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故意の滝登り

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夜。

部屋にいたら、突然けたたましい足音とともに母が踏み込んできた。

「トシさん!金持ちになる方法が分かったよ!」

「はあ?金持ち・・・?」

「今ね、ホソキさんが言ってたんだけど・・・」

ホソキさんと言えば、「ズバリ言うわよ!」のあの人だ。
母はどうもあの人がお気に入りらしい。

私は椅子に座って紅茶をすすりながら、母の話に耳を傾ける。

「玄関先に、ツガイの鯉が滝を登っている絵を飾っておくと、お客さんがバンバン来るんだって!」

「へえ~。で、その絵はどうすんの?」

「トシさん、描いて。」

「ヤダよ!」

「とにかく、勢いがあった方がいいらしいよ。」

(人の話を聞いちゃいねえ。)

そう言いつつ、風邪っ鼻をすすりながら鯉の画像を拾い集める私。
鯉の大まかな作りはわかったけれど、滝登りの資料はにわかには集まらなかったので、想像で描くことにする。

頭がボーッとしながらも、割と楽しげに描き進めて2時間ほどで出来たのがコレ。

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これをプリントアウトして、明日から玄関先に貼っておこうと思っている。

これで大金持ち確定だ!
わあい、やったね。

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医は仁術

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母から、風邪という名のバトンをしっかりと受け取った。

朝、目が覚めたときには、ツバを飲み込むのも難儀するほどノドが腫れあがり、鼻呼吸が利かないほど大量の鼻汁がジルジルタラタラと流れ出し、目の上はぼってりとむくみ、頭はボーッとしていた。

今回の風邪は、胃腸方面にも深刻な打撃を与えるらしく、胃もグルグルと妙な音を立てている。

しかし、寝込むわけにはいかない。
経験上、寝込むと余計に状況は悪化する。

なので、口呼吸をヒーヒーいわせながら普通に仕事をこなしていた。
 
 
 
その日は折り良く。
我が家のかかりつけのお医者先生が往診に来てくださる日だった。

日が傾きかけた頃、私は先生の前に座っていた。

「先生、どうも風邪を引いたみたいです。」

「ああ~、そうですか。じゃあ、一本打っておきますか?」

造作なく診療カバンから注射器を取り出す先生。
私は鼻汁を撒き散らす勢いで、激しく首を横に振った。
注射はとにかくニガテなのだ。

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「いやいやいや、先生。そういう物騒なものでなく、もう少し穏便な薬はありませんか?」

「ありますよ。」

こともなげに言う先生。

(・・・あんのかよ!)

ツッコミがどことなくツッケンドンなのは、風邪で本調子でないからに違いない。

「とりあえず、ちょっと診てみましょう。」

そう言って、先生は聴診器を構えつつにじり寄ってきた。
あわてて作務衣のヒモを解き、おなかを出そうとする私。

「あ、いいからいいから。」

一切かまわず、Tシャツの上から聴診器を当てる先生。

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聴診器って、素肌の上から当てるものだとばかり思っていたので、誠に失礼ながらすこし訝りを禁じえない。
だまって数箇所に点々と聴診器を当てる先生。

そのうちに、いつも首から下げている指輪にカツンと当たってしまった。

「あ、すみません。外します。」

「いいからいいから。」

そう言って、先生はそのまま聴診器を外してしまったのである。

(・・・今ので分かったのだろうか???)

明らかに、最後の一回は金属に当たって聞き取れていないはずなのだが。

「総合漢方薬と、抗生物質を出しておきますね。」

どうやら、「風邪」と診断されたらしい。

Tシャツの上からならまだしも、金属越しにでも診察できてしまう先生に、ブラックジャックによろしくしたくなるほどの香ばしい名医臭を嗅ぎ取ったことは言うまでもない。

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行く手を阻む影。

日付の変わりつつある山道を、ハイビームにしたライトの明かりを頼りにクルマを走らせていた。

道は下りながら、逆バンクを経て登り坂に移りゆく。
まとわりつく眠気をアクビで散らし、アクセルを踏み込んだその時だった。

道の横から、突如として飛び出してきた影。
すぐさま反応し、ブレーキを踏み込んでスピードを落とす。

「あっぶねえな!」

非難の独り言をこぼす。

その影は、進行方向を急激に変え、クルマのやや右前方で併走するカタチとなった。
しかも、その動きはフラフラと蛇行していて、速度は遅い。

危険を感じた私は、その影を抜き去るべく、慎重にアクセルを踏み込んだ。
するとどうだろう。

その影は抜かせまいと、こちらに幅寄せし、行く手を阻むような動きを見せるのである。

(どういうつもりなのだろう・・。)

私はすっかり困ってしまった。

真夜中に、
ポコポコと縦にオシリを振りながら、なかば狂乱状態でひた走るタヌキ。

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それをゆるゆると追走する私。

空にはしょうゆラーメンに浮かぶゆで卵のようなお月さまがぷかりと浮かんでいた。

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マネーロンダリング

出来れば、こういうことは無いようにして欲しいものだ。

ということが、先日起こってしまった。
 
 
 
それは、ガソリンスタンドで給油をした時のこと。
少し遠出をしなければならなかったその日は、いつもより多めにガソリンを入れなければならなかった。

ガソリンは高い。
特に今の時期はとんでもなく高い。

満タンにすると、けっこうどエライ金額になる。
そこで懐具合と相談して、30リッターを定量発注した。

給油が済んで、会計をするべく店員のお兄さんが領収書を持って駆け寄ってくる。
その足音を、札入れと小銭入れをひざの上に並べて待ち受けていた。

そこで、あり得べからざる事態が起こった。

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どうりで給油が済んでから会計まで妙に時間がかかっていると思った。

