え、図らずも珍しく、勝利を手にした事を密かに喜ぶ私。

「な、何さ!怒らなくてもいいじゃないか!分かったよ!帰って寝てやるよ!・・あ、ところでさ」
「なに!」
「トシさんって、服のサイズL?」
「そだよ。なんで?」
「いや、セーター編んだろと思って。」
「・・・つД`)」

結局のところ、私は到底相方に勝てないのであった。

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相方改造計画

相方(彼女)と喫茶店にて話をしていたときの事。

「私、可愛い女になりたかったわ・・。」

と、相方が切り出した。

「可愛い女?なんで?」
口に運びかけていたスチームミルクをテーブルに戻し、私は聞き返した。

「親にも言われてるんだけどさー。私の可愛さって、3歳時がピークだったんだって。今でも3歳の時の私の写真がウチに貼ってあるんだよ。」
「っつーことは、3歳からは下降の一途ってこと?」
「っつーことになるよねえ。」

なるほど。
相方は可愛い女になりたいのか。
そういう願望があるとは知らなかった。

しかし、そこで私は思わず想像してしまったのである。
相方が、一般的に言われる「可愛い女」に、なったときの事を。

まず、逢った時。
もしも相方がいつものように、うつむきながら早足に突進してくるのではなく、満面の笑みで手を振りながら駆け寄ってきたとしたら・・

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もしも笑う時に、「ニヤッ」という不敵な笑みではなく、素敵に「ニコッ」と笑ったら・・

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確かに可愛いかも知れないが、それは相方ではないような気がする。
私は、「可愛い相方」を色々想像したが、どれも相方のようでいて相方ではなかった。
黙々と考えつづける私を見かねた相方が言った。

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ああ、良かった。
やはり、相方はこうでなければ。

相方は、自分で思うよりずっと可愛い女性である。
ただちょっと分かりづらいだけなのだ。
でも、それでいい。
キミの可愛さは、私だけが分かっていれば良いのだから。

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うろ覚え決戦

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そんな可愛い娘のいる喫茶店で、相方(彼女)と私はお茶を飲んでいた。

ショッピングモールの中にあるその店は、隣の洋服屋さんの有線放送と、カートを押して歩く人々のざわめきが不思議な居心地の良さを演出している。

二人がけ用の四角いテーブル。
私はホットミルクのカップを両手で包み、相方はホットのキャラメルラテを「甘い・・!」と言いつつ口に運んでいた。

話の流れはとめどなく、どういうわけか「アルプスの少女ハイジ」に至った。

「ハイジって言えばさー。こないだ『トリビア』で、ハイジのその後の話を描いた映画があるってやってたんだよ。」
と私が切り出す。

「ああ、見た見た。確か、ペーターが若い時のジャン・クロード・バンダムだったヤツやろー。」
という相方の返答に、私は違和感を覚えた。
ペーターは、ジャン・クロード・バンダムではなかったはずだ。
すぐさま脳内の「うろ覚え中枢」から必死に記憶をたぐり寄せ、おぼろげなモンタージュからもっとも近い人名を割り出した。
「え?違うよ。ペーターはトム・クルーズだったよ、確か。」
「えー?違うって。バンダムだよ。それか、スティーブン・セガール。」
相方も、どうやらうろ覚え中枢から記憶を繰り出しているらしい。
「いやいやいや、どっちも違うよ。そんなにゴツくなかったって。」
「いや、バンダムかセガールだよ。『ごんぶと』とか、『沈黙のナントカ』の人だよ。エエ体しとったもん。ムキーって。」
・・体かい。
「ちがうちがう。絶対ちがう。トム・クルーズだって。ほれ、『メジャーリーグ』でピッチャーの役やった人。」
「ん?『メジャーリーグ』って、トム・クルーズ出てたっけ?」

さんざんに問答したのだが、双方とも、決定打に欠ける。
相手の言ってる事は間違っている事は分かっているのだが、自分の答えにもあまり自信がない。
そのうちに、二人とも黙り込んでしまった。
どちらかが折れたり、「まあ、いいか。」という事になればいいのだが、表面上はそうなっても奥深い部分では両方とも納得しないのだ。
そのこともお互いよく知っている。

そのうちに、相方が口を開いた。
「確かさー、『トリビアの本』って、出てたよねえ。アレに載ってるんじゃない?」
おお、その手があったか。
我々はさっそく同じモール内にある書店へと足を向けた。

こういう探し物、検索能力は、相方は異様に高い。
あっという間に本を見つけ、パララララと探してゆく。
私はその能力にかなり欠けるので、大人しく隣で覗き込んでいた。

「あっ!」

相方が声をあげた。

「あった?トムだろ?やっぱ。」

「・・・チャーリー・シーン。」

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本屋で堂々と立ち読みしながら大騒ぎする大迷惑なバカップル。
真実は、見事に二人のうろ覚えの間をすり抜けていった。

「チャーリー・シーンな。そういや、チャーリー・シーンだよ!『メジャーリーグ』に出てた人。っつーことは、オレの方が正解に近かったな。」
「いやいや、顔の輪郭はバンダムとかセガールに近い。私の方が正解に近いね。」

お互いに優位を引っ張り合いながらも、結局は「引き分け」という事にあいなった。
我々は、胸のつかえが一気に解消し、実に爽やかな気持ちで書店を後にした。
(本当に迷惑な客ですみませんでした。)

「うろ覚え」というものは、大体にして正解でない事が多いのだが、特に今回の出来事で、
「うろ覚えはうろ覚えを呼び、より大きなうろ覚えに発展する。」
という教訓を得た事は言うまでも無い。

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福の神に敗れた日。

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私は、どちらかというと混んでいる店というのがニガテな性質で、空いている店に好んで入る習性がある。

そのせいか、よく利用するお店は、程なくして廃業する事が多く、空いている店ばかり好み、混んでいる店には寄り付かないという行動パターンから、まさしく「貧乏神」の二つ名をほしいままにしていたのである。
 
 
しかし、そんな私の「貧乏神伝説」に、強大なライバルが現れた。
相方(彼女)である。

相方と、ご飯を食べにいくのは私の大きな楽しみの一つである。
お店を選択する時は、好き嫌いがあまり無く、なんでも「美味しい美味しい」と食べてくれる相方が(イイ女だろー?)、やや偏食のケがある私の意向に合わせてくれるため、自然と空いている店を選択する事が多い。

つい先日の事。
ランチタイムを少し過ぎた午後2時20分。
我々はとある食事処に入った。
店内は、男性一人、カップル二人のたった三人しかおらず、私的には非常に居心地のいい空きっぷりであった。
店員さんは、手持ち無沙汰がやや解消されたように、まばらな時間帯に訪れた我々の注文を丁寧に聞き取り、厨房へと伝えにゆく。

