「作り手」と「喜び手」と。

e-0941-2

先日(といってもだいぶ経ってしまいましたが)、
クリスマスの時、相方にプレゼントした指輪を、
(過去ログ『昇格プレゼント』参照)
製造元に送ってサイズ直ししていただいた。
(過去ログ『彼女は知らない』参照)

そのお店は、名古屋にある。
相方がまだ名古屋にいた頃、
よく立ち寄っていたお店で、
とても気のいい若い職人さんたちが、
とても真面目に宝飾品を作っているお店なのだと、
よく話を聞かされていた。

そこで、
相方に初めて贈る指輪は、
やはりこちらのものだろう。

ということで、
インターネットで調べ、
指輪を発注したのだった。
 
 
 
サイズ直しの依頼メールを打って、
まもなく返信が来た。

なんと無料で直してくれるという。

普通の宝飾店がどうなのかは分からないのですが、
サイズ直しというのはおそらく、
それなりに手間と時間のかかるものだと思うし、
当然、幾ばくかの料金は発生するものだと思っていた。

しかし、そのお店は無料。
その上、お買い上げの品物は、
永久的にクリーニングも無料。
(もちろん、送料はかかります。)
これにはちょっと驚いた。

e-0941

パソコンから書類を一枚出すのだって200円も取るような、
自分のお金を機械で引き出すのにも105円を取るような、
そんなご時世に、
無料で結構だという。

職人の、品物に対する飾り気の無い、
けれど温かい愛情と意地に感じ入る私。
 
 
そして、その返信メールの最後に、
担当のIさんから、一言追伸が添えられている。

「ブログを拝見しました。当店の品物がずいぶんと『昇格』したようで、嬉しいです。」
(要約してあります。)

どうも、私的なメールに添付する署名にあったアドレスから
たまたまウチのブログを覗いていただいたようだった。

ちょうどその時、
『昇格プレゼント』
を描いたばかりの頃で、
どういういきさつでこのメールが来たのか、
よく分かっていただけたらしい。

まったく、ブログというものは奇妙な縁を連れてくる。
しかも、奇妙な縁はこれだけにとどまらなかった。

何度かサイズ直しについてのメールをやり取りしているうちに、
Iさんから熱のこもったメールが送られてきた。

こちらも、メールの文面をそのままというのはアレなので、
口語体で要約します。

~~~~~~~~~~~~~~~

トシさんのブログを拝見していて、驚きました!
相方さんからもらったという、あの

『CHAIN LUCK DOWN』

のリングは、私の作ったシリーズなのです!

大感激のあまり、画面が曇って見えません!
(一部、表現に若干の誇張があります。)

~~~~~~~~~~~~~~~

…うわ~~~~…。

あまりのことに、おそらくIさんと同じくらい、
画面の前でトリハダ立ち、涙ぐむ私。

なんと、
相方と付き合って間もない頃、
彼女からもらったペアリング(過去ログ『ツナガリ』参照)
を作った人が、このIさんだったのだ。

その縁にも感動しましたし、
そんな過去の記事まで遡って読んでくださったというのも大感激でした。
 
 
 
ものを作るということの本質は、
『作り手』と、『喜び手』を生み出すことだと思う。

ほとんどの場合、
『喜び手』の表現方法はオカネであるのだけれど、

今回のように、
稀に、ちょっとした奇跡として、
『作り手』と『喜び手』がお互いに直接繋がりあうことがあるのだと、
心のお腹いっぱいを覚え、
とても感動したのでした。
 
 
 
というわけで、
サイズ直しとクリーニングのお礼と言っては何ですが、
微力ながら宣伝させていただきたいと思います。
 
 
ステキジュエリーのお店
「タピルス」

名古屋にお店があります。
値段もお手ごろで、ネットショップもあります。
とっても良い職人さんたちのお店ですので、
宝飾関連でご用の際は、是非どうぞ。

| | コメント (12) | トラックバック (2)

