理不尽な怒りに涙・・。
今年の夏は、記録的な猛暑が続き、来る日も来る日も繰り返される、日中のうだるような暑さ、そして熱帯夜による寝不足などにより、生きとし生けるものすべからくやる方の無い憤まんを懐にしまい込んで日々を耐え忍んでいる。
しかし、その押さえ込んだ怒りが、ふとしたキッカケから噴出し、あらぬ方向への異常なまでの怒りとなって現れてしまう事もある。
それは、仕方の無いことではあるのだが、突きつけられた理不尽や不条理は、その怒りの矛先を向けられた者の心に、一生癒えることの無い傷として残る事となるのだ。
その日は、空から相変わらず真夏の大きな太陽が照らし付け、地面から容赦なく水分を立ち上らせて、まさに茹でられるような暑さとなっていた。
私は、冷房装置の無い工房で、汗だくになりながらポットの組み立てに勤しんでいた。
その時である。
厨房いた姉から、突然驚くべき呼び出しを受けたのである。
一瞬、我が耳を疑うような言葉であった。
厨房でスイカがキレているらしいのである。
しかも、姉の口ぶりから察するに、どうもその矛先が私に向けられているらしいのだ。
困惑を通り越して絶望さえ感じた。
私は、スイカに恨みを持たれるような心当たりがまったく無いのである。
普段、スイカを食べる時に、塩を振り掛けないのが誠意に欠けるとでも言うのだろうか?
しかし、私はスイカに塩をかけたものはあまり好きではないのだ。
大体、塩をかけずに今まで28年、お互い上手くやってきたではないか。
今さらそんな事で怒る彼らでもあるまい。
それでも、スイカはあの緑と黒のまん丸とした穏やかな外見の内に、赤々としたマグマのような怒りを含んでいるというのである。
きっと、理由を問うても
「お前は誰だ?」
と、聞かれるに違いない。
分かっていても彼らは聞くのだ。
そう。
誰何(すいか)するのだ。
夏の似合う、一見サッパリとした彼らには、そんないやらしい一面もあるのだ。
・・とにかく、野菜業界でも屈指の大きさを誇るスイカの不興を買っては、これからの私の未来に暗い影を落とす事は間違いない。
私は、もし誤解があったなら解こうと、掛け違えたボタンがあったなら、たとえ時間がかかっても掛けなおそうと、重い足取りで厨房へと向かうのであった。
勇気ひとつを友にして。
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コメント
そんちょさんの工房には、冷房装置がないのですね。
僕の所は、この夏に付けました、普段はほとんど
使わないんですけど、教室の時はやっぱり点けないと
生徒さんは汗だくですからね、やっと涼しい教室が出来ように
なりましたよ。土にとっては良くないけど、我慢してもらいます。
ところでスイカは何をキレテタンデスカ?(笑
投稿: そ~ま | 2004/08/27 16:31
ああ~。
ウチには無いですねえ。
と言うより、あまり必要ないというか・・。
何しろ、周りがほとんど山に囲まれていて、風が巻くため、結構涼しいのです。
今回の記事のように、たまに暑くて無風だと大変ですが、まあ、慣れるとそうでもありません。
ウチの生徒さんも、もう慣れたものです。(笑)
スイカはですね。
私が、けの(以下略)
投稿: そんちょ | 2004/08/27 18:49
「スイカ、キレテるよ」
↓
「西瓜が食べやすい大きさに切れたわよぉ~」でしょ!
まだ、いいですぅ。。。そんちょさんちのは西瓜がきれいなままで切り分けられて。
姫は、今日、朝市に買いに行きました。
その朝市の駐車場で西瓜割りをしてしまいました!(スネを思いっきり打って青あざぁ(>_<)うぇーん!)
キッチンに辿り着く前に、ぐちゃぐっちゃ~(T_T)
投稿: 姫 | 2004/08/27 21:18
そんちょさんのその頭(笑い)のキレ具合でしたら、
キレた西瓜に勝負を挑んでも勝率は高いと思います。
でも、あくまでも「和解」を目指すそんな姿勢が
私は大好きです。(笑)
28年間の夏の絆、これからももっともっと深めてくださいね。
投稿: LYAN | 2004/08/27 22:13
>姫さん
ああ~。
姫さんは、ウチまで我慢できなかったのですかあ。
気持ちは分かりますがね。
「急いてはスイカを仕損じる」ですよ。
>LYAN さん
ええ。
スイカと仲違いして、野菜全部を敵に回すのはさすがに怖いですから。
私もまだまだビタミンとか、食物繊維とかが欲しい年頃なのです。
でなかったら、スイカなんて!
スイカなんて・・!
投稿: そんちょ | 2004/08/27 23:44