待つ間に、とりとめもない会話をしていると、ぼくはふとある違和感を感じたのだった。
その違和感は、相方とご飯を食べに行くたびに感じていたもので、原因が今までイマイチ分からなかったのだが、その日は特にハッキリとその異変が分かった。
その感覚の原因は、店内の活気にあった。
先ほどまでガラガラの、私好みのガラガラっぷりだったガラガラ店の入り口から次々にお客さんが入ってくる。
表を見ると、次々にクルマが駐車場に詰めかけ、モタモタ駐車する車の後ろで、さも舌打ちを禁じえないような様子で次のクルマが待っているような光景が広がっていた。
かくして、さっきまでガラガラだった店内は、いつの間にか満員に近い状態までなっていたのである。

明らかに、我々の入店直後に人の流れが変わっている。
考えてみれば、相方と食事などをする時。
必ずと言っていいほど始めはガラガラの店内だと言うのに、食べ終わって会計をする時にはかなり賑わった状態になっているのである。

ぼくは前述のとおり人気を避ける「貧乏神属性」の強い人間であるから、つまり、相方が人並み外れた「福の神属性」だという事になるのだ。
その「福の神度」は、ぼくごときの「貧乏神度」をはるかに上回るほどの威力であり、およそ人知を超えた能力なのかもしれないとさえ感じたのだった。

敗北を認めたぼくは、相方にその旨を伝えた。
「最近気付いたんだけど、サチが店に入ると、必ずどんどんお客さんが入ってくるよな。」
すると、相方は初めて見るような不敵な笑みを浮かべこう言った。

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分かっていたのか・・!
チクショー!

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歌の記憶

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こないだ買ったCDは、相方(彼女)と私、二人ともが好きな歌手のものだった。
その日の帰り道、クルマのCDプレイヤーにさっそくセットして、少しだけ大き目のボリュームで聴きながら帰った。

その歌手が、ヒット曲を出し始めたのは丁度二人が歩く道を一度大きく離した頃だった。
それから約10年間、我々は、まったく違う土地で、まったく違う人たちと、まったく違う生活を送りながら、この歌手の歌を聴いたり、歌ったりしていたのだろう。

そして今現在、クルマの助手席でCDに合わせながら呟くように歌をなぞる彼女は、曲の間奏を縫って、
「懐かしいねえ。」
「あの頃はこんな事があってねえ。」
「あ、歌、邪魔だったら言ってね。」
と、ひとりごちるように話しかける。

その様子をクルマの運転席で、ハンドルを微調整しながら相槌を打つ。
もしかしたらこの人は、一緒に歌を聴いて、過去をポツポツと話すことで、過ぎ去った時間をなぞり、空白の時期を埋めようとしているのかも知れないなあ・・。

と、ぼんやり思っていた。

・・・

ああ、またノロケちゃった。

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物欲の女神

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昨日の事。
かねてより欲しいと思っていたアルバムCDが頭から離れず、ついには神経まで及んだ虫歯のように、日常生活に支障をきたすところにまで至ってしまったため、やむなく購入を決意した。

なにしろ、CD屋さんに購入目的で足を踏み入れるのは約10年ぶりのこと。
私が知らない間に、CDの購入方法というか、作法が約10年前と現在でズレているかも知れないと一抹の不安を抱き、スペシャルアドバイザーとして相方を召集した。

相方は、普段、私が食事やお茶、ガソリンと本以外のモノにはほとんどお金を出さない、必要なものも、いよいよ必要に迫られるまで買わないという事を知っているので、非常に驚いた様子であった。

我々二人は連れ立って、よく立ち寄るショッピングモールのCD屋さんに踏み込む。
入り口は狭く、防犯用のセンサーが出迎えてくれた。
別に後ろ暗いところがあるわけではないのだが、何故か緊張の色を隠し切れず、それを紛らわすため、相方に
「コレさ、入る時にピヨピヨピヨ!って鳴ったらどーする?」
と聞いたところ、
「他人のフリして先に行く。」
という非常にクールな返事を頂いた。
少しさみしい気分になりながらも、無事入店を果たしたのである。

店内は、CDが所狭しと置かれていた。
(そりゃあ、CD屋さんだかんね。)
約10年前と違うのは、DVDコーナーがかなりの面積を占めているという事。
ビデオコーナーは昔もあったが、CDの棚の隅っこにほんのチョッピリあるだけだったと思う。
恐らく、価格がお手頃になったのと、陳列スペースが少なくて済むというのが要因の一つなのだろうと結論付け、目的のブツを探し始める。

普段、買うつもり無くこう言ったお店をウロついているとまったく感じないのだが、「買う!」という意思を持って店内を歩くというのは、なんとも言えない高揚感がある。
オレ様、これからお前らの誰かを買うゾ。」
という気分になる。
「オレ様」という、己の性格から対極に位置する一人称も、ついつい自然に出てきてしまうというものだ。
何か、自分が偉くなったかのような「全能感」がそこにある気がしてくるのだが、すぐにそれは自分自身ではなく、お金の力なのだと気付き、平静を取り戻すに至るのである。

目的のCDを見つけ、それを相方と検討したあとレジへ運ぶ。
レジには黒いTシャツにジーンズ、首から店員の名札を付けたストラップを下げたにーちゃん店員がいた。
いつも思うのだが、こういうCD屋さんとラーメン屋さんのユニフォームは、何故か黒のTシャツが多い。
黒というのは、人に言い知れぬ不安感や威圧感を与える色だと思うのだが、どうしてわざわざそんな色を選ぶのだろうか。

などとぼんやり考えながら三千円ちょっとの会計を済ませた。
防犯用のチップを外され、袋に入れられて手渡される瞬間というのは、「これは、オレのものだかんな。」という、征服感と、安心感が感じられる。
普段、あまりにモノを買わない生活を送っていると、そのあまりの快感に心臓は高鳴り、脳はドーパミンで満たされ、目眩すら覚えてしまうのである。

同じ歌手のCDを購入した相方の会計を待ちながらその辺をウロウロしていると、こないだ観た映画「スウィングガールズ」のサントラが出ているのを発見した。
別にそのサントラには食指は動かなかったのだが、その横に置いてあった「スウィングコレクション」だとかいうCDに目が釘付けになる。
ジャズの有名どころの曲を(イン・ザ・ムードとか、A列車で行こうとか、シング・シング・シングとか、ムーンライトセレナーデとか)、これまた有名どころ(グレン・ミラー楽団とか)が演奏したものを集めたCDが売られていたのである。
これは欲しいと思った。
まさに、一度解き放たれた物欲が連鎖反応を起こしている。
それが自分でも分かった。

そこに持ってきて、相方が
「あ、これはいいなあ。」とか、
「2,000円だってよ。おトクだよ。」とか、
「コレを逃すと次は無いかもね。」とか、ラジオショッピングのような言い回しで私の購買意欲を刺激し、しまいにはCDをつまんでヒラヒラさせ、風を送ってくるのである。
(この行動に何の意味があったのかは今だもって不明ではある。)
久しぶりに芽生えた物欲にすっかり酩酊し、頭はクラクラ、目はチカチカ、耳はキンキン、鼻はピクピクであった。