ツメはがれてグッジョブあり。

e-0822

禍福とは糾える縄の如し。

逆に言えばすなわち、ツメがはがれたことなんて、
湯船に浮かぶグッジョブ程度のものなのだ。

そう思えば、多少深爪になったことだって瑣末なことなのだ。

そうに決まってるのだ。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

輪型揚げ菓子

e-0703

我が家の近くにある大型ホームセンター。
ここには毎週土日になると正面出入り口に某全国チェーンドーナツ屋さんが臨時店舗を出す。

どろどろと行き交う購買客の傍らで、テーブルの上にロゴ入りの布をかぶせ、長方形の箱がつみあげられていて、その中にはあらかじめ数個のドーナツが色とりどりに整列している。
 
 
 
服にまとわり付つくような小雨がさざめく土曜日。
私は、某全国チェーン輪型揚げ菓子臨時店舗に目を奪われていた。
目的はもちろん、ドーナツ…ではなく、売り子のお姉さんだ。

不思議なことに、その巨大ホームセンターにでる揚げ菓子店の売り子さんというのは、毎回ことごとく可愛い娘なのである。

おそらく、バイトの面接時には厳しい書類審査などがあるに違いない。
その中でも、トップグループに位置する女性だけがこの臨時店舗を任されるという名誉に授かるのだ。

売り子の座を獲得するがために、店内では今日も水面下で蝶と蝶による華麗で激しい女の戦いが繰り広げられているはずだ。
 
 
 
毎回見ていて不思議なのだけれど、この場で売り子をする女性は皆、決まってポニーテールにしている。
おそらく規則で決まっているのかも知れないが、もしかすると自発的に結っているのかも知れない。

それほど、某全国チェーン輪型揚げ菓子店揚げ菓子ユニフォームにはポニーテールがよく映える。

ユニフォームとポニーテールが互いを引き立てあっている。

機能性と見た目のよさが、絶妙な調和をかもし、奇跡の融合を交わしている。
色合いも「参りました。」と言うほかない。

機能的で合理性に富み、清潔感に溢れている。
活発でまめまめしい印象を強烈に植え付けられる。
 
 
 
某全国チェーン輪型揚げ菓子店と、ポニーテールの連携はグッジョブである。

小学生時分のように、あのポニーテールを引っ張ってその娘の気を引きたいところではあるが、今やれば間違いなく変質者であり、手が後ろに回ることは疑いなく、ローカルニュースでパトカーの後部座席に乗せられる瞬間一時停止する私の映像を相方が見て、

「最近こういう人多いなあ…。」

と、まるで他人のようにつぶやかれる様がありありと目に浮かぶので、遠くより鑑賞するだけにとどめておこうと思った。

大人になるってのは、不自由なことだ。
と、寂しくなったことはいうまでもない。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

影の主役

夏といえば、女性のキャミソール姿が眩しい季節。

あらわになった肩口や、開放的な肩甲骨周辺は、女性の造形の美しさを引き立たせ、思わず見とれてしまう魔力がある。

がしかし、

それだけではやや風情に欠けるというのもまた事実ではないだろうか。

実のところ私は、露出の多いキャミソール単体よりも、その上にカーディガンを羽織ったコーディネートの方が好きだったりする。

このコンビネーションには、「重ね着を楽しむ」という日本独特の服飾文化が色濃く受け継がれている気がしてならない。

以前、この話を相方としていた時、

「重ね着を楽しむ日本の文化は、十二単の時代から始まっているのよ…!」

と拳を振るわせつつ言い放った彼女の一言は、名言であると私は信じている。
 
 
 
この連携の一番の見せ場は、なんと言っても「肩ひも」ではないだろうか。
なんらかの作用が働き、ほんの一瞬だけはだけたカーディガンの下、垣間見える肩ひもは、なにか

「見てはいけないもの」

を見てしまったような背徳感がある。
いや、お得にも感じられるから、「背得感」と言えるかもしれない。

e-0697

| | コメント (11) | トラックバック (0)

新婚家庭的グッジョブだ。

e-0678

服屋さんにて。
品物を物色しながら、店内で夢中で服を選んでいるお客さんを観察するのは、私の日常の楽しみの一つである。

中でも見どころとして挙げられるのは、ここだろう。
 
 
  
それは、(妙齢の)女性客が、何かしらの琴線に触れた衣服を手に取った時のこと。
ためつすがめつしながら、色、柄、肌触りなどが、自らの趣味趣向に合致するかを慎重に検討している。

