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医は仁術

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母から、風邪という名のバトンをしっかりと受け取った。

朝、目が覚めたときには、ツバを飲み込むのも難儀するほどノドが腫れあがり、鼻呼吸が利かないほど大量の鼻汁がジルジルタラタラと流れ出し、目の上はぼってりとむくみ、頭はボーッとしていた。

今回の風邪は、胃腸方面にも深刻な打撃を与えるらしく、胃もグルグルと妙な音を立てている。

しかし、寝込むわけにはいかない。
経験上、寝込むと余計に状況は悪化する。

なので、口呼吸をヒーヒーいわせながら普通に仕事をこなしていた。
 
 
 
その日は折り良く。
我が家のかかりつけのお医者先生が往診に来てくださる日だった。

日が傾きかけた頃、私は先生の前に座っていた。

「先生、どうも風邪を引いたみたいです。」

「ああ~、そうですか。じゃあ、一本打っておきますか?」

造作なく診療カバンから注射器を取り出す先生。
私は鼻汁を撒き散らす勢いで、激しく首を横に振った。
注射はとにかくニガテなのだ。

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「いやいやいや、先生。そういう物騒なものでなく、もう少し穏便な薬はありませんか?」

「ありますよ。」

こともなげに言う先生。

(・・・あんのかよ!)

ツッコミがどことなくツッケンドンなのは、風邪で本調子でないからに違いない。

「とりあえず、ちょっと診てみましょう。」

そう言って、先生は聴診器を構えつつにじり寄ってきた。
あわてて作務衣のヒモを解き、おなかを出そうとする私。

「あ、いいからいいから。」

一切かまわず、Tシャツの上から聴診器を当てる先生。

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聴診器って、素肌の上から当てるものだとばかり思っていたので、誠に失礼ながらすこし訝りを禁じえない。
だまって数箇所に点々と聴診器を当てる先生。

そのうちに、いつも首から下げている指輪にカツンと当たってしまった。

「あ、すみません。外します。」

「いいからいいから。」

そう言って、先生はそのまま聴診器を外してしまったのである。

(・・・今ので分かったのだろうか???)

明らかに、最後の一回は金属に当たって聞き取れていないはずなのだが。

「総合漢方薬と、抗生物質を出しておきますね。」

どうやら、「風邪」と診断されたらしい。

Tシャツの上からならまだしも、金属越しにでも診察できてしまう先生に、ブラックジャックによろしくしたくなるほどの香ばしい名医臭を嗅ぎ取ったことは言うまでもない。

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コメント

お大事に・・・・・・というか、こういう時くらいしっかり休んでくださいよう。

投稿: RYO | 2005/04/29 11:39

相方さまにはバトンタッチしてませんように
・・・すると、相方さまはふらふらと危険な一人歩きに!
しっかりと休んでくださいね

投稿: ました | 2005/04/29 13:08

総合感冒薬な上に、抗生物質は風邪には効きません。なぜなら抗生物質はウィルスに効くのではなく細菌に効くから。変な耐性のでせいで後々困るかもしれないですので、飲まない方がいいですよ~。

投稿: ri-ko | 2005/04/29 14:03

このお医者さんは、昨年4月21日にに登場した「医者のご用聞き」のお医者さんですか?毎週木曜日にご用聞きにいらっしゃるという。
昨日は木曜日だし、メガネをかけた絵も同じような気がするのですが。
去年の今頃は……などと、つい思い出を辿ったりしてしまいました。

投稿: | 2005/04/29 17:14

聴診器はいろんな音を聞きたくなる魔法のアイテムです。

その聴診器で、まだカミさんの腹中にいた
息子の心音を聞いたことがある。
バクバクと意外に早いことに驚いた。

ついでに自分の腹も聞いたら
「ぎゅ、くるるる~ぅ…」
笑えるくらいに鳴り放題。

>寿さま
風邪は体力と気力を奪います。
治るまで養生して下さい。

投稿: はぁちゃん | 2005/04/29 20:49

熱を下げるなら「座薬」という手もありますからねぇ。まあ、インフルエンザのように脳に危うい高熱を出す症状以外ではそうそう使うもんでもないでしょうけど。

投稿: masamic | 2005/04/29 21:43

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