ラジオに出たのよ。

先日、ひょんなことからラジオに出演することとなった。
地元のラジオ局の企画で、街中の話題のスポットを紹介するコーナーで私の職場が紹介されることとなり、その取材がてら陶芸教室に訪れたスタッフの方が、講師を担当した私の流麗かつ軽妙なトークに感激したらしく(ウソ)、
「是非、トシさんに出ていただきたい!」
というオファー(白羽の矢)をいただいた(突き立てられた)のだった。
その日は、南の方から徐々に近づいてくる台風の影響か、雨がシトシトと落ちていて、空気はすっかり秋の匂い。
少し肌寒かった。
事前に伝えられていた時刻よりかなり早めに到着してしまった私は、滅多に来ない地下鉄の駅ビルのなかを散策して回った。
しかし、どこの店も開店前で、閑散かつ静寂に押し包まれている。
トイレで搾り出したあとは何もすることがなくなり、しかたなく20分ほど早めにスタジオに入ったのである。
戸を開けて、
「おはようございま~す。」
と、とりあえず挨拶の布石を置く。
奥のほうには5~6人のスタッフと思しき人たちが、様子見の中に微量の怪訝をにじませた視線をこちらに向けている。
「あ、あの~・・今日、ゲストに呼ばれた者なんですけど・・・。」
おずおずと用件を伝える。
スーツ姿のサワヤカげなお兄さんがツカツカと歩み寄ってきて、
「ああ!10時からの番組に出演される方…ですよね?」
と聞いてきた。
「え?・・・ええ。そうです。(たぶん)」
「Oさんはもうすぐ来ると思いますんで、こちらでお待ちください。」
と、サワヤカお兄さんは私に冷たいお茶をあてがって、奥の事務室に消えていった。
Oさんというのは、私に白羽の矢を立てた張本人である。
まだ来ていないらしい。
まあ、指定の時刻より少し早めに来たのがマズかったのだろう。
いかにも所在無く、お茶をすすったりそこに置いてあったさまざまなパンフレットを眺める私。
10分ほど経っただろうか。
Oさんが現れた。
私の姿を認めたOさんは、
「おはようございます~!」
にっこりと挨拶しながら、目の前にペットボトルの紅茶を置いた。
紅茶党である私への気遣いである。
それから、ぼちぼちと収録の打ち合わせが始まったのだった。

その日、お世話になったラジオ局は、駅ビルの中にオープンスタジオを構えている。
そこでは妙齢の女性パーソナリティーが、コックピットのような機会郡に囲まれながら、しゃべったり、CDをかけたり、電話の応対をしたり、パソコンをいじったりしている。
くるくると忙しそうながら、手際が小気味よく、観ていて楽しかった。
スタジオを出てきたパーソナリティーのお姉さんに紹介される。
名刺交換。
シュピっと慣れた手つきで名刺を差し出すお姉さんに対して、慌てて名刺を取り出し、もたもたとした上に名刺ケースを取り落とす私。
机の下に滑り込んだケースを拾う自分がカッコワルイ。
いつもそうなのだけれど、どうも名刺交換というヤツは苦手だ。
気恥ずかしい。
29にもなって言うことではないんだけれども。

インタビューは、Oさんと私、それにパーソナリティーのMさんで展開された。
オープンスタジオのなかは防音室独特の圧迫感があり、何故か分からないけれど、歯医者のような匂いがした。
ヘッドホンとマイクがあてがわれ、流れ作業的にインタビューは始まった。
幸い、私は人前でしゃべったりすることに、それほど緊張することはない性分なので、別段とちることもなく淡々と宣伝した。
むしろ、始まる前に妙に可笑しくなってきて、しゃべりだす直前までうつむいて笑いをかみ殺していたくらいだった。
いつもながら、客観的に聞く自分の声は、頭蓋を通して聞くいつものそれとは違い、少し高くてどうも気に入らない。
やはり、男はハスキーボイスに憧れるものなのだ。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、生放送は淡々と終了する。
イマイチウケを取れなかったのがいまだもって残念だった。
ちょっとした都合で、インタビューのあともスタジオの中にとどまることになり、パーソナリティーのお姉さんと話す機会に恵まれた。
その中で、お姉さんはこんなことを言った。
「トシさんの声はイイですね!普通、男の人の声って、低音が『揺らぐ』んですよ。でも、イヤホンから聞くトシさんの声はそれが無くて、『あ、ナレーターとしていけるかも。』と思いましたよ!」
この一言はすごく嬉しかった。
というのも、私の声は通りが悪くて、飲食店などで店員さんを呼ぶのに苦労することがよくあるのだ。
長年そんなことに悩んできたこともあり、そんな自分の声があまり好きではなかったのだけれど、それを褒められたのは意外で、それだけにとても嬉しかった。

そのやりとりのあと、
「よし、ナレーターを目指そう」
と思ったのと、
「普段からマイクとスピーカーを持ち歩こう。」
と思ったことは言うまでもない。
打ち合わせや世間話に2時間ちょい、インタビューは10分少々というラジオ出演だったけれど、とても貴重で楽しい経験をさせていただいた。
ラジオ局の皆様、大変お世話になりました。
ありがとうございました~。
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コメント
トシさんがちょびっとだけフォーマルな格好をしていらっしゃる,ふふふ。
単色カラーの絵も,いい感じですね〜
投稿: ガンジー | 2005/09/08 07:02
寿さんラジオ出演おめでとうございます。
イラストを見てていつも思うんだけど、よく頭に浮かんだことをリアルに表現できますね。
それもいろんなアングルで・・・スゴイです!
