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奇策、奇策。

先日のこと。

相方とゴハンを食べ終わり、会計を済まそうとレジへ伝票を運んだ。

いつもなら代金の総額をだいたい半分コして支払うのだが、その日は相方のほうに手持ちが少なかったため、私が全部出すことにしたのである。

やや重めのドアをこじ開けて、肌寒い夜の空気を吸い込む。
お腹にはたった今収めたばかりの美味しい料理が温かく、心地よく重かった。

「いやあ、今日はおごってもらっちゃってごめんね。」
相方がそう切り出してきた。

「ん?ああ、いいよ。持ってるほうが出せばいいんだし。」

「今度、私が出すからさ。」

「うん。」

「すみません、貧乏人で・・。」

「いやいや、たまたま今日無かっただけでしょう。(笑)」

「ゴメンねえ・・ダメねえ。私。」

こういうしつこいほどの卑屈っぷりは、相方独特のネタである。
殊更卑屈に見せて、こちらが困る様を見て楽しんでいる。
長い付き合いだけに、そのことは十分に知っているのだ。

lここでいつもなら、

「わかった、わかった。」

というところなのだが、その日は気まぐれに変化を持たせてみようと考えた。
奇策という名の刺激の風を送り込んでみようと考えたのだ。

「どうせ私は貧乏なのよ・・!」

とニヤニヤしながらつぶやく相方に、

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と、サワヤカ極まりない笑顔を向けた次の瞬間。

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豹変して見せる私。
それを受けて相方は微笑みを浮かべてアゴを引き、ツカツカと間合いを詰めてきた。

(ヤバイ・・!)
それはすなわち戦闘体勢である。

もはや交戦はまぬがれない。
私は相方の初手を定石どおりの「脇突き」と判断し、必死に脇腹のガードを固めた。

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・・ぬかった。
こちらの奇策に気さくに呼応するかのような奇策。

相方の革靴は、正確に私のヒザ関節を直撃した。

「コン。」

という乾いた音が、いっそう痛みを倍加させる。

「いっでえ!・・ちくしょう!まさか蹴りで来るとは・・!」

痛みよりも、相方の奇策がガッチリハマったことに対して悔しがる私。

「あっははは!『額づけ、貧乏人』とか言うからよ!」

予想以上に見事に決まったローキックに自分でも驚き、可笑しがる相方。

「・・ごめんね、大丈夫?足が止まらなくて、意外に強く蹴っちゃったよ。」
 
 
 
人間の関係には、「いつものパターン」というものが存在する。
たまにそれを外してやるのも意外性という刺激でいいものではあるが、たいていの場合、いつもよりも被害が大きくなるものなのだと再確認したことは言うまでもない。

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コメント

あはは
でも意外性ってとても大事ですよね

意外性に、直ぐに意外性で返せる関係は
とても素敵ですね

投稿: 壱弐参 | 2005/06/03 01:30

でも結局は、彼女の方が上手、ということなのね(笑)

投稿: RYO | 2005/06/03 03:36

すみません・・・イラストの「額づけ」のところを

「糠漬」

だと思ってしまいました orz

投稿: qu_ma | 2005/06/03 09:07

とりあえず、「コン」という乾いた音の割りに
ものすごく痛いであろうな・・・と思ってます
KOにいたらなくて良かった・・・

投稿: ました | 2005/06/03 18:15

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