そして、熟考の結果、

「今回は見送りという方向で・・。」

ということになり、その品物を棚に戻す時に発生する。

すこし背筋を反らせてアゴを引き、手を目いっぱいひきつけ、胸の上に軽く服を乗せるようにしてたたむ。
そして、全体にたわんだそれを、軽くピッピッと張りなおし、そっと棚に戻す。

コレだ。
その仕草に、たまらない趣きを感じてしまう。

チロっという上目遣いもズルイ。
見た目のインパクトもさることながら、
 
思いがけないところでふと香る、家庭的な空気。
垣間見える日常的魅力が相乗効果となり、

衣服をたたむ女性の姿は、思わず後ろから抱きすくめたくなるような破壊力を発揮する。

つまり、新婚家庭的グッジョブだ。
 
 
 
服屋さんの店内には数多のグッジョブがあるが、いたるところで瞬くように発生するそれは、夏の花火のようなグッジョブと言える。

| | コメント (6) | トラックバック (1)

グッジョブ!日本代表!!

e-0639

昨日の、ワールドカップ最終予選。

日本が北朝鮮を見事、2-0で破り、ドイツワールドカップ出場を確定させた。

まさにグッジョブ!!
素晴らしい試合でした。
 
 
 
昨日の試合で、珠玉のゴールといえるのはもちろん、柳沢選手の先制ゴールでしたが、私が印象に残ったのは2点目の大黒選手の追加点のほうだった。
 
 
数人のディフェンスラインの油断を見切って繰り出されるスルーパス。
同時に背後から飛び出すフォワード。
置き去りにされ、必死に追いすがるディフェンダー。

完全なるキーパーとの一対一。
キーパー圧倒的不利の状況での駆け引き。

シュートフェイント!
つられて滑り込むキーパーをかわす!

そして、目の前には無人のゴール。
大黒選手は、慎重に、確かめるようにインサイドキックでボールを蹴りこむ・・・。
 
 
 
・・・

ううう、美しい!
美しすぎる!!

あの、
『完全に勝負アリ』
の瞬間に、とてつもない『美』を感じてしまうのです。

思わずテレビの前で

「うっひゃひゃひゃひゃ!!」

と身もだえして、奇声をあげてしまいましたとも。
 
 
 
とにかく、サッカーワールドカップドイツ大会出場、おめでとうございます。

日本代表の皆様。
本戦でも頑張って、またあの

「美しすぎる瞬間」

を堪能させてくださいませ。

ガンバレ!
日本代表!!

| | コメント (3) | トラックバック (1)

その甲斐甲斐しさが・・・!

e-0620

先日、とあるウドン屋さんで食事をした時のこと。

そのお店では、ウェイトレス・・・いや、敢えて給仕と呼ばせていただこう。
給仕のお姉さん方の制服が、なんと着物だったのである。

しゃなり、そそと店中を着物姿のうら若き女性が小気味よく働いている。
私は、注文したウドンセットを待ちながら、両手で頬杖をつきつつ、その様をじっくりと観察していた。

着物の女性というのは、やはり日本人の遺伝子に刻み込まれた何かが激しく反応するグッジョブである。

それどころか、グッジョブの最上級、グッジョベストと言っていい。
イイったらイイ。

着物を着て働く女性というのは、どうしてあんなにも甲斐甲斐しく見えるのだろうか。

それはきっと、着物の構造から発生する動作にあるに違いない。

まっすぐ落ちた裾が、歩き方にたおやかさを染み付け、
ゆとりのある袖が仕草の美しさを強調する。

全体に漂う、清涼感と清潔感を伴ったスキの無いシルエットが心地よく、それでいて腰の部分の女性独特の丸みが色気を演出している。

これほど品のある民族服は、世界中探してもそう無いと私は信じている。

着物、グッジョブ。

ありがとう。
バイトのお姉ちゃん。

| | コメント (10) | トラックバック (1)

図書館における原石

今日は仕事も休みだったということもあり、約束の時間まで少し時間が空いたというのもあり、ブラリと図書館へ足を運んだ。

図書館の雰囲気というのは、とても落ち着くものですね。
コソコソという話し声と、さまざまな人たちのコツコツ、タシタシ、パタパタという靴音。
それに、ページのこすれる音がシュリシュリと心地よく耳をくすぐる。