あ、ちょっと重箱の隅ですが
コックピットのような機会郡→機械群
校正者・・・じゃこ
投稿: じゃこ | 2005/09/08 08:07
「゛十月に新曲をリリースします!゛」
ちょっと本気にしそうでしたよ。(笑)
投稿: Q@N デイリーさくら | 2005/09/08 11:24
寿さんラジオ出演すごいですねぇ~~!!
活躍の場をますます広げられて、すばらすぃ!是非東北の若きカリスマブロガー&陶芸士としていけるとこまでイッチャッて下さい!同じ東北人として応援いたしますわ♪
投稿: davi | 2005/09/08 11:28
寿さん。
ありがとうございます。
fm局スタッフのサワヤカげなお兄さん、Mパーソナリティ、Oリポーター。
絵日記登場感激です!!
特に、Oリポーターは、取材以前より寿さん家族や相方さんのファンでして・・・・・。
ここだけの話、確実に「白羽の矢」は、寿さんに向かっておりました!!
これから、
「あ・・・かんでるし・・・リポーター・・・笑ってごまかしてるし・・・・つっこみたい・・・」
なんていう、感じで聞いていただけるかと。
また・・・これを機会に、
ぜひ相方さんご一緒に遊びにきてください。お待ちしています。
あ!新曲リリースしました・・ももちろん受け付けていますから。
投稿: いずみ | 2005/09/08 11:30
寿さん ラジオ出演 すごいですね!!
自分だったらどもっちゃって・・・
何も話せないで終わってしまいそうですね・・・
寿さん どんどん活躍してください!!
投稿: かん | 2005/09/08 12:08
こんにちは^0^
ラヂオに出演ですって?(あえてラジオとは書かないとこがミソ^^;)
地元だけ、、だったのですかあ~?
残念。
ナレーターを目指した寿さんの声が聞きたかったなあ。。
そだ。
ここで一発ご披露しては如何ですか?^^
投稿: むぅん | 2005/09/08 15:17
どーも!ご出演ありがとうございました!!
コクピット(笑)リアルですー。
かなり細かいところまで表現されてて感服。
素敵なお声、ぜひ何かの機会にまた、ご出演いただきたいっ。
次は陶芸教わりに参ります~。
投稿: パーソナリティM | 2005/09/08 17:45
東北の若きカリスマブロガーにして
陶芸家にしてイラストレーター。
すごい二つ名になりそう。
私も地元ラヂオのトーク番組に出たことが
あるのですが、インタビュアーって
頭の回転が早くないと勤まらないくらい
大変な仕事なんだなと思いました。
相手よりトークを引き出しながら、時間内に
上手くまとめるのって…私にはできないっす
投稿: ももも | 2005/09/08 18:21
ご出演 おめでとうございます
ナレーター デビュー間近ですねえ
CDも?