私は困り果ててしまった。
いっそ、

「ガソリン入れすぎてしまったので、その分も払ってください。」

と言われたなら、遠慮なく突っぱねることも出来るのだけれど、向こうは最初から

「私が払いますので・・。」

という。

困った。
それは、ものの道理から言えば当たり前のことなのも分かっている。
しかし、その差額、約1,000円。

このお兄さんにしてみれば、約1時間分の稼ぎだろう。
見ず知らずの他人の1時間を、間接的にとはいえ、はっきりと奪うカタチになるような気がする。

それをタンクに飲み込んで走るというのは、なんとも気分が悪い。
だからと言って、「払う」と言ってもおそらく受け取らないだろう。
ガソリンスタンドとしては、量を間違えたり、油種を間違えると言うのはかなり深刻なミスだからだ。
黙然と考え込む私。

そうこうしている間に、お兄さんは30リッター分を計算しておつりを持ってきてしまった。
ひどく申し訳ない気持ちでそれを受け取る。

手のひらの上で、ひんやりと重い硬貨がチャラリと音を立てている。

(ああ、気分が悪い。)

どうも、ポケットにしまいたくない。
自分のお金と混ぜたくない。

(どうしたものか・・)

と悩んでいると、しばらく走ったところにコンビニがあった。

(そうだ。)

その店に飛び込む。
商品棚からジュースをさらい、レジを打つ店員の目を盗んでそこにあったなんかの募金箱にそのお金を流し込んだ。

別に、いい人ぶりたいわけではない。
ただ、自分はかなりハッキリした「バチあたり体質」なのだ。

ああいったお金で喜んでいると、心のどこかに後ろ暗さというシミが張り付き、必ず何倍にもなったバチを食らうことになる。
それが怖い。

ともかくこれで、自分の中では「満タン分の代金を正規に支払った」という事になった。
マネーロンダリングが成功した。

しかし、そこでまたハッと気がついた。
元を正せば、降って湧いたような想定外の出費である。
それもけっこう痛い。

貧乏人の言う「清貧」なんて、負け惜しみのようなものであり、
自己満足以外の何ものでもない。

才覚もロクに出来ない人間が、お金にきれいだの、汚いだの評価を付けるなんて滑稽に過ぎる事だ。
さまざまな事を考え込み、いっそう落ち込む私。
 

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しかし、その日の長距離運転が無事に終わったのはきっと、バチが当たらなかったからだと思いたい。

そして、あのお兄さんも私が代わりに募金しといたから、善行はめぐりめぐってそのうち何かいいことがあるに違いない。

でも、どちらにしても気苦労するので、ガソリンの量は間違えないでいただきたい。
と、思ったことは言うまでもない。

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病魔と踊ろう

先日、母が珍しく風邪を引いた。

寝込むほどのものではないが、一日中コホコホとセキをして、鼻水をジルジル鳴らしている。
その様子を見た周りの人間は心配から、

「大丈夫?今日は早めに休んだ方がいいよ。」

と言っていた。
 
 
 
その日の夕方のこと。

工房にいた私のところに母がやってきて、こう言ったのである。

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「風邪を引いているから映画に行く」。

どう考えても、理由と行動に一貫性が無い。

「風邪引いてるんなら、早く休んだ方がいいんじゃないの?」

と、当然聞いてみた。
すると、こういう返答が帰ってきたのである。

「いや、今日は1,000円で映画が観られる日だからさあ。」

(あ、そうか、今日は月曜日だったなあ。)

毎週月曜日は女性に限り1,000円で映画が観られる。
思わず納得しそうになってしまうところで危うく踏みとどまった。

「いやいや、毎週あるんだから、わざわざ風邪引いている日に行かなくたって・・。」

「いいんだよ。お母さんは今日行きたいの。」

と言い捨てて、さっさと出かけてしまったのだった。
 
 
 
 
 
それから数日後。

相方と逢った私は、その時の話を聞かせた。

「・・・だってよ。なんでわざわざ風邪引いてるときに出かけたがるのかねえ?」

相方は笑いながらコクリと軽くうなづいた。

「いや、私も風邪引いたりすると出かけたくなるよ。」

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「だーいじょうぶだって。足元がフワフワして、楽しいんだ、コレが。」

「・・・。」

風邪を引くと気分が高揚し、どこかへ出かけたくなる母。

そして、
風邪を引いたことによる体の変調を楽しむ相方。

この二人に、よく似通った何かを見出したことは言うまでもない。

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「ココログ虎の穴」に出演しました。

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先日、ある出版社の方から取材を受けました。

そのインタビューの模様が本日ニフティのブログ「ココログ」の公式ページ「ココログナビ」の方にアップされています。

コーナーの名前は

「ココログ虎の穴」。

「なんでも作るよ。」さんと並んで紹介されちゃってます。
あちらは書籍化されるほどの有名ブログ。

しかも、過去の紹介された人を見ても、かなり有名な人ばかりですよ。

特に、前回真鍋かをりさんと対談されていた枡野浩一さんの歌集を何冊か持ってますよ、私。
ホントに、大変光栄なのですが、いいのでしょうか。

驚きのタイガー迷彩です。
(上図参照)

とにかく、ご覧くださいませ。
 
 
 
「言戯」管理人@寿

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黄金の波動

昨夜のこと。

相方の所属するブラスバンドの定期演奏会へ足を運んだ。

今までこういったコンサートというものに興味はあって、「是非一度、聴きに行きたいものだ」という願望はあったのだが、「格調」と「敷居」というものは大抵比例して高くなるものだ。
どうにも照れくさく、敬遠していたのである。
 
しかし、欲すれば縁というものは繋がりやすくなるようで、図らずもこのたび「団員の関係者」という立場を得、金管バンドコンサートとの邂逅がかなったのである。
 
 
 
