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油断をするな。

野生の動物たる者、いついかなる時も油断する事無く、「常時戦場」の意識をもって備えなければならない。

それが、野生の掟だ。


ウチの庭を歩いていると、私の目の前に猫が横たわっていた。

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この猫は、ウチに30匹くらいいる猫のうちの1匹だ。
飼っているわけではなく、勝手に居ついている、いわゆる「外猫」なのだ。
つまり、野生として生きなければならない宿命を背負った猫ということになる。

そういう厳しくも悲しい、イバラの道を往く一匹の獣なのだ。

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その野獣を眺めていると、向こうから姉が歩いてきた。


野獣を相挟んで対峙する姉と弟。
雨上がりの蒸し蒸しとした空気が肌にまとわりつく。


「姉さんよ。」

「なんだい、弟よ。」

「これを見てどう思う?この弛緩しきった緊張の微塵も感じられない緩みきった肉塊を。」

「ああ、あまりの締まりの無さに、嫌悪感を通り越して憎悪・・いや、吐き気さえこみ上げて来るさ。」

「そうだろう?そこでどうだろう。この、ただれ、堕落した小動物に、野生の厳しさを思い出すキッカケを与えてやるというのは。」

「得たり、得たり。弟よ、それは妙案だ。」


姉と弟は決意した。

「超絶合体!天・地・人!!」
という、いかにも今思いついた掛け声とともに、間、髪を入れず、理性の殻を破った二匹の獣は、奇声を発しながら、その野生を忘れた肉塊に殺到する。

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「!?」

一瞬にして四肢の自由を奪われ、組み敷かれる猫。

「この、醜く肥え太ったドラえもんめ!」

「四次元ポケットはどこだ!どこに隠した!」

などと散々に罵声を浴びせかけられながら腹を揉みしだかれる憐れな猫。

最後には、

「美味しくなあれ、美味しくなあれ。」

と、品質向上の祈願までされる。
(※猫肉は食べておりません。)

そんな、愛猫家が鼻白むどころか白眼さえ剥くような陵辱の宴が展開され、ある者は目を覆い、ある者は「アホな姉弟だ・・」と頭を抱え、ある猫は腹を揉まれながら「ゴロゴロ・・」とウットリしている。

5分程、その狼藉は続いたが、

「さ、仕事しなきゃ。」

「ああ、私も塗装の途中だったんだ。」

という捨て台詞とともに、二人の暴徒は去って行った。

全身を揉みに揉まれた野生の獣はその場に倒れ動かなかったが、果たして野生を取り戻せたかどうかは定かではない。

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コメント

相変わらず動物ネタに反応してしまうさくらです。こんにちは。
そんちょさんのお宅で安心して寝てられると思ってた猫だと思いますが、とんだ災難でしたね。
気持ちよーく 寝ていたのに~!って今頃怒ってますよ(笑)

投稿: さくら | 2004/07/01 08:58

>さくらさん
いえいえ。
ウチにいる猫はあれしきの事では動揺しませんて。

私らが飽きても、「えー、もう終わりー?」という感じでゴロゴロしています。

まあ、たまに怒りますが。
猫はきまぐれですね。(?)

投稿: そんちょ | 2004/07/02 00:10

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