まさに、相方が「物欲の女神」に見えた。

財布には、十分お金は入っている。
しかし、一度に2枚もCDを買うのはあまりいいことではない気がする。
大体、こないだ壊した携帯電話を買い換えなきゃならない。
それに、靴下も穴だらけだから、新しいのを買わなきゃならない・・
なにより、今は気分が高揚している。
異常事態である。
こういう時の軽挙妄動はロクなことがない。

私の自制心は土俵際、しかも徳俵にまで追い詰められながらも、見事、物欲をうっちゃった。
後ろ髪を断ち切りながら、店外への脱出に成功したのである。

先ほど、さんざん私をそそのかした相方は、私につられて自分もCDを一枚買ってしまったため、
「わあ。私、2年ぶりにCD買っちゃったよ。いいのかなあ・・ドキドキする。」
と、興奮気味であった。
普段、やはり本くらいしか買わない人なので、私と同じような気分だったのだろう。

今回の内なる戦いを通じて、物欲と言うのは、甘美極まりないものであり、同時に危険極まりないものであると再認識した事は言うまでも無い。

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グッジョブだったらしい。

こないだ、相方(彼女)とハンバーガーを食べた時の事。
対面の席で食べていた相方が、私の顔を見つめているのに気づいた。

「どした?」

と聞いたところ、

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と言うのである。
何の事か分からず、しばらく考えていたのだが、「はっ!」と気付き、慌てて頬を拭った。
そう。
私は、ハンバーガーを食べる時につい油断してしまい、ソースが横から漏れ出して頬に付着していたのである。

「あ、取っちゃだめだよ。今、等間隔についてて可愛かったのに。」
と、何故かウットリする相方。

「指ですくって取ってあげたかったのに。」
悔しがる相方。

相方の、「女の浪漫」を垣間見た夕暮れのバーガー屋。

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ミラクルアンラッキーに死す。

何気ない日常の中に、信じられないような不幸というものが突如として現出することがある。
私は今日、その「ミラクルアンラッキー」に見舞われた。

買出しに出かけた時の事。
何気なくコンビニに立ち寄り、お茶でも買おうとクルマを降りた。
助手席に置いてあった携帯電話を右手に持ち、その右手でドアを閉めようとしたその時だった。

手に持っていた携帯電話が、突然ひったくられたように手からちぎり取られ、締まったクルマのドアに勢いよく挟まれてしまったのだ。

一瞬、何が起きたのか自分でも分からず、
「え?ええ??」
と呟くばかりであった。

ひったくられた携帯電話をよく見てみると、何故、突然手から飛び出したのかが分かった。
事故の詳細は以下のとおりである。

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右手に携帯電話を持ったまま、ドアを閉めようとした時に、

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ストラップがドアロックの出っ張りに引っかかり・・

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気付かずに締めたために手からちぎり取られ、

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板ばさみに。

原因は、ひとえに自分の不注意なのではあるが、どうしてこうも見事に引っかかるものだろうかと、なんとも言いようの無い脱力感に見舞われた。

ドアに強く挟まれた携帯電話は、あわれ液晶画面が二つとも大破し、完全に機能しなくなってしまった。
携帯電話が壊れてしまったのは、まあ仕方が無いとして、なかに入っていた写真がダメになったのは痛い。

こういうバカップル写真が入っていたのに・・。

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親しさゆえの恐怖

どーーーして男って、そう言ったくせに守るべき対象である妻にビクついているのでせふかっ!?
…と、まだLOVE×2のそんちょさんに問いかけてもナニでありますが。

じゅじゅさんのコメントより
 
 
 
はっはっは。
そんな、じゅじゅさん。
怖いに決まってるじゃないですか。
いかにラヴラヴとは言え、相方の怒った時は、私も逃げ出したくなりますよ。

なにしろ、彼女は黙りこくって全身から殺気をみなぎらせますからね。
もし、私に犬のシッポがあったなら、股ぐらに巻き込んでお腹見せますよ。
降参ですよ。
代わりに、タマタマが縮み上がりますよ。
つまり、子種の工房が店じまいするということです。

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何故、身近な女性ほど怖いのだろうかと考えてみたのですが、愛情を感じる女性に対して、男は無上の尊敬の念を抱きます。
その尊敬の対象が怒るということは、「尊敬+恐怖=畏怖」となり、これ以上無い恐怖となるのではないかと思うのです。

どうしたって、男よりも女の方がエライなんてこと、みんな分かっているからだと思いますです。
どうでしょうか。

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嬉しいあたたかさ。

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相方(彼女)が、帽子を編んでくれた。
カタチはお揃いの色違いである。
(まあ、当然サイズも違う。)

手づくりの品は、何故こうも嬉しいのだろうか。

それはきっと、作っている間、こちらの事を色々考え、想って作ってくれているということが嬉しいのだろう。

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そして、時間の消費割合が多いからだと思う。
お金は稼げばまた手に入るが、時間は取り返しがつかない。
そんな貴重なものをたくさん消費して、作ってくれたというのが嬉しい。

私の頭のサイズにピッタリ合った帽子を被るたびに、あったかくて、嬉しくなる。

ええ、ノロケですが何か?

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見方によっては主従関係。

日常の何気ない行動や仕草の中に、関係性や優位性はハッキリと現れるものである。
人間も、他の多くの群れを作って生存する動物と同じく、「主」と「従」によって成り立っているのだ。
私は、普段からそれを強く意識せずにはいられない。

相方(彼女)と歩いていると、よく私の服やリュックからプラプラと出ているヒモを「しっか」と握られる事がある。
それを持ったまま歩くのである。

一見、仲睦まじくも見えるこの様子だが、見方をちょっと変えると・・

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と、見えなくも無い。

私の考え過ぎだろうか・・?

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辞書で盛り上がるふたり

本屋の店内には、ある特定の人間に激しく作用する興奮剤が噴霧されている疑いがある。

というのも、実は相方(彼女)がその興奮剤に激しく反応する女性だからなのだ。
本屋に入ると、相方は実に楽しそうである。
口元は緩み、目は潤み、顔は上気している。
本屋で色っぽくなる女性というのは珍しいのではないだろうか。
少なくとも私は初めてである。

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あいにく、私はもともとあまり本を読むほうではないので、その興奮剤の効果は薄いのだが、楽しそうな相方を見ていると、こちらまで嬉しくなってしまう。

相方の行動パターンは大体決まっている。
まず、文庫コーナーへ向かう。
好きな作家の作品が、文庫になっているかどうかを見て回り、本棚を眺めながら、次々に作家について、過去に読んだ作品について解説してくれる。

前述のとおり、本をあまり読まない私は、
「鈴木●司って、昔、『お笑いマンガ道場』に出てた人だっけ?」
などとアホな質問を繰り出し、すぐさま
「ちがうよ!『リング』とか『らせん』とか書いた人だよ。」
と修正が入れられる。
しかし、文庫を見て回るたびに

