コロンブスのセロハンテープ
相方(恋人)から借りた本に衝撃を受けた。
本の題名は「東海林さだお~タクアンの丸かじり~」。
内容はとっても面白くて、さだお先生はスゴイなあ・・と関心しきりではあるのだが、そこに衝撃を受けたわけではなくってですね。
本の「見返し」と言うのか、「チリ」と呼ばれるところなのか、よく分からないのですが、要するに、カバー・・これを「カバー」というのか「ブックジャケット」というのかはよく分からないのですが・・の折り返し。
これを「ブックジャケットのそで」というのか、表紙裏というのかよく分からないのですが・・。
要するに、カバーの折り返しのところを見て衝撃を受けたのである。
なぜならば、カバーと本の境目にセロハンテープが貼り付けてあったからだ。
私にはかねてから、読書をする際に必ず思い煩い、苦悩させられ、煩悶を強いられてきた事があった。
「カバーの取り扱い」である。
夢中で読んでいるうちに、98%の不運と、2%の不注意から、必ずカバーが剥離したり、カバーと書籍の関係にズレが生じて上辺または下辺がヨレヨレになったり、酷い時には行方知れずになり、捜索隊を結成して発見した時には変わり果てた姿になっていたり・・という数々の悲劇が生まれた。
自分の本ならまだしも、借りた本までそうなってしまうため、身内にも「あんたには本貸さない。」という三行半(?)を突きつけられ、そうしているうちに私の背中には「読書不適合者」、または「準禁治本者」という名の烙印が深々と刻まれていったのだ。
決してワザとやっているわけではない。
本とカバーの関係がしっくりいっていない事から発生したイザコザに、善意の第三者たる私が偶然巻き込まれた格好なのであり、むしろ私は被害者と言っても良いくらいなのだ。
何故、本にカバーなど付けるのだろう?
いっそカバーなどこの世から消えてしまえばいいのに・・。
と夜毎嘆き、枕を涙で濡らしたものである。
しかし、カバーのソデをセロハンテープで留めてしまえばどうだろう?
カバーは外れる事はおろかズレる事も皆無である。
この相方の画期的な書籍カスタマイズは、長年の懸案であった「カバー問題」に終止符を打ち、私の長年の「カバーコンプレックス」を崩壊させ、瓦解させ、氷解させ、倒壊させてくれたのだ。
まさに、「コロンブスの卵」である。
私は感涙を禁じえなかった。
しかも、このセロハンテープはやけに風情がある。
文庫本の見返しに貼られたセロハンテープ。
その黄ばみ具合に歴史を感じ、つい想像を掻き立てられる。
私と逢う以前に、彼女は見知らぬ土地の見知らぬ書店でこの本を購入し、読む前にとりあえずセロハンテープでカバーをペソッと留める「何気ない儀式」を執り行っていたのだろう。
文庫本の見返しに貼られたセロハンテープ。
その黄ばみ具合に縁というものを感じ、つい見入ってしまう。
その時、「何気ない儀式」には立ち会えなかったけれど、
今、このセロハンテープに出逢えて良かった。
・・まあ、自分ではやらないと思うけれど。
(面倒クサイし。)
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コメント
おそるべき予言者、相方さん。
とおーいむかし、その本がそういう人の元へ借りられていくことを予測して貼られたものであろうセロテープ。今、それが役に立つ日が訪れて、感涙にむせんでおられる相方さんを想像してしまいました。
投稿: 涼 | 2005/01/07 08:24
いや、多分、
「あーそー。良かったねえ。」
と言うだけでしょう。
奴は。
投稿: そんちょ | 2005/01/07 08:50
はじめまして、そんちょさん。
カバーにセロハンテープ、私の父以外にもする人がいると知ってうれしくなりました。
父は私と同じく「カバーをきれいに残したい」方だったので、ほとんどをテープ止めしていたようです。
母はカバーはくしゃくしゃになるからと、買うとはずして捨ててしまう人ですから(笑)
ちなみに私は読む間ははずしておき、読み終わったら付けています。
張り付け儀式、面倒ですよね・・・
投稿: オリーブ | 2005/01/07 09:45
俺も昔はセロハンテープ貼ってましたが最近は貼ってません。
ボロボロになっていくので。
最近は本を読むときはカバーを外して読んで、しまうときにまた被せるという感じが多いですかね。
投稿: あさぽん | 2005/01/07 09:47
そんちょさんはじめまして!