本棚の横に設えられた椅子に座って借りてきた本を読む。
数ページ読んでは、ふと顔を上げ、そばを通る人を眺める。

再び視線を書籍に戻す。
 
 
 
それを繰り返しているうちに気づいたのだけれど、図書館には化粧っけなく、それどころか格好というものにあまり頓着しないけれど、よく見ると顔の造形がとんでもなく綺麗な人が多い。

図書館というのは知性の泉であるから、内面を磨こうという美しさが外見にも反映されるのか、それとも図書館に行くのにわざわざ化粧することもないべということですっぴん上等の心構えなのかは判然としないものの、それなりの格好をすれば、きっとエライことになるのではないかというような人がボサボサと行き交っているのである。

e-0615

図書館の楽しみは、なにも司書さんだけではないな・・と、感心しきりだったことは言うまでもない。

| | コメント (6) | トラックバック (1)

荒地に咲く花

ガソリンスタンドに立ち寄った際。

思いがけず妙齢の女性店員に出会うと、とても得をした気分になってしまう。

何故ならば、ガソリンスタンドの女性店員(妙齢)は、グッジョブ的要素満載の存在だからである。
 
 
 
そもそもガソリンスタンドというものは、極めて不穏な空間である。

油と鉄とゴムが視界を阻み、危険物に囲まれているという緊張感が常にまとわりつき、脳に直接響くガソリンの臭気が無骨で無機質な雰囲気を突きつけてやまない。

考えることも、良からぬ方向に進みがちになる。
基本的に前進のまま通り抜ける施設なのに、気持ちは後ろ向きになってしまうのだ。
 
 
 
ある日のこと。

私は車のガソリン残量がわずかであることにいよいよ観念し、とぼとぼと行きつけのガソリンスタンドに入った。
それに気づいて、事務所から飛び出しつつ

「いらっしゃいませーーーー!!」

と叫び、駆け寄ってきたのは、妙齢の女性店員だったのである。
私はどんなにか救われた気持ちになった。

白と黒を基調としたグラデーションで構成されていた風景が、その女性店員の周りだけわずかな彩りを取り戻していた。

ガソリンスタンドの女性店員は、声が大きい。
女性の声というのは、大きいと艶を増す気がする。

車を止めて、運転席の窓を開けると、そこに駆け寄り先ほどよりも幾分小さな声で

「いらっしゃいませ!」

と言ってくれる。

先ほどの大きな「いらっしゃいませ」は公的なもので、今の「いらっしゃいませ」は、私だけに向けられているのだなあ・・と思うと、一歩踏み込んだ関係になったような気がして、別の意味で緊張が走り、色めき立った空気を感じてしまう。

そして、それはすぐに勘違いだと気づく。
 
 
 
油種、数量を発注すると、女性店員は一度先ほどの「個人用声量」でもって確認し、離れ際店内に響く声(公的声)でもって油種、数量を発表する。

「個人的声量」のところが、言外に

(じゃあ、あたし行くけど、すぐ戻ってくるからちょっと待っててね。)

という、「ナイショ話的雰囲気」が感じられ、そこでまた色めきだってしまう。

e-0529-2

そして、それはすぐに勘違いだと気づく。

ガソリンスタンドの女性店員の魅力のひとつは、この「声量大小使い分け」にあると言って良い。
 
 
 
ガソリンを注入している間、女性店員は実に甲斐甲斐しくクルマの世話を焼いてくれる。
男物と思しき、大き目のツナギを着てコロコロとよく走りながら、窓を拭いたり、灰皿を交換したり、ゴミを受け取ったり。

あまりに至れり尽くせりなので、こちらが恐縮してしまう。
冬場などは、幾分暖かい車内にいる自分が申し訳なくなり、居たたまれなくなる。

「車内をお拭きくださ~い!」

と、渡されたタオルが半分凍って硬くなっていたりすると、

「ああ・・!お疲れ様です・・・!」

と涙ぐみ、手を取り、さすってやりたい衝動に駆られてしまう。
実際にやったら、確実にドン引きされるのでやりませんが。
 
ガソリンスタンドの女性店員の魅力のひとつは、この「恐縮するほど甲斐甲斐しい」ところにあると言って良い。
 
 
 