「『ノル●ェイの森』ってねえ。2回読んだんだけど、一回目は暗いばっかだなあ~。と思って、二回目はちょっと意味が分かった。でもまあ、要するにエロいんだよ。」

と解説が入るので、私の中では

「ノル●ェイの森」は、暗いエロ。
という知識が定着している。
実際のところどうなのかは知らない。
 
 
 
次に、辞書コーナーで立ち止まる。
相方は辞書が大好きなのだ。
「辞書を、日がな一日眺めていたい」と常々言っている事からも、その愛情の深さが窺える。
辞書は私も大好きである。
どちらかと言うと、読むより書くほうが好きなので、言葉の正しい使い方を調べるのに使うのであるが。

しかし、辞書と言うのは探せば果てしないほど変なものがたくさん並んでいるものだ。
こないだは「方言語辞典」と、「擬態語辞典」で大いに盛り上がった。
本屋で、辞書を立ち読みしながらキャッキャ言って喜んでいるのは我々くらいなものだろう。
傍目には謎の二人組である。
 

そして、仕上げは「ニットの本」である。
編み図や、モチーフなどを見ながらニヤニヤしている。
たまにメンズニットの本を見せて、
「コレ、いいやろー。編んだろか?」
と言ってくれるので、
「あ、いいの?嬉しいなあ。」
と言うと、間髪入れず

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となるのである。
編み賃を取らないところに相方の愛情を感じてしかたがない。

本屋さんで噴霧される興奮剤は、財布のヒモを弛める効果も確認されている。
効果の薄いはずの私も、ついつい陶芸の技法書などを買ってしまうという、恐るべき化学兵器なのである。
我々も、二人してついつい本を買ってしまい、

会計を済ませてから、
「はあ・・買っちゃった。お金無いよう。」
と嘆くのも、いつもの事なのである。

余談ではあるが、どういうワケか私は本屋に行くと必ず便意(しかも大体「大きい」方。)を催してしまう。
それは店内に充満した興奮剤が胃腸に効果を発揮するためか、はたまた店内に充満する妙な緊張感が作用しての事なのか、鋭意調査中である。

※たろーさんからの情報により、黒陣馬さんのblog「Walking along the river」にて、「本屋で便意について」の話題があった事を知りまして、勝手にトラックバックさせていただきました。

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新たな名前

こないだ、相方(彼女)に逢った時のこと。

歩いてきた相方を車に乗せ、とりあえず「ウイッス」と普通に挨拶したところ、

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と、返された。

「え?なにそれ?なんでいきなり『ラブリー』??」

「ふふふ。いや、何となく。気にしないで?」
何故か「しな」を作る相方。

「もしかして、新しい呼び名スか?」

「そうそう。今日から『ラブリー』な。」

『ラブリー』か。」

「うん。『ラブリー』。」

こういった、厳かな命名の儀があったにも関わらず、それから今日まで、一度も『ラブリー』とは呼ばれてはいない。

別に、呼ばれなくてもいいのだけど、たまに相方が分からなくなる時がある。

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学級委員長出現!

相方(彼女)と話をしていた時の事。
ふと思いついて、

「サチってさあ、髪長いよな。三つ編みとか出来んの?」

と聞いてみた。

三つ編み。
それは漢(おとこ)の浪漫。
清純と激情のはざまに、危うくも美しく、そして儚くほの光る、理想郷であり、桃源郷なのである。

「三つ編み?出来るよー。したげよっか?三つ編みなんて、高校の時以来だなあ~。」

と言いつつ、シャクシャクと髪を編みこんでゆく相方。
腕を組み、固唾を飲みながら、その様を見つめる私。

そして、3分が過ぎた時、見事な「おさげ」になった相方がそこにいた。

「おお!」

感涙に咽ぶ私。

「ほれほれ、お下げにしたぞ。嬉しいか?」

挑発する相方。

「嬉しいとも・・!!」

何故か、かすれ声で答える私。

「・・まあ、落ち着け。」

なだめる相方。

「っていうか、俺を叱ってくれ。」

「・・・やだ。」

拒絶する相方。
 
 
 
こうして、また一つ、トリビアの種から新たなトリビアが生まれた。

「相方はお下げにすると、田舎の高校の学級委員長になる」。

タモリさんの判定は、九分咲きである
 
 
※補足トリビア
学級委員長には、セーラー服の冬服が良く似合う。

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愛の試験

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女は「もしも」で愛を量る。(byじゅじゅさん)

つまり、女性の「もしも話」は、定期的に訪れる愛情測定試験なのである。
以後、これを「もしも試験」と呼ぶ事にする。

「もしも試験」は、突然に出題される。
しかも、その返答如何では、ふたりの関係に決定的なまでの亀裂を生む原因ともなるのであるが、見事に答えたとしても、大袈裟だと「ウソっぽい。」と言われ、これまたポイントダウン。
足りないと、「そんなもんか・・。」と言われポイントダウン。

丁度いいところを打って、「よしよし。」。
満足ではなく、納得・・・。
「加点はあんまし無いけど、大幅な減点はあるよ。」という、非常にハイリスク・ローリターンな試験なのである。
 
しかし、男はそんな理不尽な「定期もしも試験」をクリアし続けなければならない。
「もしも試験」で赤点を取りつづけた者には、「別離」、「成田離婚」、「熟年離婚」、「定年離婚」などの憂き目が待っているのだ。
(待っていないかもしれないが。)
 
 
  
ある日の事。
相方(彼女)と車に乗っていると、ラジオから「彼がフタマタをしている事に悩んでいる」と言う旨の話題が漏れてきた。

そこで、相方はこう言ったのである。

「トシさん、もし、私より好きな人が出来たら言ってな。」

ジャジャッジャッジャッジャジャ!
「もしも試験」の開始である。
私の愛情が今、この瞬間、試されている。
加点は無くとも減点は大いにある、この試験に立ち向かわなければならないのだ。
私は、一つため息と取られないように気をつけながら、深呼吸をして返答の言葉を紡ぎだす。

「言ってどうするの?」

「そりゃあ、がんばって引き止めるけど、無理っぽかったら身を引くよ。」

「う~ん・・、まあ、俺みたいなのを好きになってくれる人は、地球人ではサチくらいだと思うよ・・あ、でも、異星人なら分からんな。」

「異星人??」

「うん。もし俺が、複眼が3つくらいあって、足が4本で、手と思しき物が3~4本あって、脳が脈打ってる生物・・あ、もちろんメスね。それに求愛されているところを目撃したらどうする?」

「・・っていうか、そういうのが好みなの・・?」

「いや、だから『もしも』だよ。『もしも』。しかも、そこに、ゲル状の体の中心にコア(核)を持った、いかにも『進化の究極に単細胞化がありました』チックな生き物が来て、テレパシーで『マエカラ・スキデシタ・タネヲクダサイ』っていう、直接的で直感的な告白があって、銀河系を跨いだ一大争奪戦叙事詩(?)に発展したらどうする?」

「ってことは、私、『地球代表』だ。・・まあ、がんばってみるよ。」

「そうなるね。でも、安心してくれ。俺は間違いなくサチを選ぶかんな。」

「・・・それは、喜んでいいのか?」
 
 
 