開演時間を告げるブザーがこごもった音で鳴る。

会場の照明はステージの上に集められた。
場内は静まり返り、かすかにパンフレットのこすれる音だけがそよいでいる。
指揮者を取り囲んだ演奏者たちの手には照明の光を反射する楽器がキラキラと輝いて、指揮者の指示でいっせいに構えたそれらから漏れる、かすかな金属音。

息を飲むような緊張が充満した、次の瞬間。

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その場所から、金色の丸い衝撃波が放たれ、到達し、全身を打って、おそらく魂と思われるものを静かに背もたれに押し付けた。

やや手荒いが、心地よい洗礼。
頭頂部から進入したそれは、つま先で鳥肌をともなって折り返し、再び頭頂部へ抜けていった。

吹き手と聞き手の間に横たわっていたどん帳は、演奏者による開き直りにも似たファンファーレで幕開けられたのである。
 
 
 
金管楽器のきらびやかで軽やかな音は「金色」。
打楽器の重低音は底光りする「黒色」。

イギリスの合奏スタイルなのに、どこか雅な印象があるのはその色から来る気がする。

そして、音に温度がある。
演奏者の呼吸があり、有機的なぬくもりのある音。
音楽に疎い私には、技術的にどうだとかは分からない。

ただ、よく練磨された息吹が黄金色の粒になり、中心に立つ指揮者のもとに殺到する。

指揮者は両のスネをしっかりと踏みしめながら、大小さまざまな音の粒に揉まれつつ、それらを集めて、くっつけたり、切ったり、よけたり、配ったり、はめたり、結んだり、ふさいだり、開け放したりしながら大きな丸い波動のカタマリを作って、それをこちらに向かってドクンドクンと送り込んでくるように見えた。

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そう。
今まで、指揮者というのは楽団の「脳みそ」という印象があったのだけれど、もしかすると、

「心臓なのかもしれない。」

と感じ、思った。

演奏者が生んで、指揮者が育んだ大きなカタマリが、聴く人間をも飲み込んで、会場を一つの生き物にするのだ。

こういうものには、されるがまま飲み込まれた方がいい。
音の液体に浸かり、その奔流にたゆたう気持ちよさというものを初めて体験した。

これは衝撃と言ってよい。
 

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そうして快感に打ち震えている間に、約2時間半のプログラムはすべて終わった。

アンコールの1曲目はややしんみりした「ホタルの光」的なもので、
2曲目は一転、明るく陽気なものだった。

「笑顔でさようなら!」

という、大団円的雰囲気を感じ取り、いっそう高まる感動ヒトシオを胸にしまった。

手の感覚がなくなるほど、惜しみない拍手を送り続けた。
 
 
 
ぽつぽつと客席の照明が戻り、今までの幻想的な雰囲気は余韻を楽しむ間もなく取り払われる。
全身を包んだ疲労感は、揺り動かされ続けた芯の部分が、軽く炎症を起こしているのだろう。

それほどに、素晴らしい演奏会だった。

是非また行きたいものである。

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携帯の都合

歩きつかれた両の足を一休みさせようと、大きな本屋さんの出入り口のベンチに座っていた。

そこは裏口とも呼べるところで、2枚の自動ドアにはさまれたスペースにジュースの自販機が置いてある。
目の前には灰皿も設置されていて、喫煙所も兼ねているらしかった。

ひざの上にリュックを置いて、赤いベンチにたっぷりもたれかかる。
超過労働に参っていた足もようやく休みを得て、冷たい血液がみゃくみゃくと走り回っているようだ。

その心地よさを感じながら、目はひっきりなしに開き閉じる自動ドアの音と一緒に吐き出され、吸い込まれる往来の人たちを眺めていた。
 
 
 
その時である。

自動ドアをこじ開けるように入っていた妙齢の女性が、私のすぐ横にちょこんと座ってきた。
耳には携帯電話を押し当てている。

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どうやら、外の喧騒では話がよく聞き取れないため、やや静かと言えるここへ非難してきたらしい。

(ああ、外した方がいいのかなあ・・)

とも思ったが、まだ足も疲れていたし、先に座っていたのはこちらなのだから・・
と、誰にも求められていない占有権を内心主張しながら、拱手、瞑目して狸的寝入り法を実践しつつ、居座ることに決めたのだった。

しかし。
見ず知らずの人間の電話の内容が聞こえてしまうというのは、非常に居心地の悪いものである。
その上、先ほどまで絶え間なくガーガー開いていた自動ドアも、ぱったりと動かなくなった。

狭い喫煙所に響き渡る赤の他人の極めて私的な会話。
女性の方も、こちらをチラチラ気にしながら話している。

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その視線に

「外してくれないかしら的意向」

を汲み取らざるを得ない。

休憩所として用意されていたこの場所は、ひとつの携帯電話の闖入によって知らぬうち、電話ボックスに変貌を遂げていたのだ。

つまり、客観的に見ると、私が他人の会話を盗み聞いているという格好だ。
せめてジュースの一本も飲んでいれば、

「水分補給中」

という対抗手段も得られたのだが、それも用意していなかった。
目の前に自販機があるが、今から買ったのではいかにもわざとらしい。
第一、ノドはさほど渇いていない。
 

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結局、突如として変貌した空気に押し出されるように、その場を立ち去る事にする。

釈然としない気持ちを抱えながら、

(携帯電話の普及は、「ただぼんやりする」という事を肩身の狭い贅沢にしたよなあ・・)

と考えていたことは言うまでもない。

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逆転問題提起

先日、相方とお茶を飲んでいた時のこと。

私は、ふと思いついて、ず~っと前から感じていたことを相方に尋ねてみた。

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もともと相方は自分から他人を誘うということをほとんどしない性格なので