そして、給油を終えて代金を払う。
女性店員は、サービスを終えた充実感と安堵感で相好を崩した。
寒さで赤くなった頬と鼻先に囲まれて、ニカッと白い歯が光っている。

e-0529

その顔がまた良い。

現金受け渡しの際、油にまみれ、黒く染まった指先に目が行き、少し胸が詰まる。
おつりを受け取るこちらの手の方が女性の手のように白い。

なんだか申し訳ないような気持ちになる。
しかし、そんなことはお構いナシに、元気良く前屈しながら

「ありがとうございましたーーー!!!」

と送り出してくれる姿に、私は感動すら覚えるのであった。
 
 
 
ガソリンスタンドの女性店員はグッジョブである。

メリハリの利いた艶があり、働き者で甲斐甲斐しく、勇ましい。
困難な場所に根を下ろし、懸命に咲く可憐な花のような風情がある。

たった一回の給油で、もう、他人ではなくなったような気さえしてくる。

未練だろうか。
少し振り返ると、

e-0529-3

早くも男性店員と談笑している。

尽くしてその気にさせといて、キッチリ突き放す。
そのビジネスライクな潔さも・・・また良い。

| | コメント (11) | トラックバック (1)

不吉なるグッジョブ。

e-0524

コートを抜けると、そこはノースリーブ、ミニスカートだった。
 
 
 
密封されていたコートの下から肌の露出の多い服装が出てくると、その場の雰囲気は一瞬にして変わる。

バリリッ!という耳に聞こえぬ雷鳴が轟き、視線を集中させる磁場が発生する。

「あ、いかん!!」

と思いながらも、しっかり目を奪われてしまう。
カップをクチに運んだまま、空中で静止させてしまう。

男のサガの悲しさをあざ笑うかのようなグッジョブ。
冬場のグッジョブの中でも、もはや犯罪スレスレのグッジョブ。
威力業務妨害とも言える、問答無用のアイキャッチ。

それが、コートの下のミニスカート(大抵スリット入り)&ノースリーブである。
 
 
 
コート下ミニ&ノースリーブは悔しい。
そこに視線を固定してしまった自分に対して悔しくなる。

何故ならば、コート下ミニ&ノーは、明らかに「演出」の色あいが濃いからである。
「まんまとハマった」感が拭えない。

理性の殻で包み込んで取り澄ましていた自分が、うっかり「オス」の部分を漏らし見せてしまったことが恥ずかしくなる。

「はっ!」

として、慌てて視線を逸らし、横目で周囲の雰囲気を探ると、やはり何人かは
コート下ミニ&ノーの磁力に、視線を釘付けられている。

いよいよ募る

「やられた感」。

そして、まとめてなぎ倒されたような

「十把一絡(じゅっぱひとからげ)感」。

悔しさから、努めて逸らす視線の抵抗むなしく、気がつけば眼球は露出された素肌に食い込んで離れない。
何らかの「術」にかかった事は明白。

「目を覚ませい・・・!!!」

と、ペンで太ももを突き刺したくなる衝動に駆られる。
しかし、その行動自体あまり意味が無いことに気づき、振りかぶった手を危うく戻す。

「オス」の自分と、「理性」の自分が、激しくも静かに葛藤をする。

さっきまで和やかな雰囲気だったはずの店内は、一人の女性客が発した磁場によって、微小ながらも確実に色合いを変え、男性客の心に不穏な影を落とすのだ。

葛藤に疲れ、

「なんて事をしてくれた。平穏な時間を返してくれ!」

という恨めしさまで感じてしまうのだ。
 
 
 
コート下のミニ&ノースリーブはグッジョブである。
グッジョブが過ぎて、「不吉」とも言えるグッジョブである。

稀にしか見られないからか、淫靡感が強いからか、
それを見た後は、ロクなことが起きない気さえしてくる。
 
 
 
しかし、

「じゃあ、やめます。」

と言われると、

「いや、早まるな。」

と答えてしまうところがまた、悔しい。

| | コメント (8) | トラックバック (1)