自分の中では。気宇壮大な愛情表現をしたつもりなのだが、どうも相方は釈然としない様子だった。
しかし、これは時間を追うごとに効いてくるものだと確信している。

何故なら、私は、どんな異星人よりも君が好きだからだ。

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ジャジーな夜をタコヤキで

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仙台の定禅寺通りというところでは、毎年この季節になると、「定禅寺ジャズフェスティバル」が開催される。
定禅寺通りに、さまざまなアマチュアバンドやら、そうじゃない人たちやらが、それぞれの音楽を聴かせるという趣向のお祭りである。

このお祭りは、大きく二つに分かれていて、昼の部はアマチュアバンドの方々が、通りのそこかしこ(つまり外)で演奏し、聴衆は自由に歩きながらそれを観て、聴く。
夜には、どこかの会場で有料(あとで調べたら6,000円だって。)で行われているプロのライブを、公園に設置された巨大モニターで、芝生やベンチなどに腰掛けて、屋台の食べ物を頬張りながら聴くというものらしい。

昨日は、そのお祭りに相方(彼女)と連れ立って行ってみたのである。
出来れば昼の部のアマチュアバンドの生演奏が聞きたかったのだが、何しろ土日が忙しい仕事なので、仕方が無いので夜の部に行った。

この季節になると、残暑とは縁の薄い仙台は、秋の香りが多く含まれる肌寒い夜風が吹く。
鼻をグスグス言わせて、クシャミをしながら「寒い・・!」と厚手の長袖トレーナーに身を包む相方は、仙台に帰ってきたばかりの名古屋女である。
仙台男26年目の私は、薄手の半袖。
「その格好を見ているだけで寒い・・!」
という、理不尽な責めは、ヨン様ばりの微笑で返す事にする。

会場は、大きく二つに分かれていて、片方の会場では、でっかいスピーカーから、何故かロックの音が衝撃波のように繰り出され、その前だけ人込みの空洞が出来上がっている。
来場者は、会場を埋め尽くすほど多くて、ほとんどがカップルか家族連れ、女性は妙に薄着な人が多い。
仙台男26年目の私も、さすがに「寒くないの?」と思ってしまった。

両方の会場には、お決まりのタコヤキ、ヤキソバ、フランク、玉コン、ポテト、トウキビなどのお祭りファーストフードの屋台が軒を連ねていた。
食事がまだだったので、何か食べようという事になり、屋台を物色していると、なんと小学4年生くらいの女の子がタコヤキを焼いている屋台を発見。
「じゃりんこチエ」みたい・・と思いつつ、そこでタコヤキを購う。
一緒に買ったジュースは、そのお兄さんと思しき小6くらいの男の子が出してくれて、タコヤキを渡してくれてのは、そのバアチャンと見られる方だった。
隣ではお父さんと思われるオジサンがヤキソバを焼いている。
お母さんは、フランク。
(人懐こいという意味ではない。)
つまり、テキ屋一家なのだ。

そうかそうか。
一家でか。

妙に感慨に耽りつつ、近くの芝生に座り込み、巨大なモニターに映し出されるどこかの会場の有料ライブの中継を観る。
生演奏じゃないのが残念だが、夜の街中の芝生の上で、ジャズを聴きながら相方とタコヤキを頬張るというのが、異様にシヤワセだった。

きっと、これが祭りの魔力なのだろう。

タコヤキが非常に不味いことさえ、たいした問題ではないように思えてくる。

きっと、これも祭りの魔力なのだ。

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ペンギンが・・!?

ある日の事。
街を歩いていると、向こうから異様な歩き方をする生物が近づいてきた。
その生物は、重心を絶えず左右に移しながら、まるで土偶が歩くかのように、あるいはヤジロベーの如く、いや、マトリョーシカと形容すべきか、「ゆーらゆーら」とジグザグに、しかし器用にまっすぐ歩いてくるのである。

近づくにつれて、どうやらそれはしかめ面したペンギンのようにも見えた。

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そのペンギンが、キングペンギンなのか、はたまたマカロニペンギンなのかまでは分からないが、動物園でもない、ましてや南極でもない、日本の宮城県の街中でのペンギンとの邂逅は、私の心に驚愕と狼狽を植え付けるには充分であったのである。

充分に警戒しつつ、そのペンギンと思しき生命体に近づいてみると、なんと、それは変わり果てた(?)相方(彼女)の姿だったではないか。

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歩み寄り、

「なんだって、おかしな歩き方をしているな。どうした?」

と訪ねると。
相方は

「・・・腰が痛くてねえ。」

と憮然と答えた。

話を聞くところによると、2~3日前から、原因不明の腰痛に悩まされているそうで、普段の生活にもちょっと難儀い(名古屋弁)ほど、痛いらしい。

そうか・・。
そんなやむにやまれぬ事情があったのか。

すまんなあ・・。
一瞬でも、土偶だの、ヤジロベーだの、マトリョーシカだの、あまつさえペンギンとまで形容してしまって・・。

相方の腰が少しでも早く全快する事を願ってやまない。
(や、マジで。)

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シヤワセのかたち。

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一品モノは逸品モノである。

そこに、シヤワセが凝縮されている。
 
 
 
いわゆる「お食事処」にて、お互いに自分の食べたいものを選び、

「なんか、一品モノ頼んで突こうか。」となる。

例えば、ラーメン屋さんでのギョーザがそうだ。

大抵、ラーメンよりもギョーザはちょっとだけ早く運ばれてくる。
ハキハキと「ギョーザ、お待たせしましたー。」と言うわりに、まったく愛想の感じられない店員の兄ちゃんがするのを見届けてから、

「食べよっか。」
と、ニコリ。

タレは、醤油と酢・・ラー油入れる?
どんくらい?などと、本来、各自が責任を持って取り掛かるべき食事というある意味孤独な作業に、ひとつの共通の目標に対して一致団結し、結束して事に当たる共同作業の要素を付加してくれるのである。

つまり、食欲を分け合う事での一体感が、シヤワセを生むのである。
それはガー!っというシヤワセではない。
ふんわりと、柔らかい布が降りてくるようなシヤワセである。
それは、頭上に触れて、足の先まで染み込む。

そういう類のシヤワセである。
 
 
 
シヤワセは、そこいらに転がっている。

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港で君と

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相方と、近くのコンビニでお菓子と、肉まんを買い込んで、もっしもっし食べながら、港にクルマを停めて、車に付いているテレビで高校野球を観る。

今日は我が県代表の東北高校の試合があったのだ。

息詰まるような熱戦ではあったが、結局見事な逆転負け。
前の大会もそうだったけど、東北高校って、いちいち劇的な負け方をするから、本当に観ていて悔しい。

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相方の友。

昨日の事。
いつものように仕事をこなすため、厨房に向かったところ、母が私の姿を見てこう言った。

「あれ?あんた、今、彼女来てるんじゃないの?」

はあ??

