気後れのグッジョブ。
スーツ姿の女性は、不機嫌に見える。
昨日から降りだした雨が、今朝がたから雪へと姿を変え、アスファルトを真っ黒なシャーベットで埋め尽くす。
「夢メッセ」と呼ばれる海辺の大きなイベント施設では、その日、「住宅リフォーム展」と銘打たれた展示即売会が催されていた。
サッカーが余裕で出来そうなくらいの広さを誇る会場内。
建設業や内装業などを営む会社の人々が、それぞれ趣向と工夫を凝らしたブースをところ狭しと出展し、その間に織り込まれるように穿たれた通路を、各社のロゴ入りショルダーバッグにパンフレットを満載した建設関係者や、リフォームを考えているらしい家族連れ、bichikoさんファミリーなどがとうとうと流れ、所々で流れを塞き止めるように、客寄せの出し物に足を止めて出来た人だかり、業者間の名刺交換をする人々がいる。
そんな様子を、私は「体験陶芸教室ブース」の中から、客待ち顔でぼんやりと眺めていた。
隣のブースでは、水回りの業者さんのブースがあり、そこには黒いスーツにビシッと身を包んだ妙齢の営業社員さんがいて、通路の角に立って道行く人々に自社のパンフレットを手渡している。
人の流れの中から、時折弾き出てくる子供たちに陶芸を教える傍ら、その様子が何度も目に入った。
スーツの女性は、どことなく不機嫌な印象を受ける。
張った肩肘と、引き絞った腰のくびれ、内容はどうあれスラッと細く伸びるパンツを完結させる高いヒールの靴が、緊張と、頑固さをかもし出している。
スーツは確かに「戦闘服」であるから、当然といえば当然なのだけれど、普段、「スーツ姿の女性」というものにあまり免疫の無い私としては、非常に近づき難い印象を受けてしまうのである。
しかし、女性のスーツ姿というものは、なんであんなにもカッコイイのだろうか。
全体にスキが無く、もし、見つけられるスキというものがあったとしても、それは頭の良い誰かが計算し、わざわざ作ったスキである。
不可侵の領域を密封したような、
球体を直線で包んだようなシルエットが、独特の魅力を発揮させる。
女性の体に、男性のエッセンスを取り入れた、中性的な印象。
人間に、もしも完成というものがあるならば、それは女性の方が近い位置にいるのだろうな・・という気後れさえ感じてしまう。
スーツ姿の女性はグッジョブである。
近寄り難く、思わず警戒してしまうが、
「美しいもの、カッコイイものを観る。」
という楽しみ方が出来る。
「グッジョブは、遠くにありて想うもの」的な魅力である。
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コメント
最後のイラストにグっジョブである。
投稿: mariko mam | 2005/01/17 18:04
(最後の絵に対して)
そーですよねー。
これが男ですよねー。
同感でっす。
なんなんでしょうね。罪悪感?
う~ん…
投稿: 蒼史 | 2005/01/17 19:22
こんにちは。夢メッセというのは仙台の夢メッセですか?もしかしてご近所さんなのかしら~?と思って書いてみました(*^-^*)。
投稿: みゆ | 2005/01/17 19:49
やっぱ最後で落としてきましたね(笑)
で、けっこういいですよね、スーツ。
あれです、なんであれ「中身がよければ」
っていうのは内緒ですよ。
なんか嫌いなコスチュームていうのが
あんまり思い浮かばないもんで。
投稿: ゆう | 2005/01/18 01:21
汗一つ素晴らしく顔を背ける【男】のそんちょさんの絵…。
その前のにやけた顔とのギャップが…
投稿: るるが | 2005/01/18 16:18
ブログに「buchikoファミリー」と登場させていただいて、光栄極まりない!
子供達に振り回されて、ゆっくりできなかったことに後悔してたのですが。
・・・そっか~・・・
あの時、あの場所で、そんな思いを巡らしていたのですねぇ~・・・ふむふむ。
投稿: buchiko | 2005/01/18 22:36
>mariko mamさん
いや、マジであんな感じですから。
そのうち「キモイ」って言われます。
絶対。
>蒼史さん
多分、それです。
>みゆさん
そうですよ~。
仙台の夢メッセです。
ワタクシ、宮城県在住ですから~。
>ゆうさん
スーツは、多少器量がアレな人でも凛として見えますね。
凛的要素が 30%増量(当社比)されます。
>るるがさん
ギャップが・・・男前?
>buchikoさん
そうですねえ。
ちょうどあの時も、すぐ横のブースのスーツ女性を鑑賞してました。
投稿: そんちょ | 2005/01/21 20:52