去年暮れよりお邪魔しております(^^)
本カバーの折り返しにセロテープ。
私も普通にはってましたよ♪
最近、両面テープを貼る方法を思いつきました。
それでは、また。
投稿: violala | 2005/01/07 09:56
おはようございます、そんちょさん(^^
セロテープを貼って本を大切に読む人は過去に知っていますが、そこに貼る人は初めてで「へ~」と思いましたよ。
夫は本のカバーをはずしてから読む人で、読み終えたらきっちりカバーして本棚へしまうんです。
最初は「カバーを見られたらヤヴァい本を読んでいるのでは……」と怪しんだものでした(*´∇`*)
投稿: ゆんたん | 2005/01/07 10:36
自分の相棒(友人)は書痴であり、
ブックカバーと本体の両者が“キズもの”
に成るのを避ける為、何がなんでも
書店のブックカバーをブックカバーの上に
かぶせております。
つまり、ダブルブックカバー。
つまり、コートの上にコート。
そんな自分は、
“図書館貸し出し用ブックフィルム”
を購入してしまいました。
…二人とも、かなり重症です。
投稿: めめんともりりん。 | 2005/01/07 10:43
>オリーブさん
オリーブさん、はじめまして~。
貼り付けの儀式そのものはそんなでもないのですが、セロハンテープを探す、取りに行くのが面倒なんですよね。
>あさぽんさん
ああ~、外してまた付ける人も多いですね。
一度それを試したら、初回からカバーを無くしました。(涙)
>violalaさん
violalaさん、はじめまして~。
どうスか?最近。(何が???)
>最近、両面テープを貼る方法を思いつきました。
ああ~、そうか。
両面テープなら「遊び紙」も一緒にめくれて便利ですね!
両面テープの実用新案権として申請する事をオススメします。
>ゆんたんさん
おはようございま~す。
> 最初は「カバーを見られたらヤヴァい本を読んでいるのでは……」と怪しんだものでした(*´∇`*)
ちゃんと中身まで見ましたか?
二重のフェイクかも知れませんよ。
うひょひょ・・(´∀`)<スンゴイノカモヨ~
>めめんともりりん。
慎重派ですねえ、
ゴムしてピルまで飲む感じですな。
投稿: そんちょ | 2005/01/07 12:20
そんちょさん明けましておめでとうございます。
>めめんともりりん様
初めまして。
えぇと…ちょっと気になったのでコメントをば…
ダブルカバーって普通にやまりせんか?(汗
確かに自分も書痴のきらいが無きにしもあらずと思ってはおりましたが、何か実情を突きつけられた気分(苦笑
そうか…普通の人はダブらせないのか…orz
投稿: qu_ma | 2005/01/07 12:25
私も書店でつけられたカバーははずしません。
書店で「カバーつけますか?」聞かれると必ず「お願いします~」っていってるし。
ダブルカバー、普通だと思ってました(^_^;)
投稿: cattail | 2005/01/07 12:41
わたしは付けてません。
面倒くさいんだもんw
ちなみに、わたしもダブルカバーやります…でも、読む時邪魔なので外します。
(う〜ん、今日は良いネタが思いつかない…)
投稿: るるが | 2005/01/07 12:49
私はカバーそのままですね~。
毎回へろっと外れてキイィィとなりつつも、裸にしたりテープで拘束したりはなんとなく「邪道だ!」という意識があったりして。
いや、不便しながら読む私がMなだけかも・・・ああっ、こんな思いしながらも読むワタシぃっ、って(笑)
投稿: RYO | 2005/01/07 14:47
夫はダブルカバーにしてから
折り返し部分をセロテープで止めてます。
だので、書棚に並べてしまうと
何の本なのかさっぱり分かりません。
↑の状況は私にとってはひじょーにイラつくので
書店のカバーをはずしてしまうのですが、
破れますよ、書店カバーもホントのカバーも。
それもすっげぇイラつく!
それにしても本のカバーでココまで盛り上がるって
皆さま、いかにこだわりがあるかってことですか。
う~ん、深いねぇ、たかがカバーで・・
投稿: Kei | 2005/01/07 16:36
ですよねっ!
ダブルカバー普通ですよね!良かった~。
そんちょさんの記事からすると、
えらく少数派な気がしましたので…。
で、まだ話の続きがありまして、
その相棒(友人)はどうしても欲しかった古書が
ボロボロの状態であった為、自作のハードカバーを
作成していました。オリジナルデザインで。
これは常人では、流石にやらないと思われます。
相棒(友人)の書痴ゆえの所行だと思われます。
自分のブックフィルムも
かなり来ていると自覚しています(笑)。
投稿: めめんともりりん。 | 2005/01/07 18:57
>qu_maさん
あけましておめでとうございま~す。
今年もよろしくお願い致しますね。
>cattailさん
私は「カバーお付けしますか?」と聞かれると、必ず「要りません。」と答えます。
何故ならば、男は外見でなく中身で勝負すべきだと考えているからです。
(はあ?)
>るるがさん
外してまた装着するのが面倒ではありませんか?
>RYOさん
「M」です。
即ち、モチです。
(このネタはもういいって。)
>Keiさん
ダブルカバーの本は、何故か最初から読む気が失せてしまいます。
なんだか、本に拒絶されているような気がして・・。
投稿: そんちょ | 2005/01/08 13:47