声優なんかもどうですか
誰のが いいでしょうか
投稿: ぬっきー | 2005/09/08 20:34
>ガンジー さん
そうそう。
ちょびっとフォーマル。
つーか、一張羅。
一着2,000円のシャツが一張羅ってどうなんだ、俺。orz
>じゃこ さん
うーん・・・、でもまだ思っていることとかけ離れてますよ。
パチっと描けるのは、大体7割くらいかなあ…。
思いがけずよくなることもあるし、悪くなることもしばしば…。
修行あるのみ…ですな。
>コックピットのような機会郡→機械群さん
(((( ;゚Д゚)))
>Q@N デイリーさくら さん
一回言ってみたいんだよなあ…。
>davi さん
いやいや、マジメな話。
まだまだ駆け出しもイイトコの絵日記描きですから。
ちょっとずつ積み上げたいと思います。
>いずみ さん
FMの皆様、大変お世話になりました~!
オープンスタジオというものを見たことがあまり無かったので、初めてマトモにいたのが内側というのが印象的でした。
新曲が出来たら、PRに行きますのでよろしくお願いします!
>かんさん
いや、いざそういう場になるとしゃべれるものですよ。
自分でも意外なくらい。
>むぅん さん
電波を通して再生された私の声は、ちょっと山下達郎さんに似ておりましたよ。
(ファンの方、ごめんなさい。)
>ここで一発ご披露しては如何ですか?^^
じゃあ、いきますよ?
「山下達郎の、棚から一掴み」。
キョトンとしたしゃべり方がコツですな。
>パーソナリティM さん
Mさん~!
大変おせわになりました~。
是非、(出来たら)彼氏さんと一緒にお越しください。
お一人様でももちろん大歓迎です。
お待ちしておりますよ~。
>ももも さん
そうそう!
あんだけあるボタンやレバーをタコ足のようにくねくね動かしながら放送しているんですよね~。
見ていて
「カッコイイ…」
と思いましたよ。
Mさんは
「ピアノを弾いているようなもの」
と言ってましたけど、やはり私にはコクピットにしか見えませんでした…。
>ぬっきー さん
>声優なんかもどうですか
誰のが いいでしょうか
山下達郎さん。
声優じゃないし!
投稿: 管理人@寿 | 2005/09/10 09:21
今晩は^^
>ちょっと山下達郎さんに似ておりましたよ。
う~ん・・
さっきから考えているのだけど、あの「ちょっと鼻に掛かったような声」なのか、それとも「ぼそぼそっとした声」なのか、悩んでおりまする。。
投稿: むぅん | 2005/09/10 21:27
(山達だと)「しゃたでーそんぐぶっく」って
具合ですかね?
ちなみにこれをもうちょい具合を変えると
「こんばんわ、ぴたーばらかんです」
とピーターバラカンの物まねもできます。
洋楽ロック好きは飲み屋で試してみる
と受けるかも?
投稿: Q@N デイリーさくら | 2005/09/11 01:12
ラジオ出演ご苦労様です。
よそゆきな、顔しておりますな、寿さん。
写真の印象で言うと、ラグフェアのおっ君(だっけ)に似てる。
山達なら滑舌はばっちりですね。
投稿: まきち | 2005/09/11 02:23
備前焼 湯乃郷窯オンラインショップ
備前焼特有の奥深さ、力強さ、それは言葉では言い表せません。私は今、陶芸の勉強中ですがその作品が良いか悪いかは人それぞれだと思います。私の選んだ作品を是非一度見てください。その内、私の作品が並ぶ日を夢見ているだけの備前焼ネットショップ店長でした。
http://egsweb.sv1.allin1.jp
他の商品もメールマガジンでどんどん紹介します。一緒に、陶芸の道を進みたいと夢見ている人は、店長山本宛にメール頂ければうれしいです。
まだまだ見難いページですが、コンテンツ増築中ですので、将来的には意見交換なども出来たらいいなって思ってます。
投稿: 湯乃郷窯 | 2005/09/20 14:29
>むぅん さん
「鼻にかかったような声」です。
「ヤマタツの、棚から一掴み。」
どうですか?(なにが?)
>Q@N デイリーさくら さん
>「しゃたでーそんぐぶっく」
そうそれ。
今は日曜日にやってますよね~。
>まきち さん
>ラグフェアのおっ君(だっけ)に似てる。
ああ~・・
・・そうなの?
>湯乃郷窯 さん
ああ~、陶芸ツナガリですね。
私はどっちかってえと教える方なので、作品は最近あまり作っていなかったりします。
また、陶器作りに興味が持てるようになったら、ボチボチ作ろうかと思っておりますが・・。
投稿: 管理人@寿 | 2005/09/21 08:30