全力少年
先日のこと。
自転車で走る少年の姿が目に止まった。
その少年は、自分の体格にまったく見合わない自転車に乗っていた。
肩を怒らせてハンドルにしがみつき、体を全体をピストンのように上下させている。
それは、座ったままペダルをこぐことができないので、サドルの前の空間にめり込むように立ちこぎをしているからだ。
十分にペダルを踏みしめ、ある程度勢いがつくと、ちょこんとサドルにすわって休む。
つかの間休むと、またきっこきっことピストン運動を始めた。
体は上下に動いているのに、自転車はわずかに蛇行している。
危なっかしいが、見ていて懐かしい。
ちょうどいいものばかりの近頃。
次々に塗りつぶされてゆくちょっとした不便のスキマをこいでいるような少年の姿に、塗りつぶしきれない不便の痛快さを感じたのだった。
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コメント
そういえば、自転車に乗る練習をしたのがそんな感じでしたっけねぇ~。。
乗っては転んで、またの乗っては転んでの繰り返し。。
足なんかは傷だらけで赤チンで赤チンだらけ。
赤チンも懐かしいっすね。まだ、あるんですかね~??
寿さんの文を読んで、「不便もいいかな」なんてちょっとだけ思ってしまいました。
「不便者」より(笑)
投稿: バガボンド | 2005/08/20 06:03
私は、今でも自転車に乗ると、おもわず全速力で走りたくなります。上り坂でも、できる限り自転車に乗っていようと思います。まだ少年の心を失っていないということですね。
#昔のこどもは、子供用自転車などなかったから、「三角乗り」をしたもんだ、と親に言われたことがあります。
投稿: nako | 2005/08/20 08:51
スキマスイッチですね
初めまして初めてコメントさせてもらいます
最近 お子様用のマウンテンバイクをよく見ますが 体のサイズに会ってない乗り方を見て
『うわぁ腰ゆわしそう』
と思うワタシは20年前 全力少年
投稿: ひー | 2005/08/20 11:31
昔の子どもたちは(僕の世代より上)みんな、こんなもんでしたね。自分の自転車なんて買ってもらえないのが普通でしたから、大人の自転車をみんな立ち漕ぎして乗ってました。特にフレームが3角形の自転車は、跨ぐことすら出来ないので、3角フレームの間から片足を入れて、実に奇妙な、器用な格好で乗っていたのを思い出します。これがnakoさんの言う「3角乗り」ですね。
大人の自転車だって、あればいい方で、たとえば友達5人のうち、3人が自転車、2人は走って移動する…なんて光景も当たり前に見られました。
投稿: nagaoka | 2005/08/21 03:01
夏が過ぎ 風あざみ
だれのあこがれにさまよう
青空に残された 私の心は夏模様
いいですね。少年時代 って 感じが。一生懸命な高校野球の球児にも通じる清清しさを感じます。
投稿: 惑 | 2005/08/21 10:02
>バガボンド さん
赤チンは懐かしいですね。
ウチの母は、アレを付ける時必ずグリグリと大きく丸く塗りたくり、その周りに点々を描いて
「ホレ、太陽!」
と笑っておりました。
ちなみに、その母にはいまだに
「不便な子」
と言われます。
>nako さん
やっぱし、坂道で自転車を降りたら「負け」ですよね。
最近はクルマばかりで、全然自転車に乗ってません。
乗れるかなあ?
まだ。
>ひー さん
はじめまして。
最近、スキマスイッチの「全力少年」がヘビーローテーションの寿です。
ちなみに、サビの部分だけです。
昔は、自転車があればどこまでもいけるような気がしましたよね。
実際、かなり遠くまで行っていた気になっていました。
しかし、原付やクルマに乗り始めると、
実はたいした範囲ではなかったことに気づいてしまうんですよね。
その気づきが面白くて、濃密な時間だったんだなあ~・・。
という懐古が、ふつふつと湧き上がって面白いです。
>nagaoka さん
私は兄や姉の自転車のお下がりをもらってました。
少し大きいんですけど、そこは工夫で。
乗っているうちに、だんだんと座席が高くなってゆくことに、自分の肉体の成長を感じておりました。
ちなみに、さすがに「三角乗り」はしたことないです。
>惑 さん
井上さんの「少年時代」もいいですよねえ。
スキマスイッチの「全力少年」もなかなかですよ。
(こんど、CD買ってきます)
昔、私が少年だったころは、今ほど子供の世界に大人が干渉してこなかったので、まったくの別世界でしたよね。
子供なりの文化やルールがちゃんとあって。
今もあるのかな?
むせ返るような少年時代。
面白かったけれど、戻りたいかというと全然戻りたくないですね。
今が一番楽しいもの。
投稿: 管理人@寿 | 2005/08/22 08:32