私のウチは山深いところにあって、バスの通りもほとんど無く、来るためにはマイカーが要るという素晴らしい立地にあるため、クルマやバイクの免許を持たない相方は来られるはずもないのである。

「喫茶スペースに入ったみたいだよ。行ってみな!」

と言われたので、一応そちらに向かうことにする。

カラカラカラ・・。

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いた。

どうやら、高校時代の同級生二人と久しぶりに会って、ウチに遊びに来たらしい。

挨拶がてら、相方に

「君は、いつも突然来るねえ。」

と言ったところ、

「嬉しいくせに、素直じゃないなあ。」

と返される。

「うん。嬉しいよお。」

と、軽くバカップルっぷりを見せ付けて、しばらくお話する事にした。
 
 
  


友達二人のうち、一人は以前にも面識があった。

ウノさん。
2年前、初めて相方(当時はメール友達)がうちに来た時に、乗せてきてもらった人がこの方だった。
確か、美術品の修復とかを生業としていて、実に物知りで、好奇心に満ち溢れているお人である印象を受けた。

「ウノさん、以前にも来られましたよねえ?お久しぶりです。」

「わあ。覚えててくれたんですかあ?お久しぶりです。トシさん、前よりも、ちょっとカッコよくなったんじゃないですかあ?」

「うははははは!そうですか!?よく言われますう!」

音速で有頂天に駆け上る私。

ウノさん、いい人確定。

そこですかさず相方が

「コイツ(寿)はね、おだてるとすぐに自分の事「俺って男前~。」とか言い始めるから、言わない方がいいよ。」

と注釈を入れる。

「・・・」

沈黙を含んで、咎めるような視線を相方に送ってみた。

「何さ。(怒)」

「いえ・・。」

軽く敗北。
 
 
 


もう一人の方は初めましての方で、タナカさん。
歯科技工士の修行中で、なんでも、昔、1円玉台のケーキ(1ホールのアレだと思う)を作ったこともあるそうで、手先の器用さは大変なものであり、昔ライターもされていたとのことで、文章力も高いらしいのだ。

この人に頼めば、奥歯をカリッとした時に青酸カリが出るように細工してもらう事も不可能ではないかも知れないと、かなりの期待を抱いたが、考えてみると食事中に誤ってカリッとやってしまうと、もしかすると死んでしまうかも知れないので、「子供風邪シロップ」にしておこうと、密かに心に決めたのはココだけの秘密である。


そして相方。

相方の素晴らしさは、過去に何度もココに書いているので、割愛させていただく。
(ええ。ノロけですが何か?)

結構、こういうところに住んでいると、同年代の人間と交流する機会と言うものは無いもので、新鮮な刺激と、勉強をさせていただいた。
相方には感謝したい。

ウノさんと、タナカさんには、また是非遊びに来て欲しいものである。

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破局なふたり

私が切り出した話に、彼女は怒り、肩を震わせながら叫んだ。

「馬鹿にしないでよ!」

バシャ!

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手にしていたアイスコーヒーは、私の顔とTシャツを黒く染め、テーブルやイスにしたたり落ちる。
二人を、店中の好奇の視線と、失笑のさざなみが包み、店内に流れる有線放送だけが、やけによく聞こえる。
彼女は、涙をこらえながらイスを蹴って立ち上がり、店を出てゆく。

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私は、彼女の名前を呼びながら、追う事しか出来なかった。

・ ・ ・ ・ ・ ・

「・・・というのを、一度でいいからやってみたいんだよ。」

正体不明のお茶(かなり不味い)に顔を歪めながら、相方(彼女)に持ちかけた。

「ああ、いいねえ。私、今までそれやった経験無いから、是非やってみたい。」

アイスコーヒーを飲みながら、すかさず返す相方。

「ねえ。やっぱ、喫茶店に来たら一度はやってみたいよな。」

「うん。そんで、私出る時に、レジに1,000円パーン!と置いて、『お釣りはいりませんから・・!』とか言ってね。・・あ、もう、お金払っちゃったからダメか。」

「うはは。んで、店中の視線を釘付けにしておいて、店から出たら普通に手繋いで歩いていったら面白いよな。」

「あはは!店中、『なんなんだよ!あいつら!』ってなるよね。」

「なるね。多分、関西なら確実に店中コケる。」

「コケるかなあ?」

「コケないかなあ?」


日曜の午後8時過ぎに、喫茶店で交わされるとめどなくお馬鹿な会話。

これがいいのだ。

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坊主と愛撫

半ば、いや、ほぼ確実に予想されていた事なのだが、私の坊主ヘッドを相方(彼女)に披露したところ、

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という事態に陥ってしまった。


ひたすら撫で繰りまわしながら、

「かわいいなあ~。」

「いいなあ~。」

「手触りいいなあ~。」

と、恍惚の表情を浮かべる相方。

しまいには

「いいなあ~、あたしもしようかな~。」

と言い出す始末。

「・・それはやめろ。」

慌てて制止する。
あまりにひたすらシャリシャリと撫で繰りまわすので、

「あんな、もういいだろ?」

と苦言を呈したところ、

「まー、いいじゃないスか。愛撫だよ、愛撫。」

・・愛撫ときたか。

「手のひらから愛情がじわっじわ出とるやろー。」

いや、名古屋弁で言われても。

しかし、それだけでは終わらなかった。
続いて相方の標的となったのは、アゴの不精ヒゲである。

「お、こっちにもショリショリがあるなー。」

「それはヒゲ!」

「えー、どっちがどっちやら分からんな。上も下もショリショリやなー。もはや、顔全体がショリショリやんかあ。」

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「あははは!あははは!」と意味不明の笑い声を発しながら、私の坊主ヘッドと、無精ひげをほしいまま蹂躙しつづける相方。
頭のいたるところを撫で繰りまわされ、揉みしだかれながら、「・・はやく、髪伸びてくれないかな・・」と願わずにはいられなかった事は言うまでもない。

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憧れダーリン

じゅじゅさんのコメントで、

「ダーリン、馬糞くさい!」

という名ゼリフがありまして、後半の「馬糞くさい」という部分はひとまず置いとくとして、「ダーリン」の部分に感じ入るものがあったのです。

ダーリン。

いい響きですねえ・・。

甘い呼び名の代表格であり、しかも、イヤミでなく、冗談とも取れ、その関係に憎んでも憎みきれない何かを感じさせる、非常にナイスな呼び名だと思います。

ダーリン。

イイ。
非常にイイ。

私の相方(彼女)は、どういうわけなのかは知りませんが、私の事を「ハニー」と呼びます。

本当に。

すると、つい私は「ダーリン」と返してしまいます。

マジで。

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一度、

「ねえ、なんでこっちが『ハニー』なの?普通男が『ダーリン』でない?俺、『ダーリン』のほうがいいな。」
と、言ってみたところ、

「そうだね。分かったよ、ハニー。」

と返されたっきり、相変わらず「ハニー」のままでした。


私たちの関係は、これでいいのでしょうか。
最近、「ハニー」と呼ばれることに違和感を感じない自分に不安を覚えてしまいます。


頼むよ、ダーリン。

あ、いけね。
ついクセで。

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韓ちがい。

彼女(以下、相方)と、韓国料理屋に行った時のこと。

「冬のソナタ」の「ペ様(ヨン様の事。私は親しくないので苗字で『ペ様』と呼んでいる。)」のキャラクター商品が並ぶ店内を横目に、石焼ビビンバと、チジミを注文した。


私は今まで韓国料理というものを食べた事が無くて、韓国料理についての知識がまったくと言っていいほどなかったので、韓国人の友人もいて、少なくとも私よりは韓国料理について知識のある相方に、やれ「チゲってなに?」とか、「サンゲタンってなに?」とか尋ねていた。
(それ程度の知識も無いとは、我ながら恥かしいことなのだが。)

