後ろめたい!
中古品屋さんというのは、いちいちもって後ろめたい。
あれほど、「客」と言う立場から後ろめたさを感じる店というのはなかなか無いのではないかと思われるほどである。
一体、どこに、どうしてそんなにまで後ろめたさを感じてしまうのか考えてみた。
中古品屋さんというのは、まず入店するところからして後ろめたい。
モノを買うとしたら、本来の作り手が介さない流通システムに対し後ろめたさを感じ、
モノを売るとしたら、自分の使ったものに対してお金をもらうということに対する申し訳なさと、果たして買ってもらえるのだろうか?という緊張感を強いられる。
そして、店内を物色していても後ろめたい。
店内にあるものは、そのほとんどが元の持ち主に「不要」の烙印を押されたものばかりなのである。
いくら新品同様に磨かれ、陳列されていても、どことなく一度「要らない」と言われた者の「どうせ、俺なんて・・」と言った感じの悲哀や怨嗟のうめきが聞こえてくるような気がしてならない上に、それを求めるという行動にも、「足元見てんな・・。」感が拭えない。
DVDコーナーなどをウロついていても、後ろめたさはついて回る。
何故か、ああいう中古DVDのコーナーというのは、エロ系のDVD、目のやたらデッカイ、鼻のやたらちっちゃい女の子のアニメDVDが多い。
何となく見ていて、そういったDVDの前にいつの間にか立っていてしまい、すぐそばのレジの女子店員の視線を感じて(多分、見てはいないだろうけど)、
「いえいえ、自分はコレが目当てではありません!」
と、そそくさと離れなければならなくなるのである。
衣服のコーナーでもやはり後ろめたい。
女性の服のコーナーを通りかかった時に、キャミソールなどの下着なんだかなんだか分からないものの裏地を見てしまうと、途端に居たたまれなくなる。
間違いなく「使用済み」の衣服の裏地を見るというのは、何故か
「見てはいけないもの」を見てしまったような気がしてならない。
そんな感じで、腕を前に組み、後ろに組みして、やや大袈裟に感心しながら後ろめたさと居たたまれなさに右往左往しつつ店内を徘徊していると、その様子が余程挙動不審に見えるのか、警備員、または私腹巡回員の猛烈かつ熱烈なマンマークを受けてしまうのである。
それが余計に後ろめたさと居たたまれなさを増大させ、ついには店の外への脱出を余儀なくされるのであるが、出ようと思って立った自動ドアが何故か開かないのだ。
「なんだ?閉じ込められた??」
と焦りを感じつつよく見てみると、
「防犯のため、入り口専用」
と書かれているのである。
ここで、後ろめたさと居たたまれなさに、己の粗忽さから来る恥かしさも加わって、いよいよ所在がなくなる。
うつむき加減に「出口専用ドア」に小走りする羽目に陥るのである。
それで分かったのだが、店の中に充満する後ろめたさや居たたまれなさ感は、店員の人数の多い、大型店舗の中古品屋さんほど顕著に表れる。
それは、店員による有形無形の「監視的空気」も大きな要因の一つであり、誰かが入店した時に発生する、店員の一斉「イラッシャイマセー!」は、「店員はそこかしこにいるぞ、おかしなマネすんなよ。」と言われている気がしてならず、常に「痛くも無い腹を探られている感」が醸しだされてしまうのではないかと思う。
考え過ぎかも知れないが。
そういうわけで、中古品屋さんがニガテでしかたがないのだが、反面、中古品屋さんなどで、小学生の頃遊んだゲームや、どこで入手するのか分からない代物、一体、いくらで買い取ったのか分からないようなものを見て回るのは楽しくて仕方なかったりする。
後ろめたくても楽しい。
| 固定リンク
« 川はスバラシイ。 | トップページ | リモコン探訪 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
なんかずいぶん仰々しい店ですね。
ブック・○フに警備員は居りませんし…
そういえば最近その手の店に行ってないですわ。
中学生の頃が一番通ってましたな~。
投稿: ゆう | 2004/10/20 01:36
私はまったく逆!
中古屋さんは大好きです~~
そこにあるものは、みんな何がしかの歴史を持っていて、どういう事情か、元の持ち主からは「不要」とされてそこにあるものです。
子供の服なんかは、今の時代、「大して痛んでいないのにご近所・親族にはもらってもらえない」とか「最初から下取りに出すつもりで丁寧に着た」「買った(もらった)けど、サイズが合わなくて売った」などの理由が多くて、「お~~!どうれ、我が家で最後のときを迎えるがよい!」という感じでゲットしてきます。
食器類なんかもそう。面白いものがあって大好きです。
大人の服も、そこに来なければゴミになってしまったのかと思うと、そうはならなかった幸運を祝ってやりたくて、とても普通の人は着ないような「ど派手~~」とか「ちゃちぃ~~!」とかいうのを好んで求めてきます。これは手芸の材料になるんですわ~~
ということで、私にとって大手中古屋さんは「パラダイス!」ですわ~~(笑)
投稿: 編み助 | 2004/10/20 09:20
>ゆうさん
いや、その●ックオフなんですよ。
かなり大きな店舗で、なんでも置いてあるのです。
かなり悪質な窃盗被害に遭ったようで、店内はかなり厳しい警戒態勢なのです。
怖い怖い・・。
>編み助
オウ!パラ大豆!
投稿: そんちょ | 2004/10/20 20:41
中古屋さんはパラダイスに同意です~。
学生のころは売る方でも買う方でもお世話になってましたが
(その当時のアパートの真隣に古本屋があったので)
古本に関しては一軒屋(っていうのかな)の古本屋が好きです。
「年とったら古本屋やりてーなー」と思っていたっけなあ。
アレはそれなりに余裕がないと無理そうだけれど。
投稿: 相方 | 2004/10/20 22:24
>相方
オウ!パラディソ・・!
投稿: そんちょ | 2004/10/21 00:41