彼女の資質
彼女(以下「相方」と呼ぶ)がチャレンジャーだという事は、以前にも書いた。
無意識に、過去の経験や、人や本の情報を聞いたり見たりしてモノを選ぶ私は、そんな相方の生き方に興味があって仕方がなくて、ついこないだも前と同じように
「何か、飲み物を買おう。」
という事で、コンビニに立ち寄った。
相方はいつものように
①新製品とか、あまり他では見かけないもので、
②今まで飲んだことが無くて、
③変わったキャッチフレーズのモノ
を物色している。
私は興味津々で、並んで様子を見ている。
そして彼女は選んだ。
「微炭酸●●●」。
※敢えて商品名は隠します。
・・また、変わったものを・・
・・・ふむ?いや待て。
これは、割と美味そうだな。
「ありそうでなかった取り合わせの飲み物」だ。
思わず興味を引かれ、手に持っていた「レモンウォーター(安定)」を棚に戻し、相方と同じモノを手に取る。
「これは、美味そうでね?」
「でしょー。微炭酸で、●●●だよー?ミネラルも入ってるよ。」
いや、ミネラルはいいんだけど・・。
さっそく、会計を済ませ、クルマに乗って飲んでみる。
プシ!
「お!開けた時の泡が綺麗だよ!」
「あー、ホントだー。」
予想外な演出に、否が応にも期待は高まる。
ごく、ごく、ごく・・
・・・
・・・
別れ話が出てもおかしくないほどの気まずい沈黙が車内に充満する。
「・・私、強要したわけじゃないからね。」
私の視線に非難の色を見たのか、相方はそう釘を刺した。
「・・いや、分かってるけど、これは目眩がするほど不味いな。」
「んだね。」
「ジュースのクセに、ノンアルコールビールみたいな味がするのはなんでだろう?」
「・・・ミネラル?」
ミネラルかい。
「なにか、こう、ハッキリした味が来る前に終わっちまうような味だよな。」
「そうだねえ。どっかで100%オレンジジュース買って割ろうか?」
「いいねえ。俺はコレ2:コーラ8くらいで割るわ。」
などという暴言まで飛び出すほどの検討会が行われた。
結局、今までありそうでなかった取り合わせは、やってもしょうがない取り合わせだったという事であり、おそらくメーカーもシャレで出したのであろう(そんなわけないのだが)ジュースであるという事が分かった。
150円損した気分にはなったが、いい機会なので相方に、なんで毎回違う物を買うのか、その理由を聞いてみた。
答えはこうだった。
「とりあえず、新製品には興味があるし、誰かに聞かれた時に『これは美味しいですよ。』とか言えるでしょ。その、『先に知ってる』のがいいの。」
という事だった。
ああ、なるほど。
それでひとつ分かった事があった。
相方は、実に色んな事を体験して知っている。
そして、それを惜しげも無く教えてくれる。
勿論、自分の好奇心もあるのだろうが、そうやって知らず知らずのうちに情報を貯めこんで、気前良くそれを人に教えることで「情報をおごっている」のだ。
この「情報をおごる」というのは、以前、「日刊イトイ新聞」で読んだことなんだけどね。
「情報をおごる人」というのは、「情報をおごられやすい人」という事で、結果的に情報を集める最適な手段という事を書いてあった。
「情報」が、「情けに報いる」と書いているんだから、それは実に的を射ていると思うんだ。
多分、相方は自分の持って生まれた(あるいは経験から身に付けた)そういう「能力」に気付いていないと思うけど、実はそれは大変得がたい能力であり、彼女の不思議な人徳のひとつなんだろうな~という事が分かった。
別にノロけているわけではないけど、好きな人の尊敬すべきところを見つけるって、とっても嬉しい事だよな。
と、思った。
おしまい。
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コメント
その例の「微発泡※※※」ね。
家に帰ってから丁度居た妹に飲ませたら
「私、結構好き」
という肯定的意見を頂いた。
さすがわが妹というところか。
もちろん残りは差し上げました。
投稿: 相方 | 2004/06/26 02:38
>相方
あ、あれ、「微発泡」か。
美味いって?
んなアホな。
投稿: そんちょ | 2004/06/26 09:00