「まあ、そういうものなのだろう・・。」

と理解しようとしたのだが、ほとんどこちらから連絡しないと音沙汰が無いという状況がいつまでも続くと、さすがに寂しいというよりカチンと来るものである。

こういったことは、口に出した時点でお互いメンドクサイことになるのは分かっているのだが、

「ま、いいか。」

で済ませられず、メンドクサイことをしたがるところが私の狭量さというものだろう。

「悪かった・・。」

と神妙に謝る相方に

「んー、いや、いいんだけどね・・。」

と答える。

どうも我々の場合、行動がいちいち男女逆転している傾向がある。
それがどうにも可笑しくて、つい

(もしも、この二人の男女が逆転したら・・・)

という想像をしてしまう。

♀寿「ねえ、なんで連絡くれないの?」

♂相方「悪かったって。仕事とか、付き合いが忙しいんだよ。」

♀寿「でも、連絡ぐらいくれたっていいじゃない!」

♂相方「今、こうやって逢ってるんだからいいだろー?それにオレ、メールとか電話すんの面倒なんだよ!そういう性格分かっとるやろ?」
 

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(・・・絶対あたし、この人に捨てられるだろうなあ・・・)

と、一人悲しくなっていたことは言うまでもない。

※♀寿が可愛く描いてあるのは、「欲目」です。

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バッグを叩くとお菓子が一つ。

ましたさんのコメントでも述べられていたように、女性はバッグの中に携帯食を持ち歩く人が多いらしい。

昨日、地下鉄に乗っていた時のこと。
いつものように開閉しない方のドアのスミに身をうずめ、車内を眺めていた。
すると、すぐ横の座席に座った女性が、大き目のバッグを開けて化粧直しを始めたのである。

立ち位置的に、バッグの中身が丸見えになってしまう。
もちろん、他人のバッグの中を覗き見るなどというのは決していい趣味ではないから、なるべく見ないようにはしていたのだけれど、バッグの片隅に箱型のお菓子が差し込まれていたことに気づいて目を奪われてしまった。

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(あっ、この人もお菓子を持っている!)

今まで、「常にお菓子を持っている=おばあちゃん」という先入観ともいえるイメージがあったのだが、どうやらそうではないらしいという発見があった。
 
 
 
さらに、街で相方と花見をしての帰り道。
帰り道の地下鉄は仕事帰りの人々でやや混んでいて、私と相方はつり革につかまって揺られていた。

その時である。
前の座席に座って携帯電話に没頭している女性のバッグが、またもやダラリと開いていた。

(うーん・・無用心だなあ・・。)

と思いつつ、つい観察していると、やはりあった。
「期待通り」、と言ってよい。

財布やピルケース、化粧バッグなどがおそらく不変の区画に敷き詰められた中に、明らかな「お菓子用地」が整備されており、そこには当然のように箱入りのチョコレート菓子が埋設されていたのだ。

(あ!やっぱしこの人も!!)

私はその発見に嬉しくなり、

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という不気味な含み笑いをこぼしてしまった。
にわかに集まる奇異の視線。

まだまだ実際に目の当たりにした事象は3件のみなので、断定までには至らないまでも、私の中に

「女性のバッグの中には、高い確率でお菓子(スナック、チョコレート類)が存在する。」

という仮説が生まれた事は言うまでもない。
 
 
 
エー、ちなみに。
「フロム*ヤマガタ」nagaokaさんのトラックバック企画

「みなさんのバッグの中身教えてください」

にお答えしますと・・・。

リュックの中には折りたたみ傘、文庫小説(主に「竜馬がゆく」)くらいでしょうか。
滅多に持ち歩きませんが。

普段はズボンのポケットに札入れ、小銭入れ、免許証、メモ帳、0.8ミリペン、名刺入れをねじ込んで、パンパンにしてあります。

それに、相方からもらった指輪を首から下げているくらいなものですね。

携帯も時計も持ってないので、非常に難儀することもあります。
(買えよ。)

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けむる桜に

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仙台の桜は今が満開の時。

昨日は、相方と花見に歩いた。

とっぷりと暮れた仙台の街は、車の走る音がけたたましくビルに乱反射して、その向こうにはクレーンの大きなシルエットが先端にのっぺりとした紅光をつまんでいる。

夜の桜は、月明かり、照明や出店の明かりでぼんやりと煙るように浮かび上がり、人や空気や喧騒が互いに滲みあい、溶け合っているようだった。

吐息と一緒にこぼれる

「綺麗だねえ・・」

という凡庸な感想は、それだけで満たされていたからだと思う。

ひどくシアワセで、少し焦りを感じた月夜の花見だった。

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四次元バッグ

先日。

相方とクルマに乗っていた時のこと。
山あいのトンネルの中で、その異変は突如として訪れた。

ブロロロロロロ・・・ブロ、ブロロロロ・・・

エンジンの回転数が上がらない。

ブロロロ・・・ブロロロ・・・

回転数にあわせて、オートマチックに下降してゆくシフト。

相方は、

「ナニ?どうしたの?なにがあった?」

と不安げに問いかけてくる。

「あー、うんー。大体想像はつくんだけれどね。」

つとめて呑気に答えつつ、安全にクルマが停められるところを探す私。
トンネルを抜けたところはダムになっていて、そこに小さな公園があった。
トイレもあり、駐車場もある。

息も絶え絶えのオデッセイ君を緩いアクセルワークで励ましながら、駐車場の入り口を目指す。
エンジンは、その入り口付近で止まった。

あとは惰性で行くのみ。
しかし、オートマチックはエンジンが切れると、ハンドルもブレーキも利かなくなる。
次第に重くなってゆくハンドルを懸命に切り、なんとか駐車場に車輪を合わせる。

しかしブレーキが利かない。
ゆるゆると近づいてくる植え込み。

極めて利きの悪いブレーキを踏みしめ、効果があるのか無いのかサイドブレーキを引く。
ほぼ失速したのを確認し、パーキングレンジに入れて、とりあえず無事にクルマは止まった。
 
