地面が大きく揺れた日に
昨夜の事。
夕餉の食卓で、姉(家具職人)が
「あ!地震が来るんじゃない?」
と言い出した。
揺れている気配はしない。
それぞれが半信半疑ながらも地面の揺れを感じるのに集中し、それぞれが視覚で確認しようと天井から吊り下がった電灯や、汁物の中の味噌汁の水面を見ていたとき、その音に気付いた。
「ごごごごごごご・・」
地面の奥底から聞こえてくるような、耳ではなく足元から聞こえてくるような、無気味な音。
それがだんだんと南を背にしていた私の背後から殺到してくるのが分かった。
その音が、足の裏を通過した途端、大きな横揺れが来たのである。
いつもの「カタカタカタ・・」という揺れ方ではなくて、大きくうねるように揺れている。
こういう揺れ方は珍しい。
地震に慣れているともいえる東北人でも、この揺れ方は実に不気味で、大地震を予感させるには十分であった。
家族の顔をそれぞれ見ながら、今、火の気のある場所を思い浮かべつつ、「これ以上大きくなったら動く」のボーダーラインを計っていた。
見ていたテレビには、揺れが収まらないうちからニュース速報が流れた。
「新潟で震度6強の地震」。
地面の波紋よりも、一歩遅れて電波による情報がもたらされる。
程なくして揺れは収まり、一同、一応の安堵を感じながら、
「なんだや、新潟。台風のすぐ後にそんな大きな地震では、ものすごい被害になるぞ。」
「ねえ。地盤が緩まっている所を揺らされたら、崖崩れだって・・」
と口々に新潟県への心配を募らせていた。
そして、2度目の大きな揺れ。
3度目の揺れでは、新潟のキャスターが生放送をしながら揺れが起きていることを伝えた。
それから10秒ほどして、現在地にも揺れが到達する。
新潟で発生した揺れが、約10秒で宮城県まで到達するのである。
その凄まじいまでの速さに慄然とした。
結局、本震は三回起きた。
三回とも震度6クラスの大地震である。
それがどれほど怖いものか、よく分かる。
去年、宮城県でも立て続けに三回、震度6の地震に襲われるというよく似た事があったからだ。
私の住む地域は震度5くらいで深刻な被害は無かったが、知り合いの住む町がもっとも被害の大きかったところにあり、堤防の決壊、家屋の倒壊、道路の破損などの地震の痕跡を目の当たりにしているのである。
地震は、予測が出来ない上に今回のように大きい揺れの場合は対処法が無い。
なにしろ、重力の影響を受けている立場の者としては、地面が動いている限り身動きが取れないのだから。
揺れが収まるまではとにかく運任せなのである。
(もちろん、収まってからの賢い動き方はあるが)
新潟では、いまだ余震が続き、次々に深刻な被害が報告されている。
少しでも早い地震の収束と、被災者の救助を願ってやまない。
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コメント
>地面の波紋よりも、一歩遅れて電波による情報がもたらされる。
この言葉に心が震えました。
九州で地震と言うのは、ほとんど無いから、僕が就職で横浜に暮らしてから、地震の多さにびっくりしましたよ、震度1ですら、あっくるくる~って感じて身構えてしまいます。
でも関東の人って慣れてるせいか、皆平気な顔なんですよね~
関東メリーゴーランド状態見たいな感じで(揺れているのに笑っている)、だから慣れは禁物だって常々思っていますよ。
投稿: そ~ま | 2004/10/24 11:11
そうなんですよ・・。
その前に一度宮城県沖地震も体験していますので、じしんの怖さは身に染みて分かっております。
怖いですねえ・・。
投稿: そんちょ | 2004/10/26 08:36