そのうちに、まず「チジミ」が運ばれてきた。

「チジミ」というのは、ギョーザの皮のような生地の中に、主にネギなどが練りこまれていて、それを薄く伸ばして焼いた物にごま油みたいなタレをつけて食べるものだった。

さっそく、目の前に置かれていた箸を取って食べようとする。

そこで異変に気付いた。
その箸は金属で出来ているのである。

そこで、相方に尋ねてみた。

「サチさあ。韓国料理って、本場では鉄箸で食べんの?

「いや?そういう話は聞いたこと無いけど・・。でも、置いてあるって事は使えってことだよねえ?

「んだよねえ。きっと、本物の韓国料理は鉄箸で食べるんだよ。さすが、韓国。」
意味不明の感銘を受けつつ、そう決め付けて鉄箸を駆使してチジミを食べる。

しばらく、チジミを楽しんでいたのだが、どうも具合が悪い。
箸が重くて、滑るのだ。

「サチさあ。なんで韓国料理って、鉄の箸で食べるのかなあ?重くて使いづらいだけだよな。」

「うーん・・ねえ?でも、木の箸って、置いてないでしょー?」
と、視線をテーブルの端に向ける相方。
隅の黒い箱の中に、普通の割り箸があるのを発見した。

「あ。割り箸あるよ。」


そこで、恐らくふたりの思考は同調した。

ここは焼肉屋でもある。 ↓ 目の前には、焼肉用のコンロも用意されている。 ↓ ということは、自分で肉を焼く。 ↓ 木製の割り箸では焼いているうちに箸が焦げてしまうだろう。 ↓ 鉄の箸なら焦げることは無い。 ↓ つまり、この箸は肉をひっくり返したり、取り皿に取るためのものである。 ↓ 我々は間違っている。
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またもや、別れ話が飛び出してもおかしくないほどの気まずい沈黙とともに、何食わぬ顔で鉄箸を戻し、割り箸を割るふたり。


「・・・ビビンパが来る前に気付いてよかったね・・・。」


というつぶやきとともに、その後、鉄箸には会話の端にも一切触れることは無かった。

もちろん、勘違いしたのは我々の過失なのだが、せめて、せめてもう少し分かり易いところに割り箸があれば・・
いや、この事は我々ふたりが互いに助け合って乗り越えねばならない試練であろう。

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実は妖精。

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以前、コメントの欄に、うっかり「私は今でも現役の妖精です。」と書いてしまったのだが、たまたま彼女(以下相方)がその文章を読んで、どうやら実は私が妖精だということを知ってしまったらしいのだ。

妖精だという事がバレてしまったのは仕方が無いし、いつかは話そうと思っていたことなので、ついに来るべき時が来たか・・という感じなのだが、どうもその事実が相方の心の琴線に触れてしまったらしく、妖精であるという事についていじられまくるという予想外の展開を迎えてしまったのである。

久しぶりに逢った時も、いきなり挨拶が

「こんにちは。見たよ。妖精だったんだってねえ。」
である。

まあ、それは軽く
「ああ、28歳で現役の妖精ってのはちょっと珍しいし誤解を招きやすいから、黙っていたんだけどね。」と返してやったのだが、それから事あるごとに妖精であることについていじってくる。

「今日は妖精のステッキ持ってないの?」

「妖精だから、地下鉄代いらないんじゃない?」

「今日は空飛ばないの?」

「妖精の魔法で、日展のチケット2枚にしてよ。」

などなど・・
妖精でなくても困惑するような、不当な要求を次々繰り出してくる。
昔はティンカーベル(ピーターパンに出てくる妖精)並に、それくらいの事は出来たのだが、齢28ともなると、もはや妖精の魔力は弱まり、肩書きなど有名無実化しているのだ。

相方の要求にひとつとして応えられない、妖精としての自分の無力さに、この時ほど打ちのめされた事は無かった。


おそらく、もうしばらくはこの「妖精ネタ」でいじられまくるのだろうが、それが自業自得とはいえ、早く過ぎ去って欲しいものだと願わずにはいられない。

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彼女の資質

彼女(以下「相方」と呼ぶ)がチャレンジャーだという事は、以前にも書いた

無意識に、過去の経験や、人や本の情報を聞いたり見たりしてモノを選ぶ私は、そんな相方の生き方に興味があって仕方がなくて、ついこないだも前と同じように

「何か、飲み物を買おう。」

という事で、コンビニに立ち寄った。


相方はいつものように

①新製品とか、あまり他では見かけないもので、
②今まで飲んだことが無くて、
③変わったキャッチフレーズのモノ

を物色している。

私は興味津々で、並んで様子を見ている。

そして彼女は選んだ。
「微炭酸●●●」
※敢えて商品名は隠します。


・・また、変わったものを・・

・・・ふむ?いや待て。

これは、割と美味そうだな。
「ありそうでなかった取り合わせの飲み物」だ。

思わず興味を引かれ、手に持っていた「レモンウォーター(安定)」を棚に戻し、相方と同じモノを手に取る。

「これは、美味そうでね?」

「でしょー。微炭酸で、●●●だよー?ミネラルも入ってるよ。」
いや、ミネラルはいいんだけど・・。


さっそく、会計を済ませ、クルマに乗って飲んでみる。

プシ!

