認められた日。
ついに、というべきか。
通い続けた実績が実を結んだ・・・と思われる。
行きつけのカフェレストランで、「アッサムティーの人」という認識が成立したのである。
これは、自分にとって偉業と言ってもさしつかえのない事件であった。
ある日のこと。
いつもの店に相方とお茶を飲みに出かけた。
一連の流れでメニューを開き、今日の発注を検討する。
とはいえ、私は頑なにアッサムティーなのだが。
その時である。
オーダーを取りに来たいつものウェイトレスさんが、このようなことを持ちかけてきた。
「あのー。今日はですね。『ケーキセット』があるんですよお。コーヒーとか紅茶にケーキがついて、お安くなってます。」
「へえ~。どうする?サチ。」
「ああ~、じゃあ、私、それで。」
「んで、こっちもそれで。」
即決する我々。
店員さんはメモを取りつつ、
「じゃ、いつものようにコーヒーと紅茶でいいですね?」
と聞いてくるではないか。
『いつもの・・』
『いつもの・・』
『いつもの・・』
鼓膜にこだまする甘美な響きに、しばし打ち震える。
私が、『紅茶の人』と認識されたのを知った瞬間であった。
しかし、まだ予断は許さなかった。
『紅茶』まではいいとして、つぎは的確に『アッサム』を持ってきてもらわなければならない。
その店には、『アッサム』の他にも『ダージリン』、『アールグレイ』、『セイロン』があるのだ。
もし、間違えて『アッサム』以外の銘柄が来た場合、先ほどまでの歓喜の半分がぬか喜びと化してしまう。
もちろん、店員さんにしてみれば、私だけがお客でないことは分かっている。
分かっているのだけれども・・・!
私は不安を胸に抱き、緊張しつつもアッサムであるべき紅茶が運ばれてくるのを待った。
数分後。
銀色のお盆に、ポットと茶漉し、カップが運ばれてきた。
緊迫にワナつきながら、一口すする私。
味を確かめる。
かくして、見事、私の「いつもの計画」は成功の栄をつかんだ。
有の頂天、我が世の春を謳歌する私。
・・・がしかし。
それから程なくして、世の中、上には上がいると思い知らされることとなるのだが・・・それはまた別のお話。
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コメント
やりましたね! ついに憧れの「いつもの」!
と書きつつもう既に「上には上って、相方さんのことよね。一体どんなこと言われたのかしら」とワクワクしている私がいるのだった。
投稿: RYO | 2005/06/08 10:09
おめでとうございます!
いいなぁ・・・私も「いつもの」で通じるお店を作りたいです。
「それはまた別のお話」って「王様のレストラン」ですか?
最近再放送やってましたよね。
投稿: 律 | 2005/06/08 12:40
「いつもの」。
私は逆に、チェーン店・バイトの店員さんに「いつもありがとうございます!」と言われるくらい通ってしまってこっぱずかしい思いをしました…。
毎日行って飲み物買ってたからですけれど。
普通の喫茶店で「いつも」が通じるのはいいですね。
投稿: ゆず | 2005/06/08 15:24
正 直 感 動 し た 。゜゜(´□`。)°゜。
投稿: そふぃ1978 | 2005/06/08 16:09
おめでとー!
私も某所でお好み焼き特大が「いつもの」人になることを実行中です。
投稿: masamic | 2005/06/08 19:27
わ、私も「いつものですね」って言われますよ?
……薬局ですけど。
それはそれとして、お二人の様子を見ていると、昨日見た「電車男」を思い出してしまいます。
投稿: maeda | 2005/06/09 14:54
やりましたね!!!
その店の常連リスト仲間入りですね!!!
第一関門突破でしょうか!!!(上には上の記事を先に読んじゃったので)
投稿: ました | 2005/06/10 11:29
きっと…見てるよ。言戯。
いつものウェイトレスさんは(ボソ)。
投稿: はぁちゃん | 2005/06/11 01:34