 
 
「さて、困った。」

苦笑いを浮かべながらつぶやく私。

「だから、何が起こったの!?」

イラだつ相方。

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とたんに平静に戻る相方。
理由が分かれば、かえって肝が据わるらしい。
 
 
 
私の車の残油計は少し変わっていて、普通のクルマのように「警告ランプ」というものが付いていない。
残りのガソリン量を示す針がある程度のところまで下落すると、カチンと振り切れてしまう仕組みになっている。

しかし、このクルマはその表示の調整がまずいらしく、20リッターほど給油しても、一向に針が浮上しない。
それどころか振り切れたままなのである。

つまり、残油計はまったくアテにならず、走行距離から残りのガソリン量を推測して乗らなければならないということになる。

先日の給油量から、

(あと20kmは走るだろうから、そろそろスタンドに行こう。)

と立てた私の目測が見事に誤り、その油断が招いた事態であった。
 
 
 
(さて、どうしたものか。)

思案する。

ここからガソリンスタンドまでは、大体12kmくらいあるだろう。
歩いてゆくには闇夜の山中はあまりに物騒である。

(やむをえん)

幸いなことに、そこは私の自宅からそう遠くない場所だった。
兄にお願いして、ガソリンを持ってきてもらうことにする。

相方に携帯を借りる。

液晶の表示は、当然のように「圏外」になっている。
しかも、バッテリーの表示ももうすぐ無くなる事を知らせていた。

携帯が生きているうちにと、急いで公衆電話をさがしつつ、電波の届くところを探す我々。

またもや幸いなことに、そこから50メートルほど歩いたところで電波の届くポイントを見つけた。
この時、不運と幸運がめまぐるしく交錯していることが可笑しく、不謹慎ながらひどく楽しかった。
 
 
 
「バッカだなあ~オメエは!すぐ行くから待ってろ!」

という気のいい兄の声に一安心して、クルマに戻る。
それを見届けたかのように、相方の携帯電話は電池が切れた。

「ありゃあ、バッテリー無くなっちゃったねえ。」

すると相方はバッグの中から小さな包みを出してきた。

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「こんなこともあろうかと、常に携帯発電機を持っとるのよ~。」

「おおお~!?スゲエ!!」

「懐中電灯にもなるし、携帯電話に充電もできるよ。」

得意げにワシワシと発電する始める相方。
何故そんなものを常備しているのかが謎ではあるが、感動を隠しきれない私。

そして、またバッグの中をゴソゴソと探る相方。

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「こんなこともあろうかと、携帯食も持っとるのよ~。すこしチョコが融けてるけど食べる?」
 
「いや、食料って、遭難したわけじゃないんだから。」

さすがにツッコミを禁じえない。

「あ、そっか。じゃあいいな。」

(しかし、いつもお菓子を持ち歩いているなんて、おばあちゃんみたいだ・・・)

内心、感心する私を尻目に三度バッグの中を探っている。
次は何が出てくるものかと、横目に眺める私。

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「こんなこともあろうかと、携帯ラジオも持っとるのよ~。」

「それ、FMも聞けるの?」

「聞けるよ~。でも、今ちょっと調子が悪くて、スイッチが入らないんだけどね。」

(じゃあ、なんで持っているのだろうか・・・)

と素朴な疑問を持ちながらも、私は試しに質問してみた。

「そのバッグの中に、『携帯ガソリン』は入ってない?3リッターくらい。」

「・・・さすがにそれは無いね。重たいし。」

次々に非常時に役立つものが出てくる相方の四次元バッグ。
いつも中身をパンパンにして持ち歩くそれの中身の一端が垣間見られたことだけでも、ガス欠になった甲斐があったものだと妙な感心を抱いたことは言うまでもない。

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掲載のお知らせほか

昨日発売された、「日経ゼロワン」という雑誌に、ウチのブログがちょぴっと載っている模様です。

他にもさまざま面白い情報が載っていましたので、是非ご購読ください。
 
 
 
え~、それとですね。

記事数が、500を超えてました。
ていうか昨日見たら、507でした。
この記事で508ですね。

ついでなので他のデータもつらつら見てみたら・・・。
コメント数が2,800くらい(レスも含むのですが)で、
トラックバックが315回・・あ、コレ書いている間に一個来たので316ですね。
もっとも多い検索ワードは「言戯」でした。

このデータをもとに今後のサイト運営を・・ということが出来ない性分なので、これからも自分が面白いと思える記事を淡々と描き続けてゆきます。

よろしくお願いいたします~。
 
 
 
管理人@寿(トシ)

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ワカメさん状態。

つい先日のこと。

信号待ちのクルマの運転席で、傾きかけた太陽に目を細めていた。

その交差点はとある高校のすぐそばにあった。
休日だというのに、ポツリポツリと横断歩道を渡る高校生は、おそらく部活動か何かだろう。

その様子をぼんやり眺めていると、ある異変に気づいた。

それは、私の車のすぐ横を歩いていた女子高校生である。
何気ない日常の景色の中で明らかに浮いている。

何故だろうとよくよく観察してみると、その理由はすぐさま判明した。
 

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スカート丈の調整を、明らかに失敗している。

前面はまあ、許容範囲ギリギリの丈だと思われるのだが、後背部が微妙な調整を失している。

つまり、アレだ。
端的に申し述べると。
短すぎて、普通に歩いているだけでショーツの一部が露出しているのである。

私は思わず

「あらららら・・・」

という呟きを禁じえなかった。

これと同じような光景を、「サザエさん」方面でよく見かける。

露出上等小学生ならまだ可愛げもあるが、高校生ともなるとさすがに生々しい。

「見えちゃった」ではなく、「見えてしまっている」という状況は、どちらかというとオッチャンのズボンのチャックが全開でしたという印象に近く、かえって気まずい。

(教えてあげた方がいいだろうか・・・)

