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2011年3月10日 (木)

山のばあちゃん日記18 ~タヌキのはなし~

K31

五年くらい前の話。

季節は初冬でした。
我が家の庭のハンの木林を、
夜になるとタヌキの母子が通り抜けるのを、
窓から毎日見ていた。

ある時、子ダヌキの一匹だけ置き去りにされた。
その子ダヌキは、ハンの木林に置いてあった犬小屋に住み着いた。
犬小屋は、以前飼っていた犬が使っていたもので、
その主はもうおらず、空き家となっていたのだ。

「どうして置いていかれてしまったのかナー」

と思って、ずっと観察していると、
どうも様子がおかしい。
小屋からちょっとだけ出て、二~三歩歩くと、
すぐ小屋に戻ってしまう。
気になったので、そ~…っと近づいてみると、
その理由が分かった。

目が見えていないようなのだ。

あれから親ダヌキも子ダヌキもここには来ないし、
何も食べていないようだ。

キャットフードを近くに置いてみると、
そ~…っと食べて、またすぐ小屋に戻る。
何日かそんな繰り返しだったのだけど、
そのうちキャットフードも減らなくなり、
小屋の中にこもったまま、出てこなくなった。

思い切って近寄ってみた。
やはり、子ダヌキは小屋の中で死んでいた。

小屋から出して、毛布にくるもうとして、
初めてじっくり見ることが出来た。

子ダヌキは顔がクチャクチャで、
毛もまばらにしか生えていなかった。
急に寒くなったから、凍えたんだなぁ…と思った。

母ダヌキはここの小屋に入れて、
他の子ダヌキを連れて行ってしまったんだ。

毛布にくるんで、ぎゅっと抱きしめてから埋めた。

K35

それから十日くらい過ぎて、
埋めた場所に行ってみて驚いた。
すっかり掘り返され、包んだ毛布がちぎれて散乱し、
子ダヌキは「なくなっていた」。

そうか、誰かに食べられたんだ。
誰かの命をつないだんだ。
初めてこみ上げるものがあった。

あれからいくつ同じように埋めたことか。
でもやっぱり同じ。
掘り返される…。

それでいいんだ。
それが自然なことなんだ。
と思えるようになった。

自分の死についても一日一回は考える。
”騒がない”と。


<明日も更新します>

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