無言の駆け引き
少し前のこと。
私は、書店で相方と待ち合わせをしていた。
店内に入り、書棚の間を順々に探していると、「編み物関連書」のコーナーで立ち読みする相方の姿を見つけた。
(あ、いたいた。)
歩み寄る私。
それに気づいて、読んでいた本を棚に戻す相方。
その時だった。
(ん?)
私は、自分の頭頂部に突然かゆみを感じた。
(む、かゆい。)
何も考えずに、右手を頭に持ってゆく私。
相方はそれを見て
(あ、手を振ろうとしている)
と感じたのだろう。
それに応ずるべく右手を上げた。
しかし、私の上げた右手は、自分の頭を掻くためのものだった。
(あ、イカン!)
と瞬間的に思ったものの、手が止められなかった。
結果的に相方の期待を裏切り、自らの頭頂部をポリポリと掻いてしまったのである。
意外な行動に、顔の横まで上げていた手を止める相方。
表情に、
(しまった!ひっかかった!)
という色が浮かんでいる。
(ああ、ゴメン・・。)
不可抗力とはいえ、フェイントをかけ、しかもそれがまんまと成功してしまった事に、焦る私。
慌てて体勢を立て直し、手を振ったその時・・
相方は、途中まであげていた手の用途を一瞬で変更し、髪をかき上げてみせたのであった。
それに対し、一人手を振る私。
まさに、私のうっかりと、相方の負けず嫌いが交錯した一瞬。
勝負は、フェイントにフェイントで返した相方の勝利であった。
上げた手に送った視線を握りつぶしながら、何故かたまらず悔しくなる私。
相方との無言の駆け引きは、今日もこうして続いている。
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コメント
相方さん、クールで今日も素敵です♪
…あーゆー大人になりたいなー。
投稿: るるが | 2005/03/02 18:46
ヒューヒュー
投稿: そふぃ1978 | 2005/03/02 19:40
う~ん、面白いな~。
さすが百戦錬磨の相方さん。まさに「そうくるか」の技ですね。
上げたその手で髪をかき上げる仕草へ路線変更とは…。よし今度から私もその手でいこうっと(笑)
投稿: 小夜 | 2005/03/02 19:44
相方さんは相変わらずの負けず嫌いっぷり
ですね。しかし……ノロケてはいか~ん(泣)
あ、いや…嘘ですよ?どんどん
ノロケてください。現実では(笑)
投稿: ゆう | 2005/03/03 00:35
>るるがさん
怖いぞ。
>そふぃ1978さん
いえー!
> 小夜 さん
やめたほうがいいですよ・・。
>ゆうさん
いやいや、言われなくてもノロケますよ。
投稿: 寿@管理人 | 2005/03/03 09:34