考えがとっさに頭によぎったが、前方の信号が青に変わったため、私は老婆心(老爺心?)を抱え込んだまま、高校生は「ワカメさん状態」のまま、物別れとなった。

あのあと、出来れば同性の友達あたりが、それとなく指摘してあげてたら良いな・・。
と願ってやまない。

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あんぱんプレイ。

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先日、相方といつもの喫茶店に行った時のこと。

その店は、入り口付近にオリジナルのパンが並べて売られており、それらを店内で食べることも出来るようになっている。

パンはどれもこれも丁寧に作られていてとても美味しそうで、入店直後のパンの姿と香りの洗礼は、非常に食欲をそそる趣向となっている。
 
 
 
端正な作りの顔をした男性店員に案内され、テーブルにつくと、相方がこう話しかけてきた。

「さっきのアンパン見た?」

「え?あ、見てなかった。そんなのあったんだ?」

「うん。『さくら抹茶あんぱん』だって。可愛いなあ~。」

相方が「可愛い」という言葉を用いることは実に珍しい。
よほど自分の中の、「可愛い」という琴線に触れたらしい。

そこで私はまたいつものように、相方の少し困る顔が見たくなって、こういう質問をぶつけてみたのである。

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「アンパンは食べられるしな。」

そうつぶやきながら水を口に運ぶ相方。

私はアンパンに対する敗北感とともに湧き上がる不思議な興奮と高揚に視界を甘くしながら、

「こういうプレイもアリかも知れん。」

と、思い始めていた。

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ゴージャス作業着

春の到来を拒み続けた根雪もすっかり地面へ吸い込まれ、温んだ花粉交じりの黄色い風が吹いている。

私と母は、庭の片隅で新しい看板を作るべく、板にペンキを塗っていた。
 
 
 
「こんにちは。」

近づいてくる足音と、その声にほぼ同時に気づいて、我々は顔を上げた。
声で誰なのかはすぐ分かる。

「いらっしゃい。」

母は相好を崩して返す。

「スミコさん、こんちは。」

私も笑顔で答えた。

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スミコさんは、クラシックバレエの先生である。
年齢は不詳。
ある年齢から、歳をとるのを止めたそうだ。

いつも、気合の入った化粧と、ゴージャス極まりない服装に身を包み、クラシックバレエが染みこんだ佇まいもあいまって、女性たる緊張感を纏っている。
 
 
 
その日のスミコさんは、いつものヒザ上二桁センチのミニスカートではなく、珍しくパンツスタイルで決めていた。

母はそのことに気づき、さっそくスミコさんに探りを入れる。

「スミコさん、今日はズボンなんだ。珍しいじゃない。」

スミコさんはいつものように、目いっぱいアゴを引いて少し上目遣いにこう答えた。

「今日のコレね、ツナギなのよ。」

その言葉に驚きを禁じえない私と母。
二人同時に違う質問をぶつけた。

母「それ、ツナギだったの!?」

私「なんでスミコさんがツナギなんか着てるんですか!?」

派手な服しか持っていないハズのスミコさんが、ツナギを着るというのも意外だが、その「ツナギ」は真っ白で、いたるところに花々の刺繍が咲き誇っている。

ツナギというにはあまりにゴージャスで、我々は本人に言われるまでそれがツナギだと気づかなかった。

スミコさんは、ゆったりと2回うなづき、こう答えた。

「今日はね、別荘の畑で農作業をしてたの。」

似合わない。
が、ハイヒールで山菜採りに山に分け入るような人なので、そこはかろうじて飲み込む私。

「そのためにね、ツナギを買ってきたんだけど、真っ白でとても殺風景だったのよ。」

そりゃそうだ。
ツナギは作業着。
派手である意味が無い。

「だからね、自分でワンポイントに刺繍を入れようと思ったのだけど、刺繍しているうちにノッてきちゃって。」

「ああ~。」

早くも激しく納得する私と母。

「気がついたら、こうなってたのよねえ・・・。」

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農作業用のツナギすらもゴージャスに着こなすスミコさんに、

「本物のゴージャス」

というものを見せ付けられた事は言うまでもない。

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分かち合えない過程

自分にとって楽しいことが、他の人にとって楽しいかというと、そうとは限らない。

たとえば相方と歩いている時に、普通に談笑していたと思ったら・・

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つい、何かを発見してしまい、

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知らぬうちに、自分の世界に入り込んで、相方を置いてけぼりにしてしまう。

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何を考えているかというのは、大体このブログに書いてある事だ。
別にブログを始めたからこうなったのではなく、もともとこういうクセがあって、それを書き残す場をブログに得ただけのことなのだけれど、見て、考えて、描くという行為は、ほとんどが自分の中で発生、完結してしまうことであり、分かち合いづらいことなのは間違いない。
 
 
 
つい先日、相方がため息と一緒にこぼした

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というつぶやきは、子供の頃から実に色々な人に言われ続けた中で唯一着陸に失敗し、ドスンと落ちて砕けた。

生まれてから29年の付き合いのこのクセ。
その根治の必要を、切実に感じた事は言うまでもない。

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危険なるチーズフォンデュ

生まれて初めて、「チーズフォンデュ」を食べた。

前々から興味はあったのだけれど、胃弱の身にはチーズをふんだんに使用した料理というものは果たしていかがなものかと毎回発注を臆してしまっていた。

しかし、昨日はついに発注した。

いつかは越えなければならない壁を、今日越えようと決心した。

相方と連れ立っていつものお店に入り、運ばれてきた水を少しなめて口のすべりを良くする。
発注を円滑に進めるための準備を怠りはなかった。

店員のお姉さんは、いつものようにメニューを運んできて、「季節限定」のページを開いて去ってゆく。
もうすっかり春なので、チーズフォンデュは終わってしまっているかも知れないいうかすかな危惧は、見開きのページに描かれたナベの中で溶けるチーズのイラストがさらって行った。

