小言猫。
猫と言えばウチにも、飼い猫から居候猫まで実に数十匹の猫が常にたむろしていて、敷地内では常に視界に一匹は猫がいるという、ある意味「ディズニーランドちっく」な環境にある。
当然、猫についての話題には事欠かず、過去にも、お節介な猫の話や、生まれ付き奇形を持ってしまった仔猫の話と、その結末。
そして、油断しすぎの猫にくだした鉄槌の話なども書いたことがあった。
今回は、以前話した、「お節介な猫・めけ」のもうひとつの話をしたいと思います。
動物とは直接言葉を交わせないけれど、長く付き合っているうちに、雰囲気や、鳴き方などで何となく意思がわかるようになるものである。
大抵は、「ご飯ちょうだい」とか、「なでて」とかなんだけど、中にはこんな猫もいた。
私が二十歳そこそこの頃、部屋でゴロゴロしながらマンガなどを読んでいると、「チャッチャッチャ」という独特の足音とともに「めけ(メス・当時10歳くらい)」はやってくる。
普通、猫は足音を立てないものだが、歳をとると爪を引っ込める筋肉が衰えるのか、それとも単なる横着なのか、爪を半分だしたまま歩くため、足音のする猫が出来上がるのである。
そして、自分で私の部屋の障子を少しだけ開けるのである。
「なんだ?めけ。なんか用か?」
と聞くと、何も言わずにこちらをじっと見ているのだ。
「・・?なんだ?変なヤツ。」
と、再びマンガに目を戻すと、しばらくして「めけ」は口を開き始める。
「・・・・にゃあ~ん?」
「・・・」
「・・・にゃあ~ん?」
「・・・?」
こちらをじっと見ながら、明らかに私に向かって何かを問い掛けているのだ。
「めけ、なんだよ?撫でんのか?」
と聞いても、じっとして動かず、半開きの目で凝視している。
仕方が無いので放っておく事にして、またマンガを読んでいると、今度は
「ふん~・・!」
と、明らかにため息をついて、ピッタリ等間隔で
「にゃあ~ん?」
「にゃあ~ん?」
と始めるのである。
そこでさすがに気付いた。
この猫は、私に小言を言っているのだ。
「にゃあ~ん?」
(若いのに昼間からマンガばっかり読んで・・他にする事無いの?)
「にゃあ~ん?」
(仕事はどうしたの?ちゃんとやってるの?)
「にゃあ~ん?」
(イイ歳して、彼女の一人もいないの?)
「にゃあ~ん?」
(昨日も帰りが遅かったけど、どこで何してるの?)
多分、そう言っているのだろうという事が、ひしひしと伝わってくる。
「・・・うっせえな~。」
と、猫に向かって本気で煙たがり、障子をピシャリと閉めたのだが、その後もそこから動く事なく、
「にゃあ~ん?」
としばらく鳴き続けていた。
大体にしてお節介な猫ではあったが、まあ、猫の目から見ても当時の私の生活態度はだらしなかったのかも知れないと反省しきりであり、何と言っても人間以外の動物に小言をもらうというのは、とても貴重な体験ではあるが、非常に情けないものであるので、これからは、せめて飼い猫からは小言を言われないようにしようと胸に固く誓わずにはいられない今日この頃である。
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コメント
そんちょさま、トラックバックありがとうございました。
そんちょさまの描かれる動物ネタは、いつもうなずきながら見ていました。
今回も障子から半分見えるお顔なんて、実にネコっぽくて最高です!
わたしも家のネコや、外ネコに話しかけては、よくおこられております(^^;;
これからも動物ネタ、密かに楽しみにしております〜♪
投稿: まや | 2004/07/26 22:37
うんうん、猫は賢いすからねぇ。
やっぱ、犬より何より猫が好きです。
# 今は飼ってないけど…。
投稿: Akkey | 2004/07/27 02:18
>まやさん
猫にせよ犬にせよ、一匹一匹大変個性的ですよねえ。
中でもやはり、「めけ」は特殊でした。
もう、死んでしまいましたが、きっとあっち側からまだ小言を言っている事でしょう。(笑)
>Akkey さん
猫派ですか!
私は「ハラ揉み派」です。(笑)
投稿: そんちょ | 2004/07/27 20:36
メケさんは、そんちょには小言でしたが、姉の私には「砂糖」「くつ」「小銭」そして「カマドウマ7匹」をそっと枕もとに並べてくれる猫でした・・・・・・わたし、そんなに「甲斐性なし」に見えたんでしょうか・・・・
まるで「母」のような猫でしたよ。
投稿: 編み助 | 2004/07/27 21:07