華麗なる逆転
季節はまさに秋から冬へ。
一日ごとに気温を激しく上下させながら着々と雪の季節へと進んでいる。
季節の変わり目は、もともと体調に異変を起こしやすい時期で、特にこの時期はよほど注意を払わないとあっという間に体調を崩してしまうものだ。
相方(彼女)は今年の5月に宮城県に帰ってきたばかりで、愛知と宮城の種類の違う寒さに体が順応できずにいる。
これまでも、常に鼻をグズグズさせていて、
「仙台の秋は寒い・・!寒いのよ・・!」
と、やる方の無い憤まんを私の脇に手刀を打ち込むことでいなしてきた。
ある日の夕方。
相方とお茶でも飲もうかと、携帯に電話をかけた。
プルルルル・・ブツッ
「・・あい。」
いつもより、輪をかけて鼻声の相方が出た。
私は、(ああ、これはイカン・・)と思いつつ
「風邪ひいたか。」
と、確認する。
「うー・・(うん)。引いたでー(ねー)・・。ズビー!」
「おっきいな、今回のは。」
「うー・・(うん)。おっきいでー(ねー)。」
「今日、お茶飲みに行くべかと思ったんだけど、止めといた方がいいね。」
「えー・・?らいじょうぶ(大丈夫)よー。風邪って言っても、鼻がズルズルなんと、ゲヘ!セキがちょっと出るくらいらしー(だしー)。とりあえず、熱は無いから。エフエフ!!行けるー。」
その他は風邪の要素が全て揃っているのに、ただ一点『熱が無い』ということだけで『行動できる』という判断を下す相方に、「妙なところでポジティブ。」と思いつつ、
「・・いや、無理だから。それは。」
と言った。
「ほんなころだいってー(そんなことないって)。はあ~・・(口呼吸)」
食い下がる半死半生の相方。
「無理無理。」
すげない私。
「ああ、そうやって、あたしを見捨てるので~(ね~)?ヒドイ・・!ズビー!」
「なんでそうなる・・。」
その時、携帯から聞こえる相方の背景がどうも騒がしい事に気付いた。
「・・サチさ~、今、どこにいんの?」
「え~?一番町(仙台駅前の大きなアーケード通り)の『キャスロン』(喫茶店)・・。」
「なんで、具合悪いのにそんな所にいるかな!」
「あ~、いや、ちょっと用事があったし、ケフッ!あのホラ、『キャスロン』のジンジャーエールって、風邪に効くかな~と思って・・けへけへ!」
私の心配は一瞬にして怒りへとその姿を変え、
いつもはヘニョヘニョでも、たまには怒るんだぞ!と言わんばかりに相方を叱りつけた。
勢いとは言え、図らずも珍しく、勝利を手にした事を密かに喜ぶ私。
「な、何さ!怒らなくてもいいじゃないか!分かったよ!帰って寝てやるよ!・・あ、ところでさ」
「なに!」
「トシさんって、服のサイズL?」
「そだよ。なんで?」
「いや、セーター編んだろと思って。」
「・・・つД`)」
結局のところ、私は到底相方に勝てないのであった。
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コメント
出掛ける用があったんだもん
バスの時間もあったし休憩くらいしたっていいじゃんかよー
ぶつぶつ。
どうでもいいけど
これでは機嫌取りにセーターの話を振ったみたいだなあ。
まーいいけどさー。
投稿: 相方 | 2004/11/15 20:27
↑内輪の会話に押し入ってよいのか(^^ゞ迷いましたが...
セーターっていうものはひと針ひと針、愛情こめて編むもので、ご機嫌取り気分ぐらいじゃ、編めませんよね~!
相方さんの照れ隠しも素敵(*^-゜)v
それにしても相方さんお大事に。怒られるうちが華!
わたしは滅多に鼻かぜを引かなくて、いつも喉のみ。
先日鼻かぜを併発したけど、うっかりすると口呼吸を忘れてしまい、窒息しそうになってしまった。案外難しいです。
投稿: nemu | 2004/11/15 21:05
>相方
うん?
あ、確かにそうとも読めるな。
こりゃ失敗か・・。
ご機嫌取りだなんて思ってないよう。
嬉しかったんだよう。
>nemuさん
私も先日鼻かぜをひいて、うっかり口呼吸を忘れて耳呼吸をしていましたよ。
危うく見世物小屋に売り飛ばされる所でした。
そんな地味な芸ではウケが取れませんから、焦りましたよ。
(そっちかよ!)
投稿: そんちょ | 2004/11/15 22:50
あぁ、いつものノロケ具合で安心しましたよ。
そういえば珍しく(?)絵を使いまわしているような…
いや、まぁたいしたことではないんですが。
待ち合わせがマズイなら押しかけてみるとか。
あれですよ、伝染らないんですから。
投稿: ゆう | 2004/11/16 00:00