相方と、チーズフォンデュの他に何を頼むか検討し、程なく「地鶏の香草焼き」に決定。

振り返りざまに店員のお姉さんに向けて正確に

「注文お願いします光線」

を発射。
お姉さんは駆け寄ってきて、「注文とりますのか構え」を作った。

何故か少し照れながら、鼻息荒く

「チーズフォンデュ!普通の!」

と、ぎこちない発言を浴びせかける。

お姉さんはすこし困りながら、

「チーズフォンデュのプレーンですね?」

と繰り返し聞く。

「プレーン=普通の」である。

ウム。
同じことだ。

力強くうなづきながら、

「ハイ。普通の!」

と、少しだけ我を通した。
 
 
 
かくしてチーズフォンデュとの邂逅の舞台は整った。
もう後には引けない。

この興奮を相方に伝えようと言葉を探していたら、

「ちょっとゴメンね。」

と言い残して携帯電話を持って席を外した。
いくつか用意した言葉をため息と一緒に放り捨て、さっさと考え事の世界に入り込む私。
 
 
 
ほどなく、ナプキンやお手拭とともに、食事の道具が運ばれてきた。
スプーンにナイフにフォークに・・・銛(もり)??

二股にわかれ、とがった先端に返しのついた物騒な道具を発見する。

(これは、チーズフォンデュ用の「銛」か!)

まるで、歯の治療の時に、いつもと違う道具を発見した時のような緊張と不安が湧き起こった。
食事の道具で、「返し」のついたものというのはあまり見たことが無い。

私の中に、「チーズフォンデュは物騒な料理」というイメージが強烈に刻み込まれた。
 

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しばらく戻ってこなかった相方がヒョコヒョコ戻ってきて、すぐにチーズフォンデュセットがテーブルの上に展開された。

磁器製の小さなナベの中にはクタクタと沸騰するチーズ。
大きなナベには、細かく刻まれたフランスパン、フカフカにふかされたジャガイモ、赤ピーマン、ゆがいたブロッコリー、それらに護られるような格好で、真ん中の別皿に鶏肉が鎮座ましましている。

店員のお姉さんの指示通り、頃合いを見計らいチーズをかき混ぜ、こなし、さっそく物騒な銛を獲物(パン)に突き立て、煮えたぎるチーズに浸して食べた。

チーズフォンデュはいちいち残忍な方法をとることになる料理だけれど、とっても美味しかった。

アッサリした味わいのチーズにはハーブがふんだんに混入されており、口に中に入れるとまずハーブの香りが鼻関係を確保し、つづいてチーズの味わいが舌関係を占拠する。

そして、最後に核を成す具が、歯関係をカバーするのだ。

見事なまでの連携。
あっという間に、私の味覚関係はチーズフォンデュ部隊によって鎮圧された。

チーズフォンデュは、「物騒な美味しさ」と言える。
 
 
 
チーズフォンデュは物騒だけれど、物騒だけに「ウマ楽しい」。
大皿に盛られた色とりどりの具を、次々に突き刺し、思うさま浸し、ほしいまま食べる。

子供の頃の、無垢な残忍さを引っ張り出される。
その興奮状態は、大人になって身に付けた「計画性」を崩壊させ、やがて空になったチーズのナベと、具の残った大皿が取り残されたことに気づく。

そこで初めて、人は「ハシャギ過ぎた。」という事実に愕然とする。
 
 
 
チーズフォンデュは、危険極まりない料理と言える。

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2周年記念4コママンガ

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4月13日は、ふたりの記念日。

相方の何気ない一言に、良きにつけ悪しきにつけ過剰に反応する私は、2年前から・・・いや、14年前から何も変わっていないのかも知れない。

こんな面倒で厄介な男だけれど、これからもよろしくお願いします。

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絆の美。

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先日、街を歩いていた時のこと。

人ごみの向こうから、いかにも人のよさそうな地味顔に、飾り気の無い服装を着込んだ男性と、格好は地味なのだけれど顔の作りやたたずまいがハッとするほど可愛い女性が連れ立って歩いているのを見た。

肩を寄せ合い、手をつないで歩いている様から察するに、二人はおそらくカップルなのだろう。
互いへの信頼がにじみ出ているかのようだ。

きっとあの娘は、あの地味~な男性の中に、自分だけが分かる何かを見つけて選び、それを疑いなく愛しているのだろう。

他人事ではあるのだけれど、雑踏の中、不意に見つけた一瞬の「絆の美」は、まるで美術品のように、見る者を豊かな気持ちにさせる。

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惜しゲー。

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一日の、やるべきことはすべてやり終えた。

湯船に浸したクタクタの体は、疲れと垢から開放されてほっくりほぐれてる。

さあ、あとは布団にもぐりこめばたちどころ、就寝世界へまっしぐら。

布団をめくり、足をしまいこみ、枕の位置を微調整して電気を消す。

「・・・」

スイッチへ伸ばした手が中空で止まる。

何故か、電気を消す気になれない。
このまま電気を消してめがねを外せば、10秒と経たずに私は寝てしまうだろう。

しかし、惜しい。
今日のこの一日が、このまま終わってしまうのがなんとも言えず悔しい。

今日の自分が、明日の自分にやすやすとバトンを渡すことをヨシとしない。

そんな心情を汲み取った時。
私は、今日の自分を納得させるべく布団からもぞもぞと這い出す。

疲れて眠たい。
でも、寝るのは惜しい。
そんな夜は、テレビゲームをするのが望ましい。

つまり、

「惜しゲー」
である。

「惜しゲー」をオシゲもなくプレイするのだ。

・・・

ゴメン、今のナシ。
 
 
 
