ロシアから来たサプライズ

先日。
仲間うちを集めて、庭先に出たホタルを見ながらお酒を飲もうという、風雅な宴会が催され、私も相方を誘って参加した。
パラパラと集まってくる顔見知りのメンバー。
その中にひときわ異彩を放つ人物が混じっていた。
すこし銀色かかった金髪、白地にピンクがかった肌。
彫りの深い目元に碧眼、ツンとアクセントのついた鼻が、小さい顔に整然と並んでいる。
全体に、それぞれの部位がハッキリと自己主張する存在。
はっとするような長身美人の彼女は、ロシア人のオルガさん。
初対面である。
聞けば、知り合いの歯医者の先生の息子のお嫁さんになる人だという。
彼女は三ヶ国語を操る言語能力を有している。
内訳はロシア語、英語、そして日本語。
日本語は、難しい表現はさすがにまだ無理にしろ、かなり流暢と言える。
日本語を勉強し始めて、数年でそこまでなったというのだから、才能ある努力家ということだろう。
先日の、中国語、イタリア語、英語を操る同じくトリリンガルのジェシカさんもそうだが、近頃の私の日常は、図らずもやや国際色豊かに彩られているようである。
ロシアの人と交流したのは初めてのことであったが、オルガさんはとても楽しい人だった。
まず、酒がとんでもなく強い。
ビールをカッパカッパ開けて、ケロリとしている。
母国では、65度のウォッカをストレートで飲むというのだから、
「ビールなんてソフトドリンクデス。」
という言も致し方ないところだろう。
ビール350ミリ缶一本でクラクラになる私では、到底太刀打ちできない。
そして、陽気である。
私の勝手な印象というか、先入観なのだが、ロシアの人というのは、どこか暗いイメージがあった。
分厚い毛皮のコートに首をうずめ、シェプカ(ロシア帽子のことをこういうらしい)を目深にかぶって、ムスリとウォッカをなめている…。
まあ、日本人が七三で出っ歯でスーツでカメラをぶら下げていて、登場シーンには必ず銅鑼が鳴るというイメージと似たようなものなのだけれど、とにかくそういうものだとどこか思っていた。
しかし、オルガさんはとにかく陽気。
ニコニコ笑いながらビール(ソフトドリンク)を飲み、日本語で駄洒落まで言う。
いわゆる、ジャパニーズオヤジギャグである。
「アイムソーリー、ヒげソーリー、カミソーリー!」
彼女の口から発せられたその一言は、「外国人の意外な駄洒落」という化学反応を引き起こし、オヤジギャグに降り注ぐ大爆笑という奇跡を起こした。
私も29年間生きてきて、上記の駄洒落で手を叩いて笑ったのは初めてのことだったが、今思うと、誰に習ったわけでもなく駄洒落を思いついたということは、それだけその言語を深く理解しているという事にほかならないわけで、その上ユーモアのセンスも必要とされる、かなり高度な技だったのだ。
陽気でトリリンガル、そして、異国に嫁ごうというバイタリティ。
そんな同い年(軽く衝撃の事実)に、ひたすら頭が下がる思いがする。
ロシアから、生活週間も民族性も違う日本という国に嫁ぐというのは、並大抵のことではない。
「大変ではないですか?」
という質問に、
「大変ではナイ。なぜナラ、日本には好きな人がいるカラ。」
と応えたオルガさん。
それは、まぎれもなく「愛」というものである。
オルガさんの前途に幸あれ!
そう思ったことは言うまでもない。
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コメント
本文読むより先にイラストの「アイムソーリー、ヒげソーリー、カミソーリー!」で笑死しました。
にしても、カッコイイなあ、オルガさん。
相方さんが圧倒されるとはッ。
投稿: RYO | 2005/07/05 14:03
ジャパニーズダジャレはかなり高度な言葉遊びなのですね。
私も再認識させられましたよ。
投稿: 管理人@寿 | 2005/07/06 08:46
はじめまして!
いつも楽しく拝見させていただいてます!
今度、オルガさんにお会いしたら、乾杯のとき、「ダバイ!」と言ってみてください。
ウケること間違いなし(ただし、そのあとイッキ飲みさせられても知りません)。
この「ダバイ!」、乾杯だけでなく、グッジョブとか、レッツ〜!と言いたい時にも使えますよ。便利なひとことです。
ロシアより愛をこめて(ウソ)
投稿: マナ | 2005/07/06 13:18
オルガさんすご~い!!!
とりあえず、狙ってたら完璧ですね!
オルガさんは幸せを勝ち取るパワーを感じさせてくれます
投稿: ました | 2005/07/06 18:48
>マナ さん
はじめましダバイ!
ダバイ!
これはいい言葉を教わっダバイ!
ダバイのない事につかってはダバだイ一言ではないのダバイ?
ダバダバ!
ドゥ~~~!
>ました さん
彼女は完全に狙ってましたぜ。
投稿: 管理人@寿 | 2005/07/07 11:40
うーむ、ロシアだ・・・
はじめまして。岩手県民です。
私が一昨年まで住んでた山奥の歯医者さんの奥さんもロシア人でした。
今住んでる町の焼肉屋や温泉ホテルのウェイトレスもロシア人です。
さらに私の実家近くの警察職員もロシア人。
やっぱ隣の国なので来やすいんでしょうか?
ところどころで目にしますね。
投稿: vodka | 2006/01/10 10:52