空を飛ぶって怖い。
寝ているときに見る夢。
楽しい夢もあれば怖い夢もあるものだけど、大抵忘れてしまったり、夢と気付かずに目がさめてしまい、「ああ、夢だったのか・・」とガッカリする事もよくある。
でも、たまに「自分は今、夢を見ている」と気付くことがある。
そういう時は、割かし自分の好き勝手な欲望を、かなりリアルに実現する事が出来るため結構楽しいものだったりする。
大分前になるけど、その夜も私は夢を見ていた。
街場に住んでいた頃のアパートの前で、ふと気付く。
「む。これは見慣れた風景だけど、空気が不自然だ。今、夢を見ているな。」
せっかく夢の中にいるんだから、現実では絶対に出来ないことをしないと損というものだ。
と、何をしようか頭を巡らし、すぐに答えが出た。
そうだ。
空を飛ぼう。
一度、生身で空を飛んでみたかったのだ。
しかし、飛び方が分からない。
とりあえず集中して、「浮け!」と念じてみた。
すると、何の抵抗もなく足が浮く。
「おお!?浮いた!ホントに浮いた!」
大はしゃぎ。
そのまま見慣れた風景は角度を変えて行き、段々と見慣れぬ風景になってゆく。
近隣の家の屋根を見下ろすくらいの高度まで上昇した所で周りを見渡すと、はるか下で犬が不審げに吠えかかり、人々は指をさして驚いている。
まだそんなに上昇していないのに、意外と風が強い。
その景観が妙にリアル過ぎて、生身で浮いている自分がとても心細くなってきてしまった。
何しろ、何の根拠も無く浮いているわけだから、突然何の根拠も無く落ちても不思議では無いわけで、そう考えると、今の自分の格好がTシャツにジーンズ、何故か靴を履かずに靴下であるということからも、自分が今いる高度は十分に死ねる高さであり、運が良くても数箇所の骨折は免れないであろうという事が容易に想像できた。
「うおおお!ダメだ!怖い怖い怖い!!」
そう叫びながら、恐る恐る降りてゆく。
無事地面に足がついてホッと安堵したところでて目がさめた。
「自由に空を飛びたい」というのは、多くの人間の夢であると思うが、実際生身で飛んだことのある人間から言わせると、それは実に恐ろしく、心細いものである。
あんなオモチャのようなタケコプターで、悠々と空を飛べるのび太君は、まこと肝の座った漢(おとこ)であると、フィクションの中のいじめられっこの胆力に嫉妬すら感じ、「もう、夢の中でも二度と飛ぶまい・・。」と固く心に誓った事は言うまでも無い。
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コメント
>でも、たまに「自分は今、夢を見ている」と
>気付くことがある。
>そういう時は、割かし自分の好き勝手な欲望
>を、かなりリアルに実現する事が出来るため
>結構楽しいものだったりする。
これって凄くないですか?
そんなこと普通に皆さん経験してるんですか?
ぬぅ、一度もそんな経験ないなぁ。
わらしがそんなことできるなら、きっと気持ち良くなることに全力を注ぎそうな気が…ニヤリ( ̄ー ̄)。
投稿: Akkey | 2004/07/04 10:34
>Akkey さん
えー?
結構ありますよ。
「あ、夢だ」ってこと。
夢だと気付いていても、思い通りにならないこともまた沢山ありますが。
ホント、損な性分です・・。
投稿: そんちょ | 2004/07/05 08:21
書こうか書くまいか迷いましたが、書くことにします。
私も以前夢については1度だけ妙な体験をしました。ひょっとしたら普通なのかもしれませんが、夢の途中で起きて、また寝るとさっきの夢の続きをみるのです。しかも微妙に時間が経ってる。
ちなみにこの時の夢は殺人者(?)に追われてるという、怖い系でした。
で、この時の私は寝たり起きたりが自由にできました。でもクライマックス(殺される直前)の時はうまく起きられず、ちょいとびびったりしました。
まあ、今にして思えば全部ひっくるめて夢だったんでしょうけど。
夢の元ネタは「世にも奇妙な物語」の、怖い夢を見るかわりにいいことが起きるとかいう話でした。私の場合、別にいいことはなかったんですがね。
長駄文失礼しました。
投稿: ゆう | 2004/07/06 13:25
>ゆうさん
ありますねえ~。
私の場合、なぜか身内に襲われる夢が多いです。
まあ、現実でもよく襲われていますが。(笑)
投稿: そんちょ | 2004/07/08 08:14