「お!開けた時の泡が綺麗だよ!」
「あー、ホントだー。」

予想外な演出に、否が応にも期待は高まる。

ごく、ごく、ごく・・


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・・・

・・・

別れ話が出てもおかしくないほどの気まずい沈黙が車内に充満する。


「・・私、強要したわけじゃないからね。」
私の視線に非難の色を見たのか、相方はそう釘を刺した。

「・・いや、分かってるけど、これは目眩がするほど不味いな。」
「んだね。」
「ジュースのクセに、ノンアルコールビールみたいな味がするのはなんでだろう?」
「・・・ミネラル?」
ミネラルかい。
「なにか、こう、ハッキリした味が来る前に終わっちまうような味だよな。」
「そうだねえ。どっかで100%オレンジジュース買って割ろうか?」
「いいねえ。俺はコレ2:コーラ8くらいで割るわ。」

などという暴言まで飛び出すほどの検討会が行われた。
結局、今までありそうでなかった取り合わせは、やってもしょうがない取り合わせだったという事であり、おそらくメーカーもシャレで出したのであろう(そんなわけないのだが)ジュースであるという事が分かった。

150円損した気分にはなったが、いい機会なので相方に、なんで毎回違う物を買うのか、その理由を聞いてみた。
答えはこうだった。

「とりあえず、新製品には興味があるし、誰かに聞かれた時に『これは美味しいですよ。』とか言えるでしょ。その、『先に知ってる』のがいいの。」

という事だった。

ああ、なるほど。
それでひとつ分かった事があった。

相方は、実に色んな事を体験して知っている。
そして、それを惜しげも無く教えてくれる。
勿論、自分の好奇心もあるのだろうが、そうやって知らず知らずのうちに情報を貯めこんで、気前良くそれを人に教えることで「情報をおごっている」のだ。

この「情報をおごる」というのは、以前、「日刊イトイ新聞」で読んだことなんだけどね。
「情報をおごる人」というのは、「情報をおごられやすい人」という事で、結果的に情報を集める最適な手段という事を書いてあった。
「情報」が、「情けに報いる」と書いているんだから、それは実に的を射ていると思うんだ。

多分、相方は自分の持って生まれた(あるいは経験から身に付けた)そういう「能力」に気付いていないと思うけど、実はそれは大変得がたい能力であり、彼女の不思議な人徳のひとつなんだろうな~という事が分かった。

別にノロけているわけではないけど、好きな人の尊敬すべきところを見つけるって、とっても嬉しい事だよな。
と、思った。

おしまい。

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挑戦し続ける女

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彼女は挑戦し続ける。
そう、永遠のチャレンジャーなのだ。


こないだのジンジャーエールもそうなのだが、相方は、必ずと言っていいほど明らかにヤバそうなものに敢えて手を出す。

ヤバそうなものというのは、非合法なものとか、体を悪くしそうなものとかではなく、明らかに見た目、商品名などから「これはダメだろう。」と思われるものに、惹かれるようなのだ。

こないだも、飲み物を買おうという事になり、コンビニに立ち寄った。

私は、無難にミネラルウォーターを選択。
相方は、「脂肪の燃焼がどうのこうのの、レモンがどうだらすたたらの」ジュースと、「にがりがどうの」という謎の飲み物とで悩んでいた。

明らかに、どっちに転んでもヤバい。


そして、結局その2択の中でも、悪い結果が予想される方をチョイスした。
恐らく、これからおこるであろう「過ち」は、止めるのが相方の務めであるから、一応止める。

「タナ(仮名)さ、それは止めた方がいいと思う。」
「なんでー?意外に美味いかも知らんやんかー。」
「いや、絶対後悔する。」
「まー、いいじゃないスか。」

制止空しく、それをレジに持ってゆく。
そして、案の定、上図のようになった。


ほぼ毎回、その「ヤバいブツ」を少し飲ませてもらうのだが、確かにドキドキするほど不味いモノが多い。

「・・これは無理だろう。」
というものでも、キチンと完食、完飲するのは、さすがに元・名古屋人と言ったところだが、何故、毎回そんなハイリスク・ローリターンの賭けをするのだろうか。
それは、「一期一会」を楽しんでいるのかも知れないし、「好奇心」が抑えられないのかもしれないし、明らかにマイナーなまま消えてゆく物への「理解しようという心」なのかも知れないし、こないだのジンジャーエールのように、「意外と美味しかったモノ」を発見した時の喜びが好きなのかも知れない。

なにしろ、「変わったもの好き」であることは間違いない。
「変わった、物好き」かも知れない。


・・・ん?

・・・変わったもの好き?

・・・もしかして、私と付き合っているのも、「変わったもの好き」だからか・・!?

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恐ろしい子・・!

「怖い物知らず」というものはいるものだ。
それは、ウチの母だけかと思ったが、案外他にもいた。
私の相方(彼女)である。

今、宮城県美術館に、「マルモッタン美術館展」というものが来ていて、私でも知っているクロード・モネとか、ドガとか、ルノワールとか、ベルト・モリゾとかのいわゆる「印象派」と呼ばれる著名な画家の絵があるというので、ちょっくら見に行ってみた。

丁度、街場に用事があって、是非見たいというので、相方と一緒に観に行く事にしたのだ。

さっそく会場に入り、絵を鑑賞する。


ほほー。
なるほど。

のっけから素晴らしいものばかり。

思わず、

「この人、上手いねえ。」
と、世界的に著名なドガの絵を評価する私。
「いや、世界的な画家だから。相手は。」
と、当然突っ込まれたりとか、

「この絵、ちょっとこのスペースが足らんよな。描き足してやろうか。丁度、今ボールペン持ってるし。」
「ああ、どうぞどうぞ。」
とか、コソコソと傍若無人なことを言いながら観て歩いた。

一点一点、ねぶるように観てゆく。
あそこが上手い、ここがドキリとする、
なるほど、こうやって絵を観るのは非常に楽しいものだ。

さすがに、世界的に貴重な絵ばかりなので、警備も厳重で、学芸員と思しきおねえさんも随所にいる。


ある絵の前で、また上記のようにコソコソと話していると、
相方が突然、
「ここがさ」

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と、指をさした。
本人は勿論触るつもりなど無く、ただ「ここが・・」と指しただけだったのだが、結構その距離がギリギリだったので、私もちょっとドキッとしたし、近くにいた学芸員のおねえさんも驚いて、身構えたくらいだった。

相方は何事も無かったかのように次の作品に行ったので、

ああ、本人は気付いていないようだな。
と、思っていたのだが、

しばらく観ていって、今度は違う学芸員さんがいるところで
ふたたび

「ここがさー」
と言いながら

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「!!」

思わず身を乗り出す学芸員さん。

しかし、ギリギリで触らず、

「触らない、触らない、大人だもん。」

と言い捨てながら、何事も無かったかのように次の作品に行ってしまった。
呆然と立ち尽くす学芸員さん。

以前、同じセリフをとあるパン屋さんの店先で、並べてあったメロンパンの前で
「メロンパンてさー、見ると押したくなるよねえ。」
「そうか?じゃあ、押しなよ。」
「押さない、押さない、大人だもん」
というやり取りが走馬灯のように思い出されて、もしかしたら、この人にとっては世界的名画も、メロンパンも同じなのではないかと、

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と、戦慄が走った。

それから、しばらく我々に学芸員さんたちの熱い視線が注がれたのは言うまでも無い。

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海辺を旅する。

今日は久々にマトモに下山し、ドライブをしてきました。

目的地は女川。
マリンパル女川というところです。
女川と書いて「おながわ」と読みます。
リアス式海岸沿いにある、漁港の町です。

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マリンパル女川という名前から、「水族館ではないか?」という勝手な想像を頼りに、近頃めっきり方向音痴になってしまったためにちょこっと迷いながらも無事に到着。

大きく二つに分かれた建物の、海鮮直売所と思しき方から入ってみる事にする。

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