プレステの中には、数ヶ月前から入りっぱなしの

「ウイニングイレブン8」。
ソフトはこれしか持っていないので、選別に悩まなくていいのが便利だ。
しかも、このゲームはサッカーのゲームなので、1試合1試合で区切りがつき、いつでもやめられる。

「惜しゲー」にはうってつけと言える。
しかも、操作が難しく、判断を間違うと次々にチャンスを逸してしまうのだ。

眠気でモウロウとしながらプレイしていると、当然

(あ、パスをカットされちった。)

(あ、持ちすぎてスペースが無くなっちゃった。)

(あ、シュート浮かしちゃった。)

などと、失敗ばかりのゲームになってしまう。
そうしているうちに、

(やっぱ、今日の俺はもうだめだな。)

という気分になり、少し落胆しながらも、ひどく納得して寝床に就けるのだ。

「惜しゲー」は、今日の自分の限界を知らしめるのに、最適と言える。
 
 
 
しかし、たまに「惜しゲー」のつもりで始めたら、妙に好調でやめるにやめられず、気がつけば何試合もこなし、翌日に見事、寝不足とあいなる場合もある。

その日の自分は、自分の想像を超えてタフだったのだと気づく。

そして次の日の自分が、主にその被害を受ける。

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容赦ない甘え

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こないだまで、まる2週間ばかり相方も忙しくてほとんど逢えなかった。

寂しくなんかなかったけれど、仕事以外のエネルギーが湧いてこなかったのも事実である。

つまり、とんでもなく寂しかったのだ。
 
 
 
しかし、こういうのはイイトシした大人の言うことではないので、もう少し相方以外への興味も持とうと切実に思った。

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恥じらいご挨拶。

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こないだ、古本屋さんで

「いらっしゃいませこんばんは~。」

を恥らいながらつぶやいているうら若き女性店員さんを見た。

かわいいなあ~。

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相方とロボ関節。

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コンビニに立ち寄ると、相方は必ず「食玩コーナー」に立ち寄る。

中でもお気に入りは、ガンダムなどのロボットフィギュアのもの。

「ガンダムとかはあんまり知らないんだけど、関節のメカをぼんやり眺めるのが好き。」

なのだという。

 

相方の趣向は、奥が深い。

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ポスター完成!

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「フロム*ヤマガタ」管理人のNagaoka様より依頼を受け、納品したイラストのポスターが完成しました!

わざわざ宅急便で送ってくださったNagaoka様に大感謝です。

某銀行の、組合のポスターだそうです。
斬ってます。

激しく。

しかも、私のサインもデカデカと載せてくださいました。
ステキです。

写真は、我が家の玄関から入って正面の壁。
入ってきたお客さんはまず、残業が斬られている惨劇を目撃することになります。
 
 
 
正式に依頼を受けてイラストを描いて納品したというのは初めての経験で、大変プレッシャーも感じ、楽しくもありました。

こうやって完成すると、

「ああ、やったなあ。」

という自信が少しだけ湧き出てきますね。
 
 
 
Nagaokaさん、声をかけていただいてありがとうございました。

仙台に立ち寄った際には是非ウチの方にも遊びに来てくださいませ。
ピザをご馳走しますので。

では、また何かありましたらよろしくお願いします~。

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火傷の理由

先日のこと。

昼食にチャーハンでも作ろうかと、肉、たまねぎ、マイタケなどを適当にザルに入れ、中華ナベが熱するのを待って油を敷き、具材を投入した。

その時。
一気にこぼれ落ちた具材は、中華ナベの中の油を跳ね上げ、その油は中空を舞い、あろうことか私の右手首にパシャリとかかってしまった。

「うあっちいいいいいい!!!!!」

手首を襲う激痛に顔をゆがめながらも、とりあえず火を止めて、流しに直行。
水で丹念に患部を冷やし、アロエの皮を剥いて当て、包帯でグルグルに巻いたのだった。
 
 
 
その翌日。

知り合いのオバちゃんと世間話をしている時に、手首の包帯の話になった。

「あら?どうしたの!その包帯!」

尋ねるオバちゃん。

「え?ああ、これ、火傷しちゃって。」

と、包み隠さず(隠す必要も無いのだが)理由を述べた。

「あらあ!何?ピザ焼いてる時に?」

「いえいえ、お昼ご飯作ってる時に、油が跳ねて。」

正直に申告する私。
するとオバちゃんは、

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と、何故かとても残念そうにその話題を打ち切ったのだった。
 
 
 
その日の夜。

相方と夕飯を食べたときの事である。
私は、話題の一つとして、昼間に負った火傷を見せた。

「サチ、聞いてくれよ~。今日さ、手首火傷しちゃって。」

腕をまくって痛々しい包帯を見せびらかす私。

「あらら。なに?仕事中に石窯で?」

昼間と同じ展開に、既視感にも似た不安がよぎるのを禁じえなかった。

「・・・いや、お昼ご飯を作ってて、油が跳ねちゃって。」

やや恐る恐る切り出す私。
すると相方は、

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明らかにあからさまで明白な落胆の表情としぐさを存分に見せつけ、そこからさらにこう付け加えたのである。

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何かのドラマをなぞらえている事は間違いない提案に、戦慄を覚える私。

一体、それで誰に対して何をアッピールせよというのか。
クラモト先生もビックリだ。
 
 

以上のことから、私のように火と関わりの深い仕事をしている人間にとって、仕事以外での火傷というのは世間からあまり歓迎されないらしい事がよく分かった。

私は、これから同じ理由で火傷を負おうとも、

「石窯で火傷しました。」

とウソをつき、世間に、人心に迎合しようと心に